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その『悪役令嬢』は幸せを恋い願う  作者: 玉響なつめ


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第43話 いつだって、お互いに

 ガーデンパーティーの招待状が効いたのでしょうか?

 殿下からのお手紙が来ることはなくなりました。

 大変快適な日々です!


 ただ突然パーティーを開くことになった主役のレオンは不満そうでしたけれど。


「ごめんね、レオン」


「……いや、いい。当日はロレッタがずっと隣にいてくれるんだろう?」


「ええ、それは勿論。将来的には今回の規模よりももっと大きなものを我が家でも開かないといけないのだし、良い予行だと思ってレオンも慣れてね」


「……わかった」


「夜にはちゃんとしたお祝いをしましょう。贈り物を楽しみにしておいて?」


「ああ。楽しみにしてるよ」


 招かれた夜会や茶会に揃って赴くことは幾度も経験しましたが、私たちが企画して親しい方々をお招きするガーデンパーティーはこれが初めてです。

 レオンに取ってみれば、次期公爵となる私の伴侶となることでやっかみもウケているようでしたし、周囲の女性たちからは興味津々な眼差しを向けられるしでたまったものではないのでしょうが……これも女公爵の夫となる人の宿命と思って頑張ってもらいましょう。


 それに、本当に今回のガーデンパーティーに関しては同年代の……学園生活で私が親しくした方たちと、そのおともだち(・・・・・)

 それからレオンが騎士になる際にお世話になった方々、お茶会などの指導をしてくださった親戚のお姉様方とそのご家族という、小規模なものです。

 少しずつ規模を大きくして、そのうち大々的な夜会なども開くことを覚えなければならないのも事実ですので……今回は私も良い勉強になりました。


 今回は人の目もあるガーデンパーティー。

 ホストである私とレオンは常に行動を共にしますし、いくら殿下が室内で話をしようと言ってもお断りできます。

 表向きは周囲に対し『殿下とはあのような一件があったとはいえ、自分たちも婚約したことだしきちんと関係を改善したい』からお招きして和解するつもりだと事前に話してあります。

 それを彼ら、あるいは彼女たちがどのように受け取ったかまでは私は存じません。


 殿下も周囲の人々が好意的であれば嬉しいでしょうしね?


(……私も少し、お父様に似てきたかしら)


 そんなことを思いつつ、こっそりと手元に用意しておいた小箱をレオンの前に差し出しました。


「うん? ロレッタ、これは?」


「あのね、当日これを身につけてほしくて……」


「え?」


「誕生日の贈り物とは別なの。婚約の、その、お礼というか……どうしても贈り物がしたくて」


 私の目の色を象った、カフスボタン。

 当日の衣装はすでに注文済みで、そちらも共布を使うことで私たちが仲睦まじい関係であることを示す予定ではありますが……それとは別に、私から贈りたかったのです。


 殿下と婚約したばかり、まだイザークとも仲が良く、三人で走り回っていた頃はレオンの誕生日を祝うこともありました。

 ですが、淑女教育が進むにつれて一介の護衛騎士と主人という関係からそれはできなくなり、つい先日まで彼の誕生日を祝うことも……婚約者の手前、できなかったのです。


 でも今は、レオンこそが私の婚約者。

 大切な、大切な人。

 これまでの気持ちを込めて、一生懸命選んだ品なのです。


「……そっか。ありがとう」


 レオンはカフスボタンを見て、とても嬉しそうに笑ってくれました。

 そのことにほっと胸をなで下ろしているとレオンが私を抱きしめて来たではありませんか。


「レオン?」


「俺からも、ちゃんとロレッタの誕生日には祝いの品を贈るつもりだけど……そうだな、いつだって贈り物をしていい関係になったんだ。何がいいかな、いつでも身につけられるものがいいよな。髪飾りがいいか? それともブローチ? リボンもいいな」


 クスクス笑うレオンは、本当に嬉しそうです。

 でも言われて私も思いました。


「殿下だろうと、他の高位貴族だろうと、ロレッタの隣に立つのは俺だと堂々と振る舞ってみせるよ。隣にロレッタがいて、袖にはこいつがあるんだ。まあ、貴族への対応はロレッタがメインだけどな」


「実際に暴漢が出たらレオンに勝てる相手なんてそういないでしょう? なら、私たちは揃っていたら向かうところ敵なしね!」


 いつだって私たちはお互いにもう遠慮することなく、堂々と贈り物をしあっていいのだと思えば……ガーデンパーティーなんて怖くない。


 実際には『向かうところ敵なし』なんて格好いいことを言ってもまだまだな私たちですが、二人ならきっと頑張れることでしょう。

 私たちを見守ってくれる味方がいることも、頼ることも覚えた私たちならば、きっと困難も乗り越えられるはずです。

 

 改めて、そう感じるのでした。

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