第3話 膠着する戦場
多数の指摘を頂きありがとうございます。今日から書き方を変えて〇〇視点という書き方はやめてみました。読みにくいとか何かありましたらコメントで教えてください。よろしくお願いします。
バーン8世法皇は、伝令の兵士による「ライトデスガン部隊全滅」との報告を聞き頭を抱えた。側近の「光魔法を使えるならライトデスガンを使えるのです。奪還しましょう」という、安直な考えにも辟易していた。確かに理論上は、光魔法を使えればライトデスガンを扱える。だが、事はそう簡単ではない。今、この戦場に側近を含めて光魔法を使えるものがどれだけ残っているかという事だ。2万もの光魔法従事者が一瞬で怪我ではなく惨殺だ。ワシは伝令に「ライトデスガン部隊の守りを任せていたはずのイスルギ傭兵団は如何した?」と尋ねた。伝令は、クエスチョンマークを浮かべ「それがその」と言い淀む。側近が「ええい焦ったい。とっとと話さぬか」と凄み、意を決したように伝令は「居ないのです」と言った。ワシはまた頭を抱える事となる。イスルギ傭兵団は、1万5千の兵力を持つ、我が国における最大戦力の傭兵団である。それが跡形もなく消えていたと、この伝令はそう言っているのだ。2万のライトデスガン部隊は全滅、ライトデスガンも敵の手の中、さらには1万5千のイスルギ傭兵団の突然の敵前逃亡。当初10万いたこちらの兵力は6万5千。いや前線で吸血鬼と戦い討ち死にしているものもいるであろう。とすると、多く見積もっても6万か。対する吸血鬼共は、当初8万からライトデスガンで減らしたとはいえ、まだ5万は戦えるであろう。「まずいな。この戦いは長期化する」とワシは呟いた。
レオンダイトは、敵の攻勢が止んだ戦場を眺めていた。「兄上、リリ様が参っています」とウルファスが言うので、僕は「通せ」と伝えた。クレオの従魔であるリリは伝説の魔物ヘルハウンドだ。我がラーキア城の中庭に現れた時は、リリアやウルファス、ホワイティと倒すべく共闘したが全く敵わず睨み合いをするのが精一杯だった。当時1歳のクレオが、リリの前に行った時には、肝を冷やしたが、それよりもクレオが、リリを手懐けてしまったことに驚いたな。そんなリリが今は吸血鬼軍の援軍としてクレオより派遣されている。これほど頼もしい事はない。リリは流暢な魔族語で「失礼します。レオンダイト様、我が配下の軍団により、ライトデスガンを排除することに成功しました。攻勢をかけるなら今かと」と僕に告げる。クレオの従魔には、いつも驚かされる。全員が魔物語だけでなく魔族語や人語のみならず主要言語をマスターしているのだ。思えばクレオも1歳の時から主要言語をマスターするべく、ホビット族やドワーフ族にも協力をしてもらったな。それを従魔たちにも徹底させている。この様子だと魔頂村とやらの魔族たちも主要言語を学ばされてるかもしれんな。「レオンダイト様?」リリの心配そうな声で我に帰る。「あぁ。すまない。少し物思いに耽っていたようだ。此度の援軍及びライトデスガンの排除、誠にかたじけない」僕はリリに頭を深々と下げる。「レオンダイト様は、我が主玲王様の大事なお父上様、お助けするのは当然のこと」とリリは言う。僕はリリやミミやマフランが何故クレオではなくれおと呼んでいるのか?不思議に思ったので尋ねてみた。「不思議に思われるのも無理もないことです。しかし特別意味があるわけではないのです。私にとっては玲王様のが親しみがあるということだけです」リリはそう返答した。「まぁ、クレオが認めているなら、僕がとやかくいうことでは無かったね。気を悪くさせたなら申し訳ない」と僕は確かにそれはクレオとリリの距離感の問題だ。深く切り込むべきでは無かったと思い誤った。リリは「確かに不思議に思うのは、無理もないこと。気を悪くする事はない」と僕に優しい目を向け言った。僕はリリに「話を戻すけど攻勢をかけるのは無理なんだ。思った以上にコチラも多くの吸血鬼を失った。怪我人も含めると動員できる最大兵力は3万だろう。それを悟らせないためにも動くのは悪手だ。この戦はこれから膠着状態に入り長期化するだろう」と告げる。リリは話を聞き「玲王様の方も心配ですが、あちらにはマフランが居ます。暫しここで、レオンダイト様の援護をすることにいたしましょう」と言った。伝説の魔物同士で連携も取り合っている。本当に良い従魔を持ったなクレオ。
「クシュン」僕の突然のくしゃみにアリッサが覗き込み「クレオ様、大丈夫ですか?」と心配してくれる。「アハハ、誰か僕の噂でもしてたのかな」と言うとアリッサは「噂???」とクエスチョンマークがたくさん出ているようなので、僕は「うん突然のくしゃみはね。遠いどこかで誰かが僕のことを思ってくれてるってことかな」って言うとアリッサは「きっとリリですね。あの子は、クレオ様のこと人一倍心配されていますし、それに誰よりもクレオ様のこと大好きですから」と言う。僕はアリッサを抱きしめて「ひょっとしたら風邪かもしれないから、アリッサのモフモフで暖まらせて」と身体を擦り付ける。アリッサは「クレオ様、風邪なら近寄らないでください」と僕を退けた。ちぇっと思いながらもこの間にも少しづつ出来ていく要塞を眺めていたのだった。
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