第27話
『性転換』魔術が役立つ時が来るなんて。
そして、シャドーレとミノリ・アルバは結ばれます。
シャドーレは執務室で書類仕事をしていた。
「失礼致します、陛下」
「ああ、ミノリか…」
気難しい表情を少し和らげて、執務室に現れた若い側近の方を向く。
「紅茶をお持ち致しました。…陛下、少し休憩なされてはいかがでしょうか?」
シャドーレはとにかくよく働く。配下達に割り振った仕事も、出来るのが遅いと国王自ら手伝ってやる。配下達は有り難いやら申し訳ないやらで、結局国王陛下には敵わない。
「そうだな。気付けばもうこんな時間か」
朝の会議の後ここへ入り、今は午後三時。
側近が心配するのも当然だ。
「ミノリ。もう一杯紅茶を用意してあの休憩室に持ってきてくれ。一人では仕事のことばかり考えてしまいそうなのでな。…暫しの間私に付き合え」
「はっ。畏まりました、陛下。すぐにお持ち致します!」
ミノリは一礼すると、執務室を出ていく。
シャドーレも重い腰を上げて、執務室を出ると、休憩室に向かう。あのVIPルームだ。
そもそもあそこは休憩室ではなく貴賓室だが、新しい貴賓室が出来てからはほとんど使われなくなった。その為、誰も来ないので、シャドーレはミノリと二人で過ごしたい時にはあの部屋を使うようになった。ミノリもそれを分かっているので、嬉しそうにあの部屋に向かう。
「失礼致します、シャドーレ様」
まもなく、ミノリが二人分の紅茶を持って現れる。公務以外の時間は名前で呼ぶように言われている。
「…お前の淹れた紅茶はうまいな」
「勿体ないお言葉にございます、シャドーレ様。貴方様のお口に合いましたこと、大変嬉しく思います」
ミノリは本当に嬉しそうだ。
「短い髪には、慣れたか?」
「はい。数日の間は鏡を見るたびに驚いておりましたが、今ではすっかり慣れました。長い髪とは随分と時間を要する物だったのだと実感している所でございます」
確かに洗って乾かすだけでも時間がかかる。
実体験としてシャドーレは知っている。
「シャドーレ様、私の髪が伸びましたら、また短く刈り上げることをお許し下さいますか?」
思いがけない言葉にシャドーレは驚く。
「もう…伸ばさぬのか?」
「はい。今の私は貴族の娘ではなく、国王陛下の側近にして、白魔術師にございます。それに、この王宮で生きる為には長い髪は不要の物にございます。もう未練はございません」
ミノリは晴れ晴れとした笑顔でそう言った。
(ミノリ…貴女をずっと短髪でいさせる気はなかったのだけれど…)
そう思いつつ、彼女の意思を尊重する。
「そうか。…では、お前が髪を切る時にはあの理髪室に行くが良い。私が許可する」
「はっ。有り難きお言葉にございます」
ミノリが頭を下げる。
少しだけ伸びたが、顔にかかる髪はない。
「シャドーレ様は…御髪をお切りになられたばかりなのですね?」
「ああ。よく気付いたな」
普段は髪を切った所で誰にも何にも言われないので、ミノリの言葉が嬉しい。
「基本的に三週間に一度は切ることにしている。私は清潔感のあるすっきりとした髪型が好きなのでな。…あとは単純に髪を切りたい時もある」
シャドーレの言葉にミノリは首を傾げる。
「髪を切りたい…そういうお気持ちの時があるのでございますか…?」
「ああ。仕事が捗らぬ時など、大して伸びていなくても理髪室に行くことがある。時には、この髪を綺麗さっぱりと剃り落として坊主頭になってしまおうかと思うことすらある。…ミノリ、私がある日突然丸坊主になっていても、驚かないでくれ」
シャドーレがそう言って笑うと、ミノリも笑顔になる。
