表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その『悪役令嬢』は幸せを恋い願う  作者: 玉響なつめ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/56

第28話 それは冤罪騒ぎでは終わらない

 表向き、男爵の愛人が産んだ娘……ということで引き取られたアトキンス嬢ですが、養女として迎える際には書類上嘘は申請しておらず、表向きそうしたい旨を男爵は親しくしていた周囲に頼んだのだそうです。


 彼自身は実直な人柄で、前アトキンス男爵もそうだったらしく周囲からの信頼もあったようで……事情を知る人々は奔放な長男に振り回された哀れな家族ということでアトキンス嬢の将来を案じる男爵の気持ちを理解して、男爵が妾に産ませた娘を引き取ったという形で話を広めてくれたのだそうです。


 お父様は特に親しかったわけではありませんし、そこまで調べてもいなかったのでこの事実にあたらなかったそうですが……年鑑を調べれば一発だったとのことです。


「まあ手続きも踏まず出奔して騒ぎを起こした男の娘、なんて事実はどんなに素晴らしい淑女であっても瑕疵になり得るからな。しかも相手が貴族令嬢ならばともかく、娘を金をせびる道具にした挙げ句に置いていく商売女では厳しかろう。まだ実直な父親としてアトキンス男爵が不名誉な想いをする方が将来性もマシというところか」


「……」


 嫡男はアトキンス男爵家を継ぎ、そして長女として迎え入れられた彼女は実直なアトキンス男爵の娘としてどこかで幸せになれるはずだった。

 騒ぎさえ、起こさなければ。

 そういうことだったのかしら。


「自由闊達なところがある令嬢ゆえに、貴族ではなく裕福な商人に嫁ぐのもよいかもしれないと夫妻は話し合っていたようだ。本人が学園でもっと良い人と巡り会うかもしれない、卒業まで待ってほしいというので受け入れたんだそうだ」


「まあ……」


 もしも学園で良い出会いがなかったら、それこそ貴族社会では行き遅れ扱いだと思うのだけれど。

 おそらくだけれど、市井でもそこまでそれは変わらないのではないでしょうか?

 こう言っては何ですが、有力な商人のご家族は知り合いも多い分、出会いも多いでしょうから。


「まあそれで今回の件だが、それらの人間関係を踏まえて、だ。先日、その母親が現われたのだそうだ」


「!」


「娘が不在の時にやってきて、男爵夫妻に対して『娘をくれてやったのだから金をよこせ』と言ってきたらしくてな。追い返したそうだ」


「まあ!」


 ほしくもなかった子供を産んでやったのだから金を払えと言い姿を消しておいて、今度は子供をくれてやったのだから金をよこせだなんて!


 あまりの言い草に私は二の句が継げませんでした。


「怒りで追い払ってから男爵もその女が妙な真似をしないか心配して人を使って探らせたようだ。どうやら町のゴロツキと付き合いがあるとまでは突き止めたものの、それ以上はわからなかったらしい」


 アトキンス嬢はこのことを知っているのでしょうか。

 男爵夫妻が今は話しているのかもしれませんが……なんだか、自分たちの問題から随分と横道にそれた話になってしまっているような、だけれど冤罪をかけられたのだから当事者なのだろうというよくわからない、複雑な気持ちです。


 しかし彼女が狙われていたのだとすれば、あの事件が『冤罪であった』という事実だけをあの場で告げて詳細を話さなかった理由は理解できました。

 冤罪であったと陛下が告げただけで、誰か不満に思ってはいたかもしれません。


 けれどこうして聞いてみると……ええ、もうただの事件ですもの。


「推測するにアトキンス嬢を連れ出してどこかに売るつもりではないか、と男爵たちは睨んでいるようだ。彼女の安否は憲兵に任せることだろう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公と関係ないところでメロドラマが展開していた! [気になる点] 主人公のキャラがいまいちパッとしないというかなんというかー。 [一言] 思っていたより段階踏んで丁寧に進むなーという感じ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