第2話 3歳までの出来事
【クレオ視点】
ヘルハウンド襲撃騒動の後、真っ黒なヘルハウンドことリリを拾い、自分の部屋を貰い、そこにリリとだいたい居る。
僕は3歳までに異世界での主要言語をマスターするべく動き出す。
この異世界には魔族領に住む者たちが話す魔族語、魔物たちが話している魔物語、エルフェアリーナ王国でのエルフ語、数多の人が話す人語、ドワーフたちの住む国で話されているドワーフ語、ホビットたちの住む国で話されてるホビット語、数多の獣人族が話す獣語。
主要なのはこの7言語、そこに海の種族が話す言語や空の種族が話す言語、山の種族が話す言語などチラホラあるとのことだ。
今はとにかく吸血鬼の王族の1人として各国と話せるだけの言語は身に付けたい。
しかし現在僕が話せるのは、魔族語と魔物語の2言語だ。
2歳を迎えた僕は思い切ってレオンダイト父様にお願いしてみた。
「父様、僕は吸血鬼の王族の1人として各国と話せるように主要な7言語を覚えたいです。言語の家庭教師をお願いできませんか?」
レオンダイト父様は少し思案した後笑顔を浮かべて言う。
「クレオ、言語を学ぶのはとても大事なことだ。だけどこの家で教えられるのはせいぜいリリアのエルフ語、ホワイティの獣語ぐらいだと思う。僕はね人間の国にあまり行かなかったから人語が得意な方ではないんだ。トーマスが居てくれれば問題ないんだけどね。ホビット語とドワーフ語に関しては全く誰も話せない」
僕はそれを聞き覚えられない言語に関してはこれから先覚える機会に恵まれることに期待することにして頷き言う。
「母様、ホワイティ叔母さん、よろしくお願いします」
リリア母様とホワイティ叔母さんは揃って「わかったわ」と了承してくれた。
リリア母様とホワイティ叔母さんによるスパルタ教育の甲斐もあり、僕は5ヶ月ほどでエルフ語と獣語の2言語をマスターすることができた。
「他に話せる言語を学ぶ術が無いだろうか」と呟く僕の言葉を聞いたクレハとリンダが揃って「クレオ様、私たち人語なら問題なく話せますし教えられますよ」とそうか彼女らは人の血が混ざっているのだ。
なぜそこに気付かなかったのかと思いながらも僕は2つ返事で「クレハ、リンダよろしくね」と笑顔を浮かべながら言う。
クレハとリンダは奴隷の自分達に頭を下げるなんて思わなかったのだろう驚きながらも「私たちでクレオ様のお役に立てるのであれば喜んでお手伝いさせていただきます」と了承してくれた。
クレハとリンダも教えるとなったらスパルタだった。
「クレオ様、そこ違います」とか「クレオ様、また間違えてますよ」とか「クレオ様、何度言えばわかるのですか?」などだ。
人語に関しては現実世界の言語と大して変わらなかったのもあり1ヶ月かからずにマスターできた。
そう怒られたのは主に細かなニュアンスだ。
レオンダイト父様やウルファス叔父さんが尻に敷かれてるのがよくわかった。
この異世界では圧倒的女性のが強い。
だが学ぶ言語がまた無くなってしまった。
どうしようと悩んでいると父様が入ってきた。
「うわぁ、父様ノックぐらいしてよ」
「ごめんごめんクレオ、ちょっといいかい」
「なぁ〜に〜」
「エイミー女王陛下にドワーフ語とホビット語について学ぶ術が無いか聞いてみたところ、エルフェアリーナ王国の定期修繕修理に訪れていた親方の奥様とその友達のホビットの女性が6ヶ月ほどここに住みながら教えてくれることになったよ。しっかり学ぶといい」
「父様、ありがとう。すぐ行ってくる客間だよね」
父様の返事を聞かずに僕は客間に向かった。
ノックをして中から返事を聞き客間に入って挨拶した。
「初めまして、父レオンダイト・ヴラッドが嫡男クレオ・ヴラッドと申します。この度は僕の我儘に付き合ってわざわざお越しくださりありがとうございます。これからよろしくお願いいたします」
2人はコチラを見ながら挨拶を返す。
「あらあら、これは御丁寧な御挨拶恐れ入ります。私はシュラン・バクガと申します。気軽にシュランお姉さんとお呼びくださいねクレオ様。修繕が必要な際はバクガ工務店をよろしくお願いします」
シュランと名乗った女性は、身長は人よりも小さいがガタイが良く髪型はポニーテール、容姿は丸みを帯びているが親しみやすい感じの女性がちゃっかり宣伝も加えながら挨拶してくれた。
「これは御丁寧な挨拶ありがとうございます。えーっと私はその〜あの〜ピレネ・フロードと申します。気軽にピレネとお呼びくださいクレオ様。小さい部品を作る際はフロード工業をよろしくお願いします」
ピレネと名乗った女性は、身長はシュランよりもさらに小さく、耳が尖っていて毛に覆われている。
あれっひょっとしてこの異世界だとホビットってまさかのもふもふ系なのかな?
触ってみたいが流石に旦那さんのいる相手に気軽に手は出せないので我慢だ。
いつか触らせてくれるホビットに出逢えば良いんだから。
ピレネもちゃっかり宣伝も兼ねて挨拶してくれた。
僕は現実世界では関西出身だったので商売根性が強いのは大いに結構だと思う。
挨拶が終わるとみっちり言語教育を受ける、もちろんこの2人もスパルタだった。
たくましい女性たちのスパルタ教育のおかげで僕は3歳の節目を迎える少し前にやっと主要7言語のマスターを成し遂げだのだ。
久しぶりに気分転換も兼ねて外に出てみると母様が嬉々として叫んでいた。
「絶対に流してはなりませんよホワイティ。ジャッカロープの雌がここにいるなんてすごく珍しいんですから。その乳は万能薬になり、その肉はとても柔らかいのにかみごたえがあり美味しくて、その毛皮も高級なのですから」
「もちろんです。姉様」
ホワイティ叔母さんとリリア母様に囲まれながら震えている兎の魔物?を見た僕は現実世界で可愛がっていた兎のことを思い出し、2人と兎の間に入る。
すると兎が突然「玲王様だ〜」とすり寄ってきて撫でて撫でてと耳をぴょこんぴょこん反応させている。
あっこれは確定だ。
きっと現実世界のあの娘だ。
「ミミ」と呼び手招きして膝に乗せるとナデナデしてあげた。
ミミはうっとりとした表情をしている。
はぁーやっぱりミミの手触りたまんないや。
それにしてもリリに続きミミまでこちらの世界に来てるなんて逢いたいと思っても会えないと思ってたからすごく嬉しいなぁ。
僕は血の盃のスキルでミミと従魔契約した。
僕の可愛いミミを抱き抱えてリリア母様とホワイティ叔母さんにスパルタ教育の仕返しとばかりに見せつけるようにして部屋に戻る。
僕の可愛いもふもふ家族が増えた。
これが僕が3歳になるまでのおおまかな出来事だった。
ここまでお読みくださりありがとうございます。




