第11話 策のための模擬戦①
【レオンダイト視点】
僕は目の前のスタイルが良くてグラマラスな女性の目のやり場に困っていた。
サラサラの金髪のロングヘアー、吸い込まれそうな青い瞳、プルプルとした唇、端正な顔立ち、筋肉質ながらも引き締まった腕、たわわに実った胸、筋肉質な引き締まった腰回り、突き出たお尻、細い脚線美。
どこをみても僕の好み度直球なのだ。
「レオンダイト殿、エルフェアリーナ王国の使者でリリア・ルーシーと申します。女王陛下は模擬戦をお受けいたしますとのことです。あのー聞いてますかー」
我にかえった僕は
「失礼しました。模擬戦をお受けしていただけることありがとうございます。日程はいつからでしょうか」
「今からです」
「えっ」
「だから今からです、今からレオンダイト殿御一行をエルフェアリーナ王国に案内して、翌日アリーナ闘技場にて模擬戦です」
これは予想していなかった、まさかいきなりとは僕としては何日後とかだと思っていた。
なので3人ほど護衛を頼んだ者が間に合いそうにない。
まさか僕の思惑が読まれているなんてことは無いと思いたいが一度お会いした時エイミー陛下はとても聡明そうに感じた。
「わかりました。アーロン、トーマスとバルバラ、ナターシャ、ジールとウルファスを呼んできてくれ」
「兄貴了解だ」
すぐに5人を連れて戻ってきたアーロンを加えた7人でリリア殿についてエルフェアリーナ王国に向かう。
着いてすぐに客間に案内され皆で翌日の模擬戦の予定を確認しながら眠りについた。
【リリア視点】
エルフェアリーナ王国にレオンダイト殿御一行を案内し、客間に案内した後、私は今日のことを振り返っていた。
初めてお会いしたレオンダイト殿は凄くタイプでしたぁ。エヘヘ。
銀髪の短髪ヘアーに端正な顔立ち、全てを受け止めてくれそうな胸板に男らしい腕、筋肉質な胴回りと足、鍛え上げられてることが垣間見える。
模擬戦で彼とやりあうことになったら私は躊躇してしまうかもしれない。
エイミーおねぇちゃん私負けちゃうかも、ごめんね。
というのは冗談。
向こうは党首自らが出張ってきてるので大将だろう、対して私は今回は大将をラスに譲ったから副将なのよね。
彼と当たらなければ負ける可能性など皆無なのよ、クスクス。
勝ったら彼を私の旦那様になんてことエイミーおねぇちゃんに頼むのもありかなぁ。
そしたら吸血鬼とエルフで仲良くなって万々歳よね。
明日早起きしてエイミーおねぇちゃんに相談しよっと。
そんなことを考えながらリリアは眠りについた。
【レオンダイト視点】
朝になり模擬戦の前に交流を兼ねて一緒に食事をしませんかとリリア殿が部屋に呼びにきたので皆で食堂に向かう。
食堂にいてるエルフたちから簡単な自己紹介と対戦表の確認をした。
先鋒 トーマスvsアーチ
次鋒 ナターシャvsミーア
中堅 ジールvsボーガ
副将 ウルファスvsリリア
大将 レオンダイトvsラス
吸血鬼側見届け人はアーロンとバルバラ
エルフ側見届け人はエイミー女王陛下
エルフと談笑しながら食事を美味しく頂いた。
気の合う良い奴らだ。
食べ終わるとエイミー女王陛下の案内に従いアリーナ闘技場へ向かう。
闘技場には観客が大勢集まっていた。
「女王陛下双方10人までとこれでは約束が違うでは無いですか」
「勝手に集まってきたエルフの管理まではとてもじゃないですができませんよ。我が国でやる以上お祭り騒ぎになるのは明らかでしたからね」
口角を上げてしてやったりという感じだ。
だが実はこれこそ僕の狙い通りだった。
