表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【闇堕ち直前】主人公の色なし観察日誌1  作者: 荒屋朔市
共闘

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/50

高嶺に咲く慈愛深き女神を崇め讃える準備はヨロシイですか?(間3−2)

まだまだ頭が高いですよ?



 男は、相手の首から脈を確認した後で、腕を負傷しながら催眠薬を無理に嗅がされ眠っている刺客を解放した。

 自身の腕に刺さった矢も抜いておく。矢傷は痕も残らず癒えた。


 その光景を残された一人が身を震わせながら見ていた。彼には、仲間が窒息か頭蓋の圧迫骨折により、命を落としたように見えていたのだ。

 しかし、この一人も大男に気を取られた隙に、背後からの鮮やかな手刀で、意識を削ぎ落とされた。力任せではなく、相手の呼吸に合わせた一撃であった。

 


 

 女は聴覚を研ぎ澄ませ、周囲の気配を探した。同族達を案じる《声》が伝わってくる。

 総数が少ない種族である故に、同族の多くは彼女の親戚であり、国や家族のために危険な仕事を請負う旧友もいるようだ。


 男は残る五人へ意識を向けたが、それぞれの《声》から位置関係と進行方向を知ることは叶わなかった。


 先に女が接近する微かな気配に気付き、男へ指示を送る。二人は瓦礫の陰へ再び身を潜めた。


 暫く経った後に、先行した仲間と合流を果たし五人となった刺客が、警戒しながら引き返して来た。倒れている三人を見つけた彼らの《声》に、仲間を失った苛立ちと傷み、見えない敵への恐怖が混ざり込む。


 彼らの一人が、倒れた仲間の状態を確認するために接近した。身を屈めて触れる間際、男は闇の奥深くから影となって躍り出た。


 それを見た刺客が叫び、一帯に響き渡る。


 地下迷宮の天井をなぞるように、金属が擦れる音が走った。次の瞬間、針状の投げナイフが、異形の男の足元を掠める。ナイフに塗り込まれた毒の種類から、狙いを定めた位置までも、《声》から取り込んでいた彼は、それを冷静に躱した。


 曲剣を携えた一人が仕掛け来る。体勢を崩さぬまま男は岩の苔を蹴り、斜めに身を滑らせて躱した。


 無感情に、次々と襲い来る剣撃を躱し続け、反撃を繰り出す。返り血を浴びても黄金の瞳は濁らず、ただ次の獲物へと冷静に移って行った。


 彼の拳は岩壁を砕き、天井や足元にまで大穴を開けて通路を叩き潰す。怯んだ相手を掴んで力任せに放り投げる度、敵の陣形と連携が崩れ、地下迷宮に喧騒と混乱が拡大していく。


 女は戦況を物陰から観察していた。男が示す圧倒的な破壊力は、彼女の想像を超えるものであった。

 手渡した道具を説明も受けずに使い熟し、誰の指示も受けずに、背後からの攻撃さえ黙々と躱す。地形を活用し、動線を分断させることで、統率さえも切り崩していく。

 異形の男が心優しい庇護者でも、血に飢えた怪物でもないことを彼女は改めて認識した。

 


 

 最後に残った刺客が苦々しげに顔を歪ませ、指笛を鳴らした。撤退の合図だ。


 自ら殿を買って出たリーダー格の男が、静かに呼吸を整え、曲剣を構え直す。対峙する異形の男は躊躇いなく前方へ駆け出し、一瞬の後に掻き消えた。

 自身の足元に大穴があることを失念して居たのだ。正確には、大穴の端が崩れ落ちたのであった。


 地下迷宮に静寂が戻る。残されたリーダー格の男は、立ち尽くしたまま標的の気配を追った。


 彼女が予測し、望んでいた通りの展開。


 異形の男は一切の動きを止め、目蓋を伏せると、周囲の《声》に沈んだ。

 塊の《声》は未だ遠い。

 

 

神降臨。綺麗にオチ真下ね。

お帰りの際は足下にご注意くださいませ。

あと何方か、肩をお貸しいただいても?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