第28話 援軍に向かう道中!
【クレオ視点】
ランスホース帝国はどうにかなったので、レオンダイト父様の援軍に向かうべく準備をする。
流石にみんなで行くわけにはいかないので、魔頂村の臨時領主をエレインに任せ、マフランにも防衛のため残ってもらい、僕はアリッサだけを連れ向かうつもりだったがシュテンが護衛を申し出てきたので頼むことにした。
僕とアリッサとシュテン隊でラーキア城に向かう。
「シュテン、護衛ありがとう」
「殿気にするでない。それとリグレスト聖教国なのだが、昔はあんな感じではなかったのだ」
「どういうこと?」
「我が魔素から意識を取り戻し、行くあてもなく彷徨っていた頃、リグレスト聖教国の神父が助けてくれたのだ」
「でもそれは、不死を恨んでいるだけで魔族を恨んでいるわけではないからじゃない?」
「我は不死ぞ。魔素で魔族となり、ジャッカロープの乳で意識を取り戻した時に不死になっていることに気付いたのだ」
「えっじゃあタマヒメも?」
「えぇ、恐らくですが、死んだものを生き返らせ暴れさせる魔素で魔族となり意識を取り戻せば不死となるのかと。とんだ副産物ですわね」
「当然のようについてきてるのね。ハハハ」
「今の私はシュテン様の行くところが居場所ですもの」
「俺も兄貴に当然ついてきてますよ」
「クレオ様、賑やかなのは良いことだよ」
「確かにね。あっところでイバラキはどうして実の兄弟では無いのにシュテンを兄貴と慕っているの?」
「話すと長くなりますが良いのですか?」
「まぁ、着く前に終わるなら」
「善処しましょう。俺は昔山の中に棲む暴れん坊のオーガで近くの街から人間の女を略奪して、侍らせていたのです。当時から人間の女の美しさに目を奪われておりましてな。略奪と言ってももちろん同意の上ですよ」
「どこが同意の上だ。我が見つけた時、相手は嫌がっておったでは無いか。ガハハ」
「あれはたまたまだぜ兄貴」
「どうだかなぁ」
「まぁ話を戻すと、そういうことを繰り返しているともちろん討伐軍が組織される。最初の方は返り討ちにして、女は持ち帰り、男は打ち捨てたんだ。討伐軍側はそれに痺れを切らしリグレスト聖教国の傭兵部隊に討伐依頼を出したんだろう。その傭兵の中に兄貴が居たんだ」
「まぁ当時の我はリグレスト聖教国の神父に助けられ傭兵をしておったからなぁ。討伐依頼のクエストも受けなくてはならなくてな」
「俺はその傭兵隊とも互角に渡り合っていたんだ。そんなことを繰り返していると傭兵隊との睨み合いに突入した」
「我が傭兵隊に単独で潜入して討ち取ってくると進言して任されイバラキの寝所に忍び込んだのだがそこでな」
「俺が人間の女に枝垂桜海洋国家原産の着物とやらを着せ、その帯を引っ張って遊んでおったのだ。恥ずかしいぜあんな姿を見られていたとは全く」
おいおい時代劇で昔見た帯を引っ張ってあーれーって、はだけさせるあれか?
