第14話
『星の刻印』爆発。
ルーリ様、ご無事ですか…?
第4会議室が跡形もなく消し飛んだ。
ネクロは無事だったが、ルーリの姿が見えない。
「まさか結界を強化したこの部屋が破壊されるとは…。天使共の戦力はともかく、星の刻印とは想像以上に恐ろしい代物でしたな…」
そう言いながら、瓦礫と化した第4会議室を歩き回り、ルーリを探す。
「ご主人様!どちらにいらっしゃいますか!?どうかお声をお聞かせ下され!」
なおも歩き回っていると、瓦礫の下に金色の髪が見えた。ルーリだ。
「ネクロ…」
そこには、瓦礫の下敷きになり、頭から血を流しているルーリの姿があった。
「ご主人様…!」
「…こんな瓦礫など、私の膂力をもってすれば容易に破壊出来るのだが…まともに食らってしまってな、かなり体力を削られたようだ」
意識はあるが、身体の半分以上が瓦礫の下にある。ネクロは自分の魔術を発動する前に、
「少々お待ち下さいませ。…『全回復』」
アイテムボックスからシロマの魔力が込められた宝玉を取り出し『全回復』を発動した。
「…助かったよ」
そう言うと、ルーリは瓦礫を素手で砕き、簡単に脱出する。
「つくづく、恐ろしい御方でございますな…」
ネクロは初めてルーリの物理攻撃(?)を目の当たりにして、驚きつつも安堵していた。
「…さて、第4は吹っ飛ばされたが、どうやら星の刻印には勝利したらしい」
「そのようでございますな。…他に、お身体に変わった様子はございませんか?」
いつの間にか、ルーリの『変化』は解けている。勿論、刻印も消えている。
「ああ。『全回復』のお陰で怪我は治ったし、体力も回復した。…それにしても、よく宝玉を持っていたな、ネクロ」
「実は、ここに来る前にシロマ殿から託されましてございます。ご主人様がお怪我をされるようなことがあれば、すぐにこれを使って欲しいと言っておりました」
「そうか…お陰で本当に助かった。後でシロマにも礼を言わなくてはな」
ルーリはシロマの顔を思い出して微笑む。
「だが、一番は私と共に第4へ入ると言ってくれたお前のお陰だ。ありがとう、ネクロ」
「勿体ないお言葉にございます、ご主人様」
ネクロが跪き、頭を下げる。
強力なシールドを張り続けていた為、彼女は無傷のようだ。
「お前が無事で良かった。第4はこの有り様だが、しばらくは他の部屋に結界を張ることで間に合わせるとしよう」
ルーリは瓦礫の山を見上げる。
「…ところで、他の部屋は無事でしょうか?」
急にネクロは周囲が気になり始める。
ルーリは頷いて、
「結界部屋がこれだけ派手に破壊されてしまったからな…隣の部屋も確認しに行くか」
隣は、ここから少し離れてはいるが、第3会議室がある。そこはマヤリィの遺体が安置されている場所。頑丈な棺に守られてはいるが、なんだか嫌な予感がする。
第4会議室から出ると、廊下もところどころ崩れかかっている。
「もしや第3会議室まで衝撃が…!?」
転移するという選択肢も忘れて、二人は第3に向かって走り出す。
「そんな…!壁がない…!」
第3会議室は半分ほど崩れ落ちていた。
しかし、第4会議室と比べると、不自然な崩れ方のように見える。
「マヤリィ様…!」
ルーリは真っ先にマヤリィの元へ駆け寄る。
しかし、棺は割れており、マヤリィの遺体もなくなっている。
「そんな…!マヤリィ様が…!!」
ルーリは動揺する。
「第3会議室には誰でも入ることが出来ますが、最大限に強化を施したマヤリィ様の棺を割るとは…何者の仕業でございましょうな」
ネクロは冷静に分析しようとするが、かなり動揺している。
「…ネクロ。…これ、中から割れている…?」
ルーリも出来る限り現在の状況を正確に把握しようと、棺をいろんな角度から見てみる。
「まさかマヤリィ様が自力で生き返られた…?そんなことが…あるのでしょうか?」
ネクロは混乱しつつも、ルーリの言う通り、棺が中から破壊されているのを確認する。
「…マヤリィ様が生き返られたとしたら、今どこにいらっしゃるのだろう…?そして皆は今どうしているのだろう…?」
ルーリとネクロは顔を見合わせる。
マヤリィが甦ったかもしれないというのに、二人は喜びではなく恐怖を感じる。
嫌な予感がする。
「今の所、マヤリィ様のものと思しき魔力は感じられませぬ。まずは皆と合流致しましょう」
「そうだな。それが最優先事項だ」
ルーリは頷くと、皆に向けて念話を送ろうとした。
マヤリィ様の身体はどこへ消えたのだろう…。
戸惑いつつも、ルーリは皆に念話を送ります。