「シャドーレ様でしたら…どのような髪型であられてもお美しいと思います」
ミノリはシャドーレの顔を見る。
透き通るような肌に整った顔立ちをした色白の美男子。
凛々しく麗しく気品あふれる国王陛下。
思わず見つめてしまう。
「ミノリ、私の顔に何かついているか?」
シャドーレが笑いながら言う。
「あっ、も、申し訳ありません!美しい貴方様に見とれてしまっておりました。不躾な視線をお許し下さいませ…!」
「気にするな。私とて、可愛らしいお前をずっと見ていたいよ」
そう言われて、ミノリは頬を染める。
「そ、そのような…!私は自分の容姿に自信がありません…」
自分の外見の中で、自慢だったのは長い髪だけだった。ミノリは少し寂しそうに、
「私は昔から不細工だと言われて育ちました…。今も昔も魔力だけが取り柄の者にございます」
「そんなことはない」
シャドーレがミノリの頭を撫でる。
「お前は美しく可愛らしい。白魔術師としての実力もさることながら、見た目も愛らしい。心からそう思っているのだ。信じてくれ」
そう言ってミノリを抱きしめる。
「シャドーレ様ぁ……」
ミノリはそのままシャドーレに甘える。
(どこの誰がミノリを不細工などと…!もし会うことがあったら吹っ飛ばしてやりますわ)
シャドーレの心の声は時々怖い。
「ミノリ、お前は本当に可愛らしいな…」
「シャドーレ様…!」
ミノリはシャドーレに抱きしめられたまま。
顔を真っ赤にしながら、大好きな国王陛下と密着している喜びを噛みしめている。
シャドーレは自分の腕の中にいる若い娘を本当に愛しく思う。それでついキスをする。
「っ…!?」
「すまない。あまりにお前が可愛らしくて…」
驚いているミノリにとりあえず謝る。
『流転の國』のミノリとはいつもこんな感じだったので、勝手に唇が動いてしまった。
「シャドーレ様…!」
ミノリは瞳を輝かせ、シャドーレに迫る。
「女の側近とは、やはり夜も陛下の傍に侍るものなのでございましょうか…?」
「えっ?」
そういう話にはシャドーレは詳しくない。
だってツキヨ様に呼ばれたことないよ…?
シャドーレが戸惑っている間もミノリは喋り続ける。
「私でよろしければ夜もシャドーレ様のお傍におります…!どうぞ、貴方様のお望みのままに私の身体をお好きなようにして下さいませ!全てを貴方様にお捧げ致します…!」
ミノリは頬を紅潮させながら、シャドーレの返事を待つ。期待の眼差しで見つめられる。
これは、抱いていいってことかな?
「ミノリ。私は…夜まで待てないな」
そう言ってシャドーレは微笑むと、自分の寝室に『転移』する。流転の國で習得した『転移』はどちらかと言うと苦手な魔術だが、短い距離ならばなんとか使える。
「シャドーレ様、ずっと貴方様をお慕い申しておりました…!美しき国王陛下に、畏れ多くも恋をしてしまいました。私は初めてのことゆえ、ご期待に沿えるかどうか不安ではありますが、貴方様のお望みのままに、どんなことでも致します。よろしくお願い致します」
ミノリは『転移』したことなど気にもせず、すぐに服を脱ぎ始める。美しいシャドーレに抱いてもらえるのを夢見心地で待っている。
「ミノリ…初めての相手が私でいいのか?私の為に、処女を捧げてくれるというのか?」
「はいっ!私の全ては貴方様の物です…!」
ミノリはかなり興奮している。
シャドーレも覚悟を決める。
「嬉しいぞ、ミノリ」
王としての威厳を保ったまま、シャドーレはミノリをベッドに寝かせ、下着姿になった彼女の身体をじっと見つめる。
「ほう…身体も美しいな」
「は、恥ずかしいです…」
