第20話 戦後処理
【レオンダイト視点】
リリアに逆告白され、それを受ける形で僕からも告白した。
リリアはすぐにでも眷属契約を受ける気満々だがその前にエルフェアリーナ王国にリリアを嫁にもらう事も含めてことの経緯を説明しに向かわないとダメだろう。
ということでリリアを連れ国境線に向かうとラス殿がエイミー女王陛下を連れ現れた。
「話はラスから聞きました。『エルフ軍は負けリリア様はラーキア城に行った』とリリアちゃんを返しなさい。返さないなら全面戦争よ」
どうやらエイミー女王陛下は僕がリリアを攫ったと勘違いして怒っているようだ。
リリアがスッと出てきて一喝する。
「全面戦争ですって、愛しのレオン様とやり合うっていうならエイミーおねぇちゃんだって容赦しないんだからーーー」
その一喝を聞きエイミー女王陛下が驚いた声で呟く。
「えっリリアちゃん、それどういうこと」
驚いてるエイミー女王陛下にことの経緯を説明し、僕はリリアを連れエイミー女王陛下とエルフェアリーナ王国に向かう。
エルフェアリーナ王国に着くとエイミー女王陛下は人払いしてリリアの両親を王城に呼ぶように伝える。
リリアの両親が程なくして到着するとエイミー女王陛下は本題を話す。
「リリアちゃん、道中で聞いたけど本当にレオンダイト殿の眷属になるつもりなの?」
「エイミーおねぇちゃん、お母様、お父様、私リリア・ルーシーはレオンと結婚します。それに眷属じゃなくてただ1人の妻です」
リリアはハッキリと言う。
「レオンダイト殿お初にお目にかかります。リゲル・ルーシーと申します。娘はあぁ言っておりますがどこまで本気ですか?遊びならこの場で仕留めますが」
リリアの父上であるリゲル殿の威圧のこもる声を聞き怯みそうになるが怯まず言う。
「僕はリリアを生涯ただ1人の妻とし、永遠に愛し続けるとここに誓います。これが果たされぬ時は我が命を持って償いましょう」
隣にいたリリアの顔は真っ赤に染まり、幸せそうな顔をしている。
僕の言葉を聞きリリアの顔を見たリリアの母上が嬉しそうな顔をしながら呟く。
「レオンダイト殿、お初にお目にかかります。シェリア・ルーシーと申しますわ。こんなじゃじゃ馬娘で良ければ永遠にレオンダイト殿の隣にいさせてあげてくださいな」
「いやしかしシェリア」
「ではリゲルはあんなに幸せそうな娘からレオンダイト殿を取り上げて絶望に突き落とすと言うのね。そんなことしたら離婚なんだからね」
「うっ、レオンダイト殿、どうか娘のこと宜しく頼みます」
2人の上下関係はシェリア義母さんが上のようだ。
「お母様、お父様、エイミーおねぇたん、私の我儘を認めてくれてありがとう」
3人に御礼を言うリリアを見て、僕は提案をした。
「吸血鬼は眷属契約という契約の儀式があるだけです。僕はリリアに眷属としてだけでなく生涯ただ1人の妻として側にいてほしいのです。宜しければエルフェアリーナ王国で結婚式をしていただけませんか?」
「フフフ、レオンダイト殿は全く面白い御方ですね。戦に勝ったのですよ。『リリアを貰ってくぞ』と言われても誰も逆らえもしないのにこちらのメンツを立ててくださるのですね」
シェリア義母さんが言う。
「盛大に人を集めてやらなばなりませんね」
エイミー女王陛下も嬉しそうな顔をしている。
2人の言葉を聞いてもリゲル義父さんは渋々という表情を崩さない。
僕はそれとは別件でもう一つ提案した。
「僕とリリアの結婚で吸血鬼とエルフの繋がりは確固たるものとなるでしょう。それをさらに強固にするため双方益のある軍需同盟を結びませんか?」
エイミー女王陛下は目を丸くしながら呟く。
「それはこちらとしては願ってもない提案です。それに吸血鬼がこれから先魔族領から爪弾きにされるようなことがあればエルフェアリーナ王国は全軍を持ってレオンダイト殿を支持するとお約束いたしましょう。いえ可愛い姪の婿殿なのでこれからはレオンダイトと呼ばせてもらいますね」