闘技場に出る彼らはエルフェアリーナ王国における精鋭なのは間違い無いはずだ。
勝ち越しできれば、大きく士気を挫けるだろうさらに今回は勝ち越したら終わりというものではなく模擬戦だから5戦全勝なんてしてしまったら立ち直れない痛手を与えられる。
そうなれば僕固有のスキルが発動できる。
間も無くエイミー女王陛下による開会式である。
「この度有難いことに吸血鬼との模擬戦を行う運びとなり急遽アリーナ闘技場を使うことになりました。告知もしてないのにこんなにたくさんの観客が集まるのは想定外でしたが各々死力を尽くして戦いなさい。ですがこれは模擬戦死者を出すことは許しません。それでは先鋒戦始め」
先鋒はトーマス対アーチ殿だ。
「久々に暴れさせてもらうぞ小童よ。ハッハッハッ」
「そう簡単にはやられませんよ。リリア姫様に怒られちまいますからね」
まず仕掛けたのはトーマスだ、得意な棒術で相手に隙を与えずしなやかに左右に振る。アーチ殿もそれを交わしながら短剣で距離を詰めようと近づく隙を伺う。
「どうした童、そろそろ終わりにさせてもらうぞ」
「くっこの爺さんめちゃくちゃ強い」
トーマスが左右に棒を振ろうとした瞬間アーチ殿がここぞとばかりに接近した。それを待ち構えていたトーマスは接近のタイミングで棒を振り抜いた。それがアーチ殿の腹を直撃し、膝をついた。
「うっ参りました」
「アーチ殿も中々の動きでしたぞ。ワシも久々に良い汗をかき申した」
「勝者トーマス・ツェペリ」「続いて次鋒戦始め」
エイミー女王陛下が悔しそうにしながら勝者を告げた後、切り替えて次鋒戦の開始を宣言した。
次鋒はナターシャ対ミーア
「わっちの相手は若い男が良かったんだけどねぇ」
「男に現を抜かすおばさんには負けませんにゃあ。ミーア・キャッツ参りますにゃあ」
まず仕掛けたのはミーア殿、大剣を左右に振り回し叩きつける。それをしなやかに交わしナターシャが笑みを浮かべる。
「大剣使いの相手は初めてだよ。ちょいと厄介だねぇ」
「ちょこまかちょこまかと次で決めて見せますにゃあ」
大剣を振り下ろすミーア殿の隙を突きムチで力一杯手首を叩き、大剣を落とさせて、もう片方のムチで縛り上げた。
「うっ降参いたしますにゃあ。双ムチだったとはにゃあ」
「アンタも双ムチは初めてだったみたいだね。手首を叩き大剣を落とした後もう片方ですぐにリカバリーしようとしてたからね。それが先だったらわっちがやられてたかもね。いやー存外楽しめたよ」
「勝者ナターシャ・バートリー」「続いて中堅戦始め」
エイミー女王陛下が憎々しげに勝者を告げた後中堅戦の開始を宣言した。
中堅はジール対ボーガ殿だ。
アーチ殿が負けたことで兄弟揃って負けられないとボーガ殿が先に仕掛けた。ボーガ殿の武器は三節棍だ。そのしなやかな動きでジールを翻弄させているように見えるが流石数多の武器を見てきたジール。すぐに対応して間合いを図るや否や体術で決めにかかった。
「三節棍の扱い方が散漫ですよ。それでは翻弄させる程度で決め手にはなりません。もう充分です」
「なっ何だと」
ジールはボーガ殿の三節棍の動きを交わし最接近して鳩尾に一撃加えた。
「グゥーーー」
唸り声をあげボーガ殿は倒れた。
「勝者ジール・パウル」「ここで一時休憩に入ります」
エイミー女王陛下は、そんなまさかと驚愕の表情をしてアリーナ闘技場外の天幕に下がった。
僕も皆と共に天幕へ向かった。
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