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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

nightmare

作者: 流鏑馬嵐









私がまだ王女だった頃、普通のどこにでもいる王女だった。





国内での私の評価は、

真面目一辺倒で頭の硬い王女様。

美しく朗らかな妹姫の添え物。

婚約者からも相手にされない女。



そんな所かしら???



まぁそんな評価は私の精神を少しは削ったけれど、爪の先程よ。

だってもっともっと抉ってくる生き物が周りにいたらそんな小さな傷、気にならないでしょう??



公務を長女に押し付け妻と次女ばかり溺愛する父親。


一国の王妃であるにもかかわらず甘言ばかり言う貴族にチヤホヤされ王の寵愛に胡座をかく母親。


公務も無く茶会だ夜会だと遊び回り、親にも婚約者にも相手にされず可哀想と姉をさげずむばかりの頭空っぽの妹。


自分を分かりやすく慕ってくる婚約者の妹姫を庇護欲をそそる可愛らしい少女であると決めつけてそんな妹を虐げると言って言いがかりを付けてくる婚約者。



よくまともに育ったと思うわ。


いえ・・・・今思えばまともに育つはずがなかった、のよねぇ。




あの頃は己を律し王族としての矜恃でなんとか立っていたの。

矜恃どころか王族としての奢りしかない家族に囲まれて。



時々あの頃の夢を見るわ。

悪夢じゃないのよ??結末が分かっているからそこまでに至る前の序章とて楽しんで、結果スッキリと目覚められるもの。


知ってるでしょう?




けれどダメね。


あの人が夢に出てくると。


悪夢になるわけがない。



夢でもいいから一目逢いたいって毎日思ってるもの。


でも夢で逢えば起きた時、彼が居ない事が悪夢のよう。



そうね。

私はあの時から1人悪夢を生きているのよ。




後悔???



そうね。後悔してもしきれない。

なぜもっと早く、殺さなかったのか。

なぜもっと早く、計略を回さなかったのか。

私にはそれをできる力も人脈もあったのに。




忘れもしないあの日、愛するあの人が死んだ。



私が愛したが故に。



私の愛する人を取り上げる為だけの、妹の嫌がらせのせいで。

妹に甘い父親は進んで周りを整えて、母親は他の貴族家にそれとなく根回しして。


なんの罪もない一人の男を陥れて、殺した。













だから私も殺してやったわ。



王家に伝わる毒薬を薄めたものを私が居ないのが当たり前の家族の晩餐に忍ばせて。

私が居ないのに私の婚約者は居るのよ??


頭おかしいわよね。




まぁでも一緒に始末できるし手間がかからなくてよかったわ。



意識を失って上からも下からも垂れ流しの肉袋達を専用の部屋に連れ帰って、生きてることを後悔させてあげたわ。



死なない程度の毒でも、毒は毒。

喉は焼け臓器が爛れて四肢は痺れ動かない。



悲鳴が少ないのはつまらなかったけれど、あの蛆虫共のよく分からない理解できない常識とやらを喚かれなくて良かったわ。




貴方のおかげでとても楽しかったぁ。



ふふ。

またあの遊び、したいわね??




貴方に色々やり方を教わったおかげで今も時々まだ生きてる肉袋で遊ぶ時もあるけれど。




あの4人で遊んだ時ほどの高揚感は無いわねぇ。



あの肉袋達にたかる羽虫の様な奴らも全て肉袋になってしまったし、かといって罪のない人間を罰するなんてあの蛆虫4人みたいじゃない?




私は、やはり己を律し王族としての矜恃で今も立っているのよ。


同じ生き物だと思いたくないの。




だから私は彼が愛したこの国をより良くするためにこの悪夢を生きていくわ。



本当は国も人もどうでもいいのだけど。


あの人か、あの人以外か。



やはりまともに育つわけが無いのよねぇ。




ふふ。



貴方もそうでしょう??



自分か、自分以外か。





だからこそ貴方を王配にしたのだから。




この悪夢を少しでも楽しくするために。












__________________________



王国歴302年。

病により第13代国王ライオネル没す。

同年第14代女王ミリアルド即位。

王国の歴史に残る栄華を築き、偉大なる女王として長きに渡る平和と繁栄の礎となる。




素晴らしき女王と記されるものの王配は名前のみで、後継は王配の子供ではない事は後世まで謎として様々な解釈を産んだ。



__________________________











あら、その赤子はどうしたの??



まぁまぁまぁ!!!!



あの方の遠縁の。そう言われれば似てる気も。



ふふ。





本当に、貴方のおかげでこの悪夢も楽しくて仕方がないわ。









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