3日後、エルフェアリーナ王国で盛大な結婚式が執り行われた。
吸血鬼側からはアーロン、バルバラ、無事吸血鬼に昇華したウルファス、父上の頃からの忠臣代表としてナターシャ、僕の馴染み代表としてダルタン。それにエルフ側で出ることになったミーアがダルタンを独り占めしないように護衛を兼ねた監視としてイリス。
ジールは本城であるラーキア城の留守居役を務めてくれるとのことで欠席。
トーマスはツェペリ家の居城リッシュ城にて政務があるとのことで欠席。
エリザとアルノルトはリグレスト聖教国が動くとの情報を得たとのことで、国境線のデモン砦に向かうとのこと。
エルフ側からはラス殿、アーチ殿、ボーガ殿、シェリア義母さん、リゲル義父さん、ダルタンの眷属になったミーア、エイミー女王陛下。
神父役はエイミー女王陛下がするみたいだ。
「このよき日に1組の夫婦が誕生することを神々にご報告いたします。新郎レオンダイト・ヴラッド、貴方は生涯リリア・ルーシーを妻とし、いついかなる時も慈しみ愛することを誓いますか?」
僕は決意を込めて言う。
「はい誓います」
エイミー女王陛下が頷き続ける。
「新婦リリア・ルーシー、貴方は生涯レオンダイト・ヴラッドを夫とし、いついかなる時も慈しみ愛することを誓いますか?」
リリアは頬を赤らめ言う。
「はい誓います」
エイミー女王陛下はそれを聞き嬉し涙を堪えながら続ける。
「では指輪の交換と誓いのキスを」
僕はリリアの薬指に指輪をはめ、リリアは僕の薬指に指輪をはめて、そっと口付けをする。
口々からおめでとうの言葉を聞き、エルフ王族のリリアと吸血鬼王族の僕による吸血鬼とエルフによる強固な軍需同盟が締結されたのだった。
【バルバラ視点】
明日リリア殿との結婚式を控えているレオンダイト様に呼び出された。
「バルバラ、僕はリリアと結婚することになった。だからお前も僕と政略結婚する必要はない。アーロンのことが好きなのだろう」
驚きはしたが流石レオンダイト様、私の気持ちを知っていた。
いや知っていたからこそ優しいレオンダイト様は私との政略結婚に首を最後まで縦に振らなかったのだろう。
「でも、私どうしたらいいのかわからないの」
レオンダイト様は涙を流しながら普通に話す私の肩に手を置いて耳元で囁いた。
「アーロンもバルバラのことが大好きだよ。だから君は僕とリリアの結婚式の裏でそっと落ち込んでる姿を見せてアーロンに甘えてこう言うんだ『じゃあアーロンが貰ってよ』ってね。それで純情なアーロンはコロリだよ。アーロンのこと宜しくねバルバラ」
クスクスと笑いながらそう言うレオンダイト様はやっぱり誰よりもお優しいと思う。
レオンダイト様とリリア様の結婚式当日私は実行に移した。
アーロンがついてきてるのを知らないふりをして裏に行き涙をボロボロと流して落ち込んで見せたのだ。
それを見たアーロンが近づいてきて私を抱きしめて囁く。
「辛かったよな。でも俺お前が兄貴に振られて実はホッとしてんだ。最低だよな。いつもみたいに罵ってくれて良いんだぜ」
えっアーロン、えー私のこと好きだったの、ほんとレオンダイト様には敵わない、私自身アーロンが私のこと好きだなんて半信半疑だったから。
「ねーアーロン、私のこと貰ってくれない」
私の言葉にアーロンが頷いて言う。
「お前がふざけてないってことは本気ってことか。俺で良ければ、いやこんなんじゃダメだ。ずっとバルバラのことが好きでした俺の嫁になってください」
アーロンの言葉を聞き嬉しいけどそれを隠して返事をする。
「アーロンは私がいないと何にもできなくて心配だからずっと側にいるのだぁ」
「そこはふざけるのかよ。でもずっと俺のそばで俺のこと見守っててくれよなバルバラ」
これがレオンダイトとリリアの結婚式の裏であったもうひとつの幸せの出来事なのであった。
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