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【闇堕ち直前】主人公の色なし観察日誌1  作者: 荒屋朔市
主人公覚醒

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12/50

おはようございます。お天気ですか?(6-1)

ええ。ここをキテンに再起に元気に頑張ります。あれ今、テンキって言いました?



 水底へ沈むように、意識の境界が揺らめいていた。

 柔らかな温もりが全身を包み、微かな水音が耳元で囁く。それは、遠い日の記憶の残滓か、あるいは夢の続きか。

 


 

 そのまどろみの中に、確かに感じ取れる気配があった。

 慣れ親しんだ心地よい旋律のような温かさ。その持ち主が誰か、僕は知っている。


 会いに来てくれた。どれほど待ち焦がれても、指定された日時に、指定された場所でしか会えない人。最後に会ったのは、いつだっただろうか。そんなこと今は、どうだっていい。


 尋ねたいことがある。聞いてほしい話も、たくさんある。きっと、順番にねって笑われてしまうけれど、それでも遮らずに話を聞いてくれる。

 その気配が静かに遠ざかっていく。


 まだ何も話せていない。それなのに、柔らかく包み込むような手の温もりも、ゆったりと流れるような旋律も。

 胸の奥が、ざわめき出す。


 イヤだ。行かないで。こんなところに置き去りにしないで。心の中で僕は叫んでいた。

 邪魔もしないし、静かに待てるから。


 呼び止めれば、一度だけ僕を振り返ってくれる。だけど、その顔は、いつも悲しげで……。

 


 

 僕は思わず瞼を持ち上げ、身を起こした。


 見渡せる限り探したが、周囲には誰の姿もなかった。小さく息を吐く。


 何年も前の記憶。幼かった頃の夢だ。

 妹にせがまれ、口止めを約束させる目的で連れて行ったこともある「秘密の読書会」。あの頃は、子供向けの物語ばかり読んでいたけど……。


 主催者は本が大好きな優しい女性だった。だけど、僕のことなんか、とっくに忘れているだろう。


 何故、そんな夢を見たのか、それは重要ではない。

 


 

 ここは、どこだ?

 僕は何故、どうやって、ここへ来たのだろう?

 

 

 

ここは地底です。空模様なんて、ありませんよ。

元気もありません。

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