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その『悪役令嬢』は幸せを恋い願う  作者: 玉響なつめ


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幸せを恋い願う

 あれから幾年か経ちましたが、あの騒動は今でも密やかに学生たちの間で伝説として語り継がれているようです。

 大変お恥ずかしい話ですね!


 ですがそちらはどうやら教師の方々が『今後の戒めとして』その後の罪と罰についても詳細は省きつついかにバランスを取って、過ちを犯した人間を更生に導くか、それでも導けない場合はどうすべきか……といった教訓と道徳的な問題として話をしているからのようです。


「複雑だわ」


「まあそれで後進が育ってくれるなら喜ばしいじゃないか」


 私としてはワーデンシュタイン次期公爵として様々な場に顔を出す立場となった今、学園にも足を運ぶ身だからこそ……こう、渦中の人として生徒たちがざわついたりするのを感じるとどうしても落ち着かない気分になるのです。


 彼らは別に私に悪感情を抱いてそのような視線を向けるのではなく、立ち直った成功例(・・・)の一人として尊敬の念すら抱いているようなので……何と申しましょうか、照れくさいのです。


 ちなみに学園ではもう一人の成功例として、イザークが挙げられています。

 彼は最終的に子爵家に戻されてからの方が本来の実力を発揮し、成績トップを維持したまま卒業をした上に難関とされる文官試験も免除権を利用せずにトップの成績で合格、その後の中級・上級試験もトップでもぎ取った挙げ句にマルス殿下の声かけを蹴ってワーデンシュタイン公爵家の文官になったものですから……。


「イザーク、見られているわよ」


「……ロレッタ様への視線です。ええ。絶対」


 私たちは姉弟ではなくなってしまいましたが、再びこうして一緒に仕事をする仲間になったのです。


 ちなみにエルマン様は預けられた先の兵士としての生活がものすごく合っていたらしく、今では町の名士として部隊長として、人々の暮らしを守っているそうです。

 町の商家出身の奥様を迎え、今ではお子様もいて幸せだそうですよ。


 さらに言うとウーゴ様は二つ向こうの国でメルカド侯爵家が持つ商会の敏腕会計として名を馳せているそうです。


 残念に思われているのは、アベリアン殿下でしょうか。

 殿下は卒業後すぐにシェーモという新たな家名と伯爵位を賜り、与えられた領地に向かわれました。

 しかし対人関係に関して上手くいかなかったようで多くの領民から苦情が殺到し、時折社交場で姿を見かけるものの、以前のような輝く美貌ではなくなっていました。

 そのような状況にもかかわらず領地運営そのものは辛うじて黒字を叩き出しているようなので、元々いた管財人が優秀なのかもしれません。

 後は良いところのご令嬢と縁が結べればなんとかなるかもしれませんが……あの方もまた、瑕疵ありと見做されておりますのでいつまでも高望みしているようでは難しいかもしれませんね!


 そしてアトキンス嬢については、何もわかりません。

 ただ、幸せになったという話も聞きませんが不幸せになったという話もありませんので、どこかで幸せになってくれていたらと願うばかりです。


 私はこれからも、誰かの幸せを願うのでしょう。

 身近な人の、領地の民を、尊敬する人々を、そしてこの国に生きる人々の幸せを。


 それを実現するために、僅かでも誰かの助けになるために、正しく貴族としてあると誓うのです。


(……あの日、婚約破棄を宣言されたからこそ私は覚悟を決められたのだわ)


 己の甘さも、覚悟の足りなさも何もかもを見せつけられて。

 ただ願うだけではどうしようもないことを、共に歩む者の大切さを痛感しました。

 きっと、他の方々も同じことでしょう。


 そうであればと思います。


 私は幸せを望みます。それが積み重なれば、大輪の花にもなりましょう。

 小さな幸せを恋い願い、そして守れる公爵になれるようにと希うのでした。

本編はこれで完結です。

この後当事者だった彼らの番外編が続きます。もう少々お付き合いいただければと思います!

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― 新着の感想 ―
[一言] 素敵なお話をありがとうございます
[良い点] 幸せは人それぞれだけど、不幸になるよりはやり直せるなら、頑張ってほしい。
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