第15話 10歳を迎える
【クレオ視点】
後半年で10歳になる。
鉄があれば次の段階の製作ができるのだが採掘鉱山のほとんどがクラフト王国にあるらしく魔族領には無いそうだ。
詰みかもしれない。
はぁ〜と頭を抱える僕。
「玲王様〜前にね見たかもしれないの。鉱石を背中に背負ってた狐さん」
ミミを抱き抱えて聞く。
「ミミ、でかしたぞ。その狐をどこで見たんだ」
鉱石を背負った狐なんて十中八九魔物だろう何としても捕まえて従魔にしないと。
「うーんとね〜。エルフさんに追いかけ回されてた時だから多分ヒメボシ川の近くにある森の中だったと思うの」
「ミミ、ヨシヨシ。御褒美にフルーツタルト作ってあげよう」
「わぁーいなの」
この世界だと魔法がある分調理の時間は大幅に短縮できるので難しいフルーツタルトも楽々だ。
ミミは美味しそうにフルーツタルトをモグモグしている。
僕はヒメボシ川の近くの森に向かった。
小さい穴を探しそこに狐の好物とされるネズミの姿揚げを置いて隠れて観察する。
もちろんただの姿揚げではない美味いラットモーグルに味付けを施した。
しばらく待っていると狐が巣穴から出てきて美味しそうにラットモーグルの姿揚げをパクパクと食べている。
「はわわ〜こんなに美味しいの初めて食べたコン。ラットモーグルの肉って食べにくくて嫌いだったけどこれすっごく美味しいコン。あっもうなくなっちゃったコン」
僕はそれを聞き狐の前に出て行った。
「あっやばいコン。逃げるコン」
「待って、その肉まだあるんだけど食べたくない?」
じゅるりと音が聞こえるぐらいに涎を垂らしながら狐が近づいてくる。
「こんなに美味しいラットモーグルの肉がまだ食べられるコン?」
「うん、まだまだあるけど1つ条件があるんだ」
「うっなんだコン」
「僕クレオ・ヴラッドと従魔契約して欲しいんだ。そしたら毎日食べ放題だよ」
「するコン。今すぐするコン。私はクリスタルフォックスっていう種族だコン。毎日の食事の御礼に鉱物、鉱石、岩石などを生成できるコン。それでどうかコン」
「鉄とかも生成できるか?」
「そんなの余裕だコン」
僕はクリスタルフォックスを抱きしめて血の入った盃を飲み干してもらい従魔契約した。
「君の名前は今日からタマモだよ。これからよろしくね〜」
「クレオ様、こちらこそよろしくだコン」
これで更なる製作がフフフ。
製作をすること半年、とうとう10歳になり僕はこれより魔王様の人質となる。
「クレオ、あんな決断しかできなかった不甲斐ない父を許してくれ」
「クレオ、母さんは貴方と離れたくないわ」
レオンダイト父様とリリア母様にギュッと抱きしめられる。
「私が必ずクレオ様をお守りします」
「アリッサ、残念ながら今回アリッサをお供に付けられないんだ。ドレッド魔王様は誰のお供も許さぬクレオ1人で魔王城に来るようにとのことだ。幸いアーロンもいるので最悪の場合はアーロンがなんとかしてくれると思うが今は堪えてくれ」
「そんなあんな敵だらけのところにクレオ様お1人で向かわせるなんてできませ」
言い終わる前にウルファス叔父さんがアリッサの首に手刀を放ち気絶させる。
「クレオ様のご武運をお祈りしております」
「ウルファス叔父さんもアリッサのことお願いします」
「クレオ、うっうっ」
「母様泣かないで、僕が居ない間従魔たちの世話お願いします」
「えぇわかったわ。クレオも身体に気を付けてね」
「クレオ、お前はこの10年で逞しく育った。何があっても耐えられるはずだ」
「父様やみんなのお陰です。それでは行ってまいります」
皆に見送られながら僕はそう言うと魔王城に向かった。
「初めまして魔王様。クレオ・ヴラッドと申します」
「お前がクレオ・ヴラッドか。今日から俺の人質だがなぁ。そうだなぁ先ずは靴でも舐めてもらうか。ほらクレオ近くに来て跪いて靴を舐めろ」
僕は言われた通りにドレッド魔王様の目の前に跪いて靴を舐める。
「ハッハッハッ愉快愉快。あのレオンダイトのガキにこんなことさせれるなんてなぁ。そうだなぁ次はその場で上半身裸で裸踊りでもしてもらうか」
僕は言われた通りに上の服を脱ぎ裸になり裸踊りをする。
「ハッハッハッこれまた愉快愉快。本当になんでもするんだなぁ。そうだなぁ次は」
「もうそれぐらいにしておくのが良いかと」
「ゴレオン貴様如きが我に指図するな黙っておれ」
「くっ」
「水を差しおって興が覚めたわ。おい鬼人族のオンナ乳を飲ませろ」
「あのここではその人目が」
パチーンと音が鳴り鬼人族の女性が倒れる。
「すいませんすいません従いますからもう殴らないで」
「鬼と人の間に産まれたクズが誰のおかげで生きていられると思ってんだその顔と乳にしか魅力のねぇ馬鹿女がよぉ。次逆らいやがったらお前の首を切り落としながら子供産ませるのも良いなぁ。あっ今からやるかなんなら」
「ごめんなさいごめんなさいもう逆らいませんから許して」
そう言って乳を丸出しにしてドレッド魔王様に吸わせているが時折噛んでいるのだろう。
「痛い」と泣き叫んでいる。
「フン、貴様なぞ我の優秀な子を産む苗床としての価値しかねぇ。次も悪魔族ではなく鬼なんて産みやがったらわかってんだろうなぁ」
「はい次こそ必ず悪魔族を産みますからどうかどうか」
「チッわかればいいんだよ」
この世界では異種族の交配は可能だがどちらか一方の姿で生まれるのが基本みたいだ。
なので僕のように吸血鬼とエルフのハーフや鬼人族のような鬼と人とのハーフなどは忌み嫌われる。
「クレオ、貴様が我の人質として教養もないのは示しがつかんというドラゴレアムの言があってなぁ。そういうことで明日から魔族初等学校に通ってもらう。期間は半年だ。せいぜい魔族としての勉学に励むんだな。ハッハッハッ」
「はい魔王様の寛容な御心痛み入ります」
お前はそのぶくぶく太った贅肉をどうにかしろよ。
それと女性は大切に扱うもんだろ。
俺は必ずこのクソ魔王をこの位置から引き摺り落としてやると固く誓った。
ここまでお読みくださりありがとうございます。




