第14話 スレイブシティ改めホープシティ
【クレオ視点】
モネに案内され一際大きな館の前で足が止まる。
「えっ凄い大豪邸?」
「あっここは娼館で働く全ての女性たちが心安らげる共同住宅ですよ。私はここの管理室にてオーナー業務をしているのです」
すると1人の少年が走って来た。
「あっモネさん、おかえりなさい」
「ユタ、お客様の前ですよ」
「ごめんなさい、ようこそスレイブシティへ。僕はここでモネさんの護衛をしているユタ。小さいけどホビットとゴブリンの忌御子のボブゴブリンなんだ。こう見えても館1力持ちで母さんたちから頼られてるんだからな」
えっへんとドヤ顔している。
「母さんたち?」
「おぅ、オイラはここで産まれたんだ。だからここにいるみんなが母さんだ。家族を守るのは当然だ」
「ユタ君は偉いね」
頭を撫でようとすると払い除ける。
「おい、俺の頭を撫でて良いのは家族だけだ。余所者のテメェが撫でようとするんじゃねぇ。次やったらお客様でも容赦なく引っ掻くぞ」
「ごめんごめん」
「ユタ、見回りの続きとみんなの様子確認しなくて良いの?」
「あーそうだ。昨日来てたクソ商人は手荒な奴だから。母さんたちの様子を確認しに行く途中だった」
そう言ってユタは駆け足で館の中に戻った。
「ユタが失礼いたしました。ではお入りください」
モネさんの案内に従い管理人室と書かれた部屋に入る。
「では先ほどのお話の続きをお願いいたします」
「隷属の首輪の件でしたね」
「えぇ。解除できるとの話でしたがあれは魔王が作りし永続の契約と聞いています。そのようなものがとても解除できるとは思えないのですが」
「普通はそう思いますよね。ですが僕は過去に鬼人族と竜人族につけられていた隷属の首輪を解除し破壊しています」
「そのようなことが可能ならこの街の住人たちを救うことができます。どうかお願いいたします。クレオ殿いえクレオ様どうかこの街の住人をお救いください」
「わかりました。ですが解除して破壊したことがバレれば魔王はこの街を破壊するための兵を派遣するかもしれません」
「そのようなことになろうとも私たちはクレオ様に御迷惑はかけないとお約束いたします」
「いえ、そこで提案なのですが今まで通り娼館街としてやっていくつもりはありませんか?」
「クレオ様は私たちに凌辱され続けろとそういうのですか?ふざけないでくださいまし」
「いえそういうわけではありません。今のままでは娼館での仕事しかないのです。ですが普通の生活に戻りたい人と娼館で働き続けたい人に分けることで娼館で働く人、子供たちを預かる人、買い出しを担当する人、街の清掃をする人など。多くの仕事が産まれるはずです」
「選択の幅を持たせるべきだということですね」
「えぇ、娼館の仕事に信念と誇りを持っていた人もいるのではないでしょうか?例えば誰かダウンの時には率先して変わったり、そういうことが元々好きな人がいたりそういう人たちに娼館で働いてもらって賃金を渡すのです」
「賃金?今までは私が受け取り修繕費や清掃、食料の購入に充てていましたわ。それを皆に分配するのですか?」
「えぇ各々で好きなものを買ったりできるようにするのです」
「そうしたいのは山々なのですがここにくる行商人は魔王領の人で、物価がその高いのです」
「えぇそこでもう一つの提案なのですが僕と通商条約を結びませんか?」
「通商条約とは何でしょうか?」
「お互いが街を行き来し合うことができ、お互いの必要なものをお互いが補い合う対等な貿易関係のことです」
「えっそれはクレオ様の街が結んでくださるのですか?私たちにはお渡しできるものは無いのですが」
「そんなことはありません。下世話な話ですが僕の街も男が多いですから所謂そのやりたくなるものが居てもやる相手が居ない者もいるわけでして、、、そのものたちの相手をしてもらいたいのです。勿論、対価としてお金は払います。それにこれだけの種族がいるのなら特産物とかもできるかもしれませんからね。僕として結ぶことに得しか無いんですよ」
「そこまで言ってくださるのでしたら是非結ばせてください」
「それにスレイブシティなんて陰気くさい街の名前もこの際変えましょう」
「街の名前を変えるなんて考えたこともありませんでした。そうですね。新たな門出のために名前も変えましょうと言いたいのですが良い名前が浮かびません」
「それならホープシティなんてどうですか?意味は希望の街っていうのですが」
「確かに今まで絶望に溢れていた気がします。皆と共に頑張って行くのですからホープシティですか。すごく良いと思います。でも名前の前に先ずは隷属の首輪の解除をお願いしますね」
「そうでしたね。では皆を集めてください」
「今なら皆部屋で寝てるはずなので私と共に回りましょう」
僕はモネさんの案内に従い、部屋を周り隷属の首輪を解除して破壊した。
その後首の周りについてるように見える認識魔法をモネさんが施す。
最後の部屋にはユタ君が居た。
「モネさんとテメェは余所者。何でモネさんといるんだ」
「ユタ、お客様に失礼でしょ。すみませんモネさん、お客様」
「気にしないでください。アユさん。それよりお身体の方大丈夫ですか?」
「えぇ、昨日相手するはずだった人も急に来ませんでしたし、お陰でゆっくり休めたので元気になりました。その方は今日のお客様でしょうか?」
「いえ、僕は貴方の隷属の首輪の解除しに来たクレオと申します」
「まぁ、そうなのですね。クレオ様?どこかで聞き覚えがありますね。あっ思い出しましたわ。ピレネ様が話してくださった。ホビット語が話したいと家庭教師をしていたという風変わりの吸血鬼さんですね」
「ハハハ、ピレネさんにはほんとスパルタで教えてもらいました」
「スパルタ?」
「みっちりきっちり教えていただいたってことです」
「ピレネ様は厳しさの中に優しさを兼ね備えた人ですから。話すと逢いたくなりましたわ。私がここに来て5年月日の流れるのは早いものです」
「おい余所者、母ちゃんの隷属の首輪の解除ができるってホントか?父ちゃんは母ちゃんを愛してしまったが故に魔王に目の前で殺された。その時の魔王の言葉は忘れねぇ。『ゴブリン如きがホビットの女を愛すなど身の程を知れ』とか言いやがった。あのクソ野郎は絶対俺が殺してやる」
怒り心頭のユタ君の隣で隷属の首輪がパキッと音を立てて崩れる。
「こんなに簡単に壊せるものなのかよ?あんた凄えなぁ。気に入った。決めたユタはアンタのモノになる」
「はっおいおい男の子がそんな言葉まだ早いぞ〜」
「えっユタは女の子ですよ」
「ええええええ、だって一人称俺って」
「ホビットの女は惚れるととことんしつこいので覚悟してください」
「モネさんそんなこと言わずに助けて〜」
「ユタ、貴方はまだ4歳でしょ。暫くはこの街だみんなを守ってもらわないとね。まさか私たちを捨てて行くのシクシク」
「そんなことしないよモネさん。将来お嫁さんとしてもらって欲しいなって」
ちらっと流し目でこっちを見ないホントに4歳かこの子(笑)
まぁ魔族は10歳で現実世界で言うところの成人らしいがそれにしても8歳だろ末恐ろしいぜ異世界。
全員の隷属の首輪の解除が済むと新しい街の発表をして、みんなが街の領主にモネさんを推した。
モネさんはみんなの言葉を受けるとホープシティの領主に就任し、僕の街との通商条約の締結を宣言した。
ここまでお読みくださりありがとうございます。




