第21話 吸血鬼の命運を決める
【レオンダイト視点】
エルフェアリーナ王国での結婚式が終わり、ドラマリア様に会いにステテコ山脈の谷へリリアと共に向かい無事に話を終えてラーキア城に帰ってきて、お預けにされていたリリアの血を美味しく頂き無事眷属契約して、吸血鬼へと変化させた。
他のどんな血よりも美味しかったので定期的に吸わせてもらうことにしたのはナイショだ。
その後はドラマリア様の救出任務を無事に成し遂げてくれたキラージャッカルのポーチ、スカウトバットのバットン、ラットモーグルのネズモグと戯れた。
ポーチとは大好きな骨を投げて、それを咥えて戻ってくる骨キャッチングという遊びをして、バットンには翼の毛繕いをしてやり、ネズモグとは6つの穴のどこかから出てくるので撫でるという遊びをした。
その後は政務を怠っては行けないので2つの書簡に目を通す。
1つはエリザからで、どうやらリグレスト聖教国の軍は動く姿勢は見せたがエリザとアルノルトのレブラ砦への帰還を知ると無理攻めをせずに取りやめたようで今は安定しているとのことだ。
もう1つは厄介なことにドレッド魔王様からで内容は今回のエルフェアリーナ王国との勝手な戦後処理について魔王城に報告に来いとのことだ。
はぁーこの件については吸血鬼の命運を決める重要な案件だ。そしてそれを話し合えるのは始祖の血が入っている僕とアーロンだけだ。
誰かが執務室の扉をトントンと叩く。
「どうぞ」
そういうとアーロンが入ってくる来て開口一番。
「兄貴、俺バルバラと結婚することになった」
僕はバルバラ良くやったという気持ちを隠しながら呟く。
「おめでとう」
アーロンは祝福を贈られると思ってなかったのか照れながら言う。
「兄貴から奪っちまう形ですまねぇな」
「バルバラには本当に申し訳ないことをしたから心配していたんだ。お前なら大事にしてくれるだろうし、それにこれでトーマスに睨まれなくて済む。吸血鬼の未来は安泰だな」
アーロンは最後の言葉に引っかかったのかキョトンとした表情で尋ねる。
「兄貴それどういうことだ」
僕はドレッド魔王様から書簡が届いたこと。アーロンには吸血鬼の今後を決めるために僕と魔王城へ同行し策を実行してほしいことなどを伝えた。
アーロンは一通り聞き終わると納得できない顔をしながらも呟く。
「それが最善だと兄貴が決めたのなら俺は兄貴のためにその辛い任務を引き受けるだけだ。2日後リッシュ城でバルバラと結婚式を挙げるよ。兄貴とリリア姐さんの見てたら俺もバルバラに何かしてやりたくなってさ。その場で吸血鬼同士の婚姻の儀式である血の交換もするよ。是非見届けてくれ」
そう言って執務室を後にする今にも泣きそうで寂しそうなアーロンの背中を見ながら小さな声で呟く。
「わかった。このような選択をした兄をどうか許してくれ」
兄としてアーロンとバルバラの結婚を取り仕切り見届ける。
それがきっと僕の魔王軍吸血鬼兵団の党首としての最後の仕事になるだろう。
僕はウルファスを除く兄弟達とトーマス、ナターシャ、ジールなどの父上の代からの忠臣達、ダルタン、エリザ、アルノルトなどの僕の幼馴染へアーロンの結婚式への参加とアーロンに忠節を尽くして欲しい旨を書き書簡を出す。
ウルファスは僕の護衛なのでどこにでもついてくるそれに顔に出やすいので肝心なことを伝えると良く無い方向に向かうかもしれないから伏せておくことにする。
2日後リッシュ城にてアーロンとバルバラの結婚式が執り行われた。
神父役は僕にやってほしいとアーロンたっての希望でエルフェアリーナ王国でのエイミー女王陛下の言葉を思い出しながら見様見真似で行う。
「この良き日に1組の夫婦が誕生することを神々に御報告します。新郎アーロン・ヴラッドに問います。貴方はいついかなる時も新婦バルバラ・ツェペリを慈しみ愛することを誓いますか?」
アーロンは覚悟を持った声で言う。
「あぁもちろんだ」
僕はそれを聞き頷くとバルバラの方を向く。
「新婦バルバラ・ツェペリに問います。貴方はいついかなる時も新郎アーロン・ヴラッドを慈しみ愛することを誓いますか?」
バルバラは頬を赤らめながらアーロンを愛おしそうに見つめながら言う。
「誓いますなのだぁ」
僕は2人の幸せそうな顔を見て嬉し涙を流しそうになるが堪えて進行を続ける。
「では、両者血の交換を」
2人同時に首元に牙を突き立て啜る。
皆のおめでとうの言葉を聞きながら2人とも終始笑顔で幸せそうな表情をしていた。
明日のことを考えると憂鬱になるが今この時だけは幸せそうな2人を見てこれからの行く末に安堵した。
【アーロン視点】
バルバラとの結婚式を終えた俺は兄貴に頼まれた任務を遂行するため吸血鬼の主要メンバーと話し合いをする。
だが全員が兄貴から書簡を貰っていたらしく兄貴の選択に従うとのことだ。
「俺にできるだろうか?」
弱気な声で呟く。
するとダルタンさんが俺の頬を平手打ちして強い口調で言う。
「レオンダイトが考え抜いて選択したことだろう。弟であるお前が後を引き継いでやらないでどうする。それにお前の行動次第でその後のレオンダイトの処遇も決まるんだ。お前の双肩にレオンダイトの命と吸血鬼の未来がかかってるんだぞ。ダリィかもしれねぇけどよ気合い入れるしかねぇだろ」
目の覚めるような一撃だった。
確かにそうだ俺がここで躊躇すると兄貴の処遇も吸血鬼の未来も失うことになる。
兄貴が俺を信じて託そうとしてくれてるんだ。
その想いに応えないとダメだろう。
ダルタンさんは俺の表情が引き締まったのを見るとニヤァとして続けてこう言った。
「レオンダイトに二度と会えないってわけでもない。ラーキア城には執務室と出産室と応接間には特殊な魔法がかかっていてな中の話が外に漏れないような作りになってるんだよ。そこでなら好きに会話もできるさ。お前が苦手としている姿隠しの魔法を特訓しないといけないがな。ハッハッハッ」
俺は赤面しながら呟く。
「ダルタンさん、揶揄わないでくださいよ。それにラーキア城にそんな秘密があったことを初めて知りました。それに覚悟を決めたよ。この任務必ず成功させてみせる。皆助力を頼む。兄貴の命と吸血鬼の未来のために」
皆が頷くのを見て、明日に備える。
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