第23話 全てを聞いたウルファス
【ウルファス視点】
俺が知らない兄上たちの純血(純潔)戦争を聞き、俺がまさかレオンダイト兄上に眷属契約され純血の吸血鬼へ昇華していたことを知った。
昔から赤いものが好きだったので自身の変化にここまで気付いてない鈍感だったことに驚いたがそれと同じくらい俺も眷属契約をすることができる吸血鬼になっていた事を喜んだ。
隣で俺と同じ話を聞きながらルーカスの生前を少し知ることができ笑顔を浮かべるホワイティと共に永遠を生きることができるのだから。
俺は嬉しさのあまりその場で隣に座るホワイティの首元に牙を突き立て血を啜ったのである。
突然の行動に驚きながらも恍惚の表情を浮かべるホワイティの顔を見ていると興奮がおさまらずもっともっとと血を啜ってしまう。
俺のそんな行動を見た兄上が一喝した。
「ウルファス、お前魔法陣のないこの部屋で何してるんだそのまま吸い続けるとホワイティが死ぬぞ。すぐにやめるんだ」
俺はそれを聞き離そうとするが俺の本能がここまで上手い血から離したがらない。
その時クレオ様の手から俺とホワイティを包み込むように魔法陣が展開されたのである。
それを見た兄上は驚愕の表情を浮かべ呟く。
「あり得ないこんなに高度な展開式の魔法陣を産まれたばかりのクレオが使いこなしている。それに僕がホワイティに血の契約で与えた血を分解もしてくれている」
それを聞きホワイティの顔を見ると確かに生気がみるみる戻り血を啜り終えると無事に吸血鬼へと変化したように見える。
ホワイティは怒った顔で言う。
「突然なんて酷いです。痛いのと気持ち良いのが両方流れてきてとても不思議な感覚だったのですよ。もうウルファスなんて知らない」
頬を膨らませた顔も愛らしい。
俺は抱きしめ耳元で囁く。
「ホワイティを身も心も俺のものにしたかったんだ。それに純血の吸血鬼へ変化したことを聞き抑えられなくなったんだ。これでこんなにも愛しいお前と永遠に生きられるって」
ホワイティは顔を赤らめポカポカと叩きながら言う。
「もーう、私の新しい旦那様ったら強引なんだからぁ」
クレオ様は俺とホワイティの顔を見ながらキャッキャキャッキャ言っておられる。
ホワイティはクレオ様に近づいて行き頭を撫でながら囁く。
「私を助けてくださりありがとうございますねクレオ坊っちゃま」
それを聞いたクレオ様は嬉しそうに頭を撫でていたホワイティの手を小さな手で握り返していた。
「それにしてもあの魔王城での大喧嘩がまさかレオンダイト兄上を守ろうとしたアーロン兄上の策だったとはそんなことも知らずにアーロン兄上に対して酷い態度を取ってしまい申し訳ございませんでした」
俺はアーロン兄上に謝った。
「気にするなウルファス、それにお前ならあんなに俺が強く出ても兄貴のことを守ってくれるだろうと確かな信頼を持っていたからな。俺はお前に嫌われても兄上から託された吸血鬼の未来を守る必要があったんだ。それが兄上が党首として最後に俺に頼んだ任務だったからな」
アーロン兄上は誇らしげに呟く。
「アーロンお前は立派に務めを果たしてくれたさ。明日はあの時以上のことが魔王城で待ってるがな。流石にドレッドやドラゴレアムも今回はすんなりとはいかぬだろう」
レオンダイト兄上が頭を掻きむしりながら言う。
「心配するな、すでにドラゴレアムには兄貴も考えているだろう提案を話したところ乗り気だった。十中八九ドレッド魔王様に話してるだろうからすんなりいくと思うぜ」
アーロン兄上がしたり顔で返す。
「フッ流石アーロンだな、なら明日もこちらの思惑どおり進ませてもらうとしよう」
レオンダイト兄上はそう言うと会議を解散し、それぞれ戻っていく。
【クレオ視点】
父様と母様の馴れ初めや昔の戦争の話を聞きある程度の吸血鬼を取り巻く環境がわかってきた。
戦争でトーマスさんが吸血鬼にもたらしたという戦術に関しては恐らく戦の基本とされている8つの陣形のことだろう。
この世界にも人間がいるのだから元の世界と同じような陣形があることに関して不思議ではない。
吸血鬼を取り巻く周辺勢力についても話で出てきたのをまとめておこう。
北の地は教会勢力であるリグレスト聖教国が治めている土地で、おそらく信者から集めた金で雇った傭兵と教会兵として十字軍の役割もこなしているだろうヴァンパイアハンターこの二枚看板の兵力を持つ国家だろう、いつの時代も厄介なのは宗教である。
西の地はエルフの統一国であるエルフェアリーナ王国が治めていて、総人口は100万を軽く超え常時動員できる兵数は10万超えとのことで現在は吸血鬼と婚姻同盟を結んでいる。
東の地には魔王城があり魔族領を統べるドレッド魔王と側近のドラゴレアム丞相、脳筋に見えて知性もある程度兼ね備えていそうなゴレオン将軍などがいるみたいだ。
あれっ南の話は出てなかったな、何があるんだろう。
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン。ミルルだよー」
目の前に羽の生えた妖精がいきなり現れたので驚くが冷静に脳内対話だ。
「うわっびっくりしたじゃないか。今更名前教えてくれたのね」
「えぇ、無事産まれたからね。まだこれから先も顔見せとかあるからね。もう暫く我慢かしらね」
「わかった」
まぁ先程父様の話でウキウキしてることがあるからまだ我慢できる。父様や母様に魔法を教えてもらい、ウルファスには武器の扱い方を教えてもらい、アーロン叔父様には世界情勢を習い、バルバラ叔母様には従魔の扱い方と人形の使い方を教えてもらえる。
1番嬉しかったのはアリッサと言う真っ白な毛並みのもふもふ娘がなんと僕の護衛官になるらしい。
元いた世界では動物たちに好かれやすく特にもふもふ大好きっ子だったのだ。
そんな僕だからこそ見てわかるアリッサはきっと最高のもふもふ娘に育つに違いないグフフニヤニヤが止まらないぞ。
「あら今回は割と素直なのね。あっ南の地は魔族領だから何か外敵と接している訳ではないから今は安心して良いわよ」
その時ウルファス叔父上がホワイティさんの首元に牙を突き立て血を啜り始めたのだ。
「このままではまずいのですわ。クレオ指先に意識を集中して、啜ってる男と啜られてる女を丸い円で包み込むイメージをして解き放って」
ミルルに言われるがまま僕は指先に意識を集中して丸い円で包み込むようなイメージをしてウルファス叔父上とホワイティさんに向けて解き放つ。
「上手くいきましたわね。この先もしもこのような吸血鬼の場面に出くわすようなことがあれば同じようにすれば大丈夫ですわ。貴方だけの力、儀式魔法陣の展開ですわ。吸血鬼として眷属をたくさん増やすことになるクレオに私からのプレゼントなのですわ」
それだけいうと一安心といった感じでミルルは帰って行った。
えーーーー、こんな能力までくれるなんてひょっとしてミルルって僕のこと好きだったりして。
そんなわけないかテヘヘ。
それよりも明日はアーロン叔父様の居城リッシュ城で他の吸血鬼の方に顔見せらしい。
父様とアーロン叔父様は王城に呼ばれてるとのことで、僕は母様とバルバラ叔母様とお留守番なのだそうだ。
明日が楽しみだ。
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