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流転の國 vol.2 〜闇堕ち編〜  作者: 川口冬至夜


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第32話

健康診断当日。

ミノリ嬢を迎えに現れたのは、藍色の髪を縦ロールにしてミニ丈のメイド服を着た、……誰?

予定していた通り『変化』したネクロがミノリ・アルバの休日に桜色の都を訪れた。

「さすがに男共と同じ場所で健康診断というわけにもいかないだろう?それに、お前は私にとって大切な存在だ。身体に不調がないか、きちんと調べてきてくれ」

「はっ。陛下のご配慮に感謝致します。…この方がお連れ下さるのですか?」

よほどルーリに遊ばれたと見えて、ミニ丈のメイド服を着せられ、藍色の長い髪を縦ロールにしたネクロがそこに立っている。

「初めまして。私はクロネと申します〜。生まれつき『転移』の能力を持っておりまして、本日は貴女様を健康診断の場までお連れするよう、陛下から仰せつかっております〜」

言葉遣いは丁寧だが、間延びした調子で甘ったるい高い声で「クロネ」は挨拶する。

ここまでキャラ変する必要はあったのか?

「早速ですが、よろしいでしょうか〜?」

「はっ。よろしくお願い致します!」

シャドーレはクロネに目配せすると、

「ミノリ、安心して行ってこい。お前の帰りを待っているぞ」

「はっ。有り難きお言葉にございます、陛下」

ミノリは跪き、頭を下げる。

「さぁ、こちらへどうぞ〜」

クロネは魔法陣を展開すると、あっという間に流転の國のシロマの部屋の前に『転移』した。

「こちらにございます〜」

喋り方も格好もあざといが、それが許されるほど綺麗で可愛いクロネを前にして、ミノリ嬢は思わず見とれる。

「先生、クロネです〜。桜色の都の国王陛下の側近様をお連れしました〜」

ドアを開けると、縦ロールの髪にメイド服の「クロネ」。黒魔術師に見えないように『変化』させるとは聞いていたが、あまりの変わりようにシロマはたじろぐ。

「ご、ご苦労様です。…貴女がミノリ・アルバ様にございますか?お会い出来て光栄です。私はシロマ。本日、貴女の健康診断を担当させて頂きます。どうぞよろしくお願いしますね」

フリルのブラウスとフレアスカートという服装の上に白衣を羽織り、黒髪をポニーテールにした、先生ことシロマがミノリ嬢に挨拶する。

彼女が『変化』する必要はあったのか?

「初めまして。ミノリ・アルバと申します。本日はよろしくお願い致します」

ネクロもシロマの格好に驚いていたが、

「シロマ先生、終わりましたら私をお呼び下さいませ〜」

「了解です、クロネさん」

部屋にはミノリ嬢とシロマが残される。

(やれやれ。とんだ茶番ですな)

ネクロはため息をつくと、玉座の間に転移する。そこにはルーリが待機していた。

「クロネちゃん、首尾はどうだい?」

「今、ミノリ様をシロマ先生のお部屋にご案内して来ました〜。私もしばらくここで待機させて頂きますぞ」

ネクロはルーリの顔を見ると、クロネを演じてから、いつもの声に戻り、不満そうにそっぽを向く。

「ご苦労だったな、ネクロ」

「どこかのサキュバス様のお陰で私は大変疲れました。縦ロールといい、ポニーテールといい、これは貴女様の趣味にございますか?」

「いや…せっかく『変化』するんだし、趣向を凝らしてみようと思ってさ」

と言いながら、ルーリはネクロを後ろから抱きしめる。

「クロネちゃん、可愛いよ」

「ルーリ様。からかうのはやめて下され」

ネクロはご機嫌斜めだが、ルーリの腕を振りほどくようなことはしない。

『変化』した姿のまま、健康診断が終わるのを待つネクロであった。

ご主人様監修の『変化』は縦ロールとポニーテール。

ルーリさん、やはり貴女はロングヘアが好みなのでは…?

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