「これからもっと恥ずかしいことをするのだ。さぁ、お前の全てを見せてくれ」
ミノリのブラジャーを外すと、豊かな乳房があらわになる。誰かに似ている気がする。
シャドーレはその乳首にキスをする。
「んっ……」
ミノリは感じてしまう。
「可愛いミノリ…お前の全てが見たい…」
「はいっ…!仰せの通りに…!」
シャドーレは彼女のショーツをおろし、股を開いて、優しく愛撫する。
「あっ……」
「我慢するな。声は出して大丈夫だ」
シャドーレは久々の情事に興奮する。
ミノリのクリトリスを舐めると、彼女の身体がぴくんと反応する。
そのまま、中まで攻める。
「あんっ……」
堪えきれず、嬌声を上げるミノリ。
愛液があふれ出す。
その間に、シャドーレは自らも裸になり、そっと魔術を発動する。
「『性転換』」
ネクロが面白半分に教えてくれた、異性の身体に変化する魔術である。勿論、精液などは出せないが、今は形だけで十分だ。
しかし、時間はない。『性転換』魔術は魔力を大幅に必要とする為、長時間に渡って発動しつづけることは出来ない。
(この身体ならば、きっとミノリと繋がることが出来ますわ…!)
全裸になって男になったシャドーレは作り物だが本物のペニスをミノリの膣に挿入する。
「ミノリ……痛くないか…?」
実は『性転換』魔術を発動したのは初めてである。
シャドーレはミノリの身体が心配だが、彼女は顔を真っ赤にして興奮している。
「…あ…ああんっ……シャドーレ様ぁ………」
大丈夫そうだ。
若い身体から愛液があふれて止まらない。
シャドーレはゆっくりとペニスを動かす。快感を感じて蕩けているミノリが可愛らしい。
(男性って、いつもこんな風にヤッていますのね…)
男性化したシャドーレはなぜかセックスが巧い。
「ミノリ…美しいぞ……」
シャドーレはミノリの奥深くまでペニスを挿入し、自分も快感に浸った。
かと思えば、彼女の豊かな乳房を優しく揉んだり、乳首を舌で舐め回したりした。魅惑の死神に遊ばれた経験がこんなところで役立っている。
ミノリは可愛らしい嬌声を上げながら、最初から最後まで気持ちよさに蕩けていた。
因みに、後で確認したら、シーツに血がついていた。
ミノリは本当に処女を捧げてくれたのだ。
(『性転換』魔術で男性となってセックスをした場合、相手の女性の処女膜を破ることが出来る。…これは、ネクロ様に報告するべきかしら)
初めてのセックスに疲れて眠ってしまったミノリの横で、シャドーレは真面目に考えていた。
報告されても困る気がするけど。
それから、夜になるとたびたびミノリは国王の寝室に呼ばれるようになった。
夜でなくても、仕事の合間に、VIPルームでヤることもあった。
「ミノリ、私を満たしてくれ」
そう言って国王は側近にキスをすると、彼女の服を脱がし、アソコを舐め、優しく弄ぶ。シャドーレに余裕があれば『性転換』してセックスすることもある。
「あんっ…シャドーレ様ぁ……」
ミノリは嬉しそうにシャドーレに抱かれる。
「ミノリ、お前は本当に可愛いな……」
シャドーレさん、欲求不満だったのね。
「…ミノリ、ちょうどよかった。これから私の休憩に付き合ってくれ」
「はっ。畏まりました」
ミノリは攻められる一方なので、シャドーレが『性転換』していない時でも、彼女の身体を見る余裕はない。
その為、彼女が女であることを忘れたまま。
(この際、本当に彼女と結ばれたいわ。永続的な性転換を考えるべきかしら…)
シャドーレはわりと真面目にそんなことを考えていた。
ネクロさんの出番かもしれない。
ミノリが私の子を産んでくれたら…。
ついそう思ってしまうシャドーレ王です。




