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ある意味人生の始まり

 あなたは、ふと鏡を見ることがあるだろうか?

 

……なんて、そんなことは愚問か。

 

 当たり前のようにあるその存在を毎日覗き、身だしなみを整えるなり、鍛え上げた筋肉を見て微笑むなんてことは、きっと誰でもすることだろう。


 その日の俺もそうだった。


 歯を磨く時に使ったし、出社する前に身だしなみの最終確認でも使った。

 もっと言えば、急に訪れた腹痛で駆け込んだ駅のトイレから出る時に内心これやっべーわ遅刻だわとか思いながらも、どうせ間に合わないならとやけに落ち着き払った心持ちで乱れた髪型を直したりするときにも勿論覗いた。


 さらに言えば、腹痛どころではないほどの目眩が起きた為、ワンチャン休めないかなぁとか考えながら遅刻の連絡をしたら、いいから這ってでも出社せよとの言葉を上司からありがたく受け取って、もう構うものかと開き直って休憩するために入った喫茶店にもあったのだ。


 鏡というのは、当たり前だがどこにでもあるものだ。

 でもそんな鏡をふと覗いた時、それが扉に見えてしまったのはきっと俺だけなのだろうと思う。

 そして、この場所を選んだことを、俺は一生後悔しないだろうと。

 だから心配しないで。俺は、元気にやってます。


 2028年某日


 行方不明者の者と思われる手帳より抜粋

 

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