新たな仲間と冒険者ギルド
日にちは開いたものの、2話目投稿です!
……とは言ったものの、俺はこれからの方針的なやつを決めていない。そこで俺は冒険者ギルドに行ってみようと思う。これから世界を満喫するものとして、情報法の収集は必須だ。まずは情報を集めつつ、ある程度資金を集めていこう。そう心の中で決心をしたとき、俺の後ろから何やらダッダッダっと音がし、ダンッ! 俺の体は前に向かって倒れていった。
「……ん。どこに行くのフェノメ? ついてく」
「マリンか……俺についてこない方がいい。俺は追放された身だ。面倒ごとに巻き込まれるから帰った方がいい。まだ間に合う」
「むう……そんなこと気にしない。ついてく」
俺の心配をそんなことで済ませたこいつはマリン・マギエスト。俺のこの世界の幼馴染であり、マギエスト侯爵家の令嬢である。うちの家系が剣に秀でているのに対し、マギエスト家の家系は魔法に秀でており、それぞれが貴族という地位に同じような理由で君臨しているため、昔から親交が深かったようだ。マリンは確かマギエスト家でも抜きんだった実力を持っており、屈指の天才と可愛がられてきたはずなのだが……俺なんかについてきても大丈夫なのか?
「そんなことってなぁ……まあいい。今から冒険者ギルドに行って冒険者登録をしようと思う。人が多いからはぐれるなよ? 手でも繋ぐか」
ガバッ
「……もう、フェノメったら強引。ポッ//」
「あのなあ……そんなこと言うんだったら連れて行かないぞ?」
「ん……わかった」
「そういえば、冒険者登録をする時にお前の名前を偽ってくれないか?」
「……? どうして?」
「お前がいることがバレたら色々と面倒ごとに巻き込まれるかもしれないぞ? ……例えばうちの親父が直接追いかけてきたり」
「ん。フェノメのお父さんは頑固。……私みたいにもっと自由に生きるべき」
「お前は自由すぎるんだよ。とりあえず行くぞ」
こうして俺たちは冒険者ギルドに向かうこととなった。
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しばらく経って、冒険者ギルドの前についた。
……まともに外に出たことがなかったから、現物を見たことはなかったがなかなか大きいな。そしてなんかいかつい男が二人おれたちの前にきているんだが。
「おいおいそこの坊ちゃん。ここはお前見たいなガキが来る所じゃあないぜ?」
「おおっ! 隣にいるお嬢ちゃんはいい顔してんじゃねえか!俺たちと後でいいことしないかい?」
「……フェノメ、あの人たち気持ち悪い。さっさとやっつけて。やっつけてくれたらいいことしてあげる」
「冗談はよしとけよ。……そこのガチムチおっさんたち、早くどいてくれ。酷い目に遭うぜ?」
「調子に乗るな! このBランク冒険者、岩石のラガンとズガドン様とは俺たちのことだ!」
そういえば追放されたまま服装を変えていなかった。後で二人ともかえとかないといけないな。あと岩石?……それはもはや冒険者でも人間でもなくただの物体だと思うのだが?まあいい、とりあえずやってしまおう。
「ほら、さっさと来い。怖いのか?」
「コンニャロウ!後悔しても知らねーぜぃ!」
そう言って剣を振り回してきたのだが遅いこと極まりない。さすが岩石というだけはあるな。もしかして他の奴らは皮肉でつけたんじゃないのか?そうして完全に相手の動きをとらえた俺は魔力操作の基本の一つである魔力集中で足に魔力を込め、一瞬でラ……?忘れたが向かってくる奴らの後ろにまわり込み手刀を首筋に決めた。
「「グオッ!」」
二人がほぼ同時に倒れ意識を失ったのを確認し、俺はこれ以上の騒ぎを起こさないようそそくさと建物の前の端っこにそいつらを放置しつつギルドに入っていった。
「ふう、危ない危ない。ここでバレたら俺の自由な異世界ライフが終わるところだったぜ」
「ん? なに?」
「い、いや? な、何もないけど?」
「? ……まあいいけど……そうだ、後でいいことしてあげる(はぁと)」
「だから冗談はよせ! さっさと冒険者登録するぞ」
「ん……わかった」
あとは