だとしたらイバラキは現実世界の時代劇なんてたまらないだろうなぁ。
「思いの外楽しそうな人間の女のがびっくりしたがな」
「俺の大事な妻だ。目が見えないのにやりたがるがとても楽しそうでな。そんな妻に友達を作ってやりたくて人間の女ばかりを連れ帰っていたのだがな」
「アイツは兄貴の言葉を聞いて俺のやってることを知ってな。『どうしてそんなことをしたの?私はあなたといられるだけでとても楽しいのにみんなを返して』って、だけどタダで返すのは納得できなくてなぁ。あにきに挑んだんだよ」
「まぁ、そこそこやりはしたが所詮暴れん坊、傭兵稼業で多くの強者と戦った我の足元にも及ばなかったがな」
「兄貴に負けた俺は皆を返し妻だけを連れて、山奥に移ったんだよ」
「まぁまぁ懐かしい話をしておられるのですねぇ」
「ツバキ」
「ツバキ?」
僕のきょとんとした顔を見たイバラキが説明する。
「話に出てた人間の女で俺の妻です」
「今はオーガになっちゃいましたけどねぇ」
「どういうこと?」
「殿、簡単な話です。魔素の素がオーガから抽出されるものなんですよ。だから魔素を打たれたグィネヴィアもオーガになった。それを胎内に毎日のように摂取していればあぁなります」
「それはねぇ。その赤ちゃん欲しいんだから仕方ないですわよねぇ」
「でもツバキは最初から意識保ってたんだよね?どういうこと?」
「あぁなるほど、殿どうして魔族が人間を繁殖相手にするか知っていますか?」
「いや」
「人間の身体は作り替えやすいからですよ。要は同族以外での繁殖相手にピッタリなんです。それを時間をかけて魔素を注入して魔族に作り替えていく。それを一度に大量に打つとどうなるかもうお分かりになりますなぁ」
「魔素の暴走」
「殿、正解ですぞ」
「でもそれならラグラスやリンもいずれは魔族に?」
「ハハハ、心配ないでしょうなぁ。リン殿はエルフのまま子供を出産しましたしエルフは元々魔素に耐性がありそうですなぁ。ラグラス殿は男ですからなぁ」
「もっと単純な話だと思うわよ。その人のことを愛していてその人と同じになりたいって思ったら変化してるんじゃないかしら。その形が魔族それぞれできっと違うのよ。リンちゃんはダークエルフを産んだ。ツバキちゃんはイバラキとずっと一緒に居たかった。私はクレオ様と一緒にいたくて印付けてもらったわけだし」
アリッサの言葉に何故か皆が納得していた。
「そうですわねぇ。私もイバラキとずっと一緒に居たいと思っていたらそのうち眼も見えるようになって、身体も変わってましたわねぇ。お陰で今ではずっといられるわけですし何も問題ありませんわねぇ。むしろ人間で居た時より幸せかもしれませんわねぇ」
「私もシュテン様とずっと一緒に居たいと思えばもっとオーガらしくなれるのか。頑張らないと」
「タマヒメよ。ランスロット殿のことはもう良いのか?」
「愛していたとは思います。アーサーに相手にされず1人寂しく過ごしていた私に手を差し伸べ優しくしてくれました。ですが魔頂村で皆を見て愛とは愛し合うことだと教えられました。私はランスロットからの愛に依存していただけだと気付いたのです。私は自分から動かないそんな女だったのでしょう。男に依存して生きてきた。ですがシュテンを魔族に変えてしまい罪滅ぼしで側にいるわけではないのです。私はシュテン様の御心に触れ、貴方と共にいたい貴方の側で戦いたいと思っているのです」
「ガハハ。そちに大層気に入られたもんよなぁ。我は全然構わん。我は殿に心底惚れとるがなぁ」
「僕に男の趣味は無いよ」
「我にも無いぞ。殿の器の広さの方だ」
「あぁそっちか。いやそんなに広く無いと思うが」
「いやいや大望でしょうよ。そうでなければ魔族に産まれたものが他の魔族の前であのクソ魔王とか言えませんって」
「いやイバラキ、アイツはマジでクソだぞ。一度会ったがアイツは絶対殺すって決めるぐらいに」
「そんなにですかい」
「そりゃ殿が次の魔王になってくださるのならこれほど良いことはございませんなぁ」
「毎日美味しい飯が食えるぜ」
「敵対行動を取らない限り融和ですし」
「俺たちを捨て駒じゃなく接してくれるしなぁ」
「挙げれば挙げるだけ良いこと尽くめじゃねぇか」
シュテン隊の面々が口々に言う。
「もうやめてよ〜照れるじゃ無いか」
「皆がついて来てくれるそれが殿が器の広い証ですぞ」
「シュテン、明日は焼肉パーティーにしよう」
「流石殿わかってらっしゃる」
魔素についても少しわかり、シュテンやイバラキの過去についても少し触れられ、そうこう話しているうちに吸血鬼領の国境付近に差し掛かり、止められた。
ここまでお読みくださりありがとうございます。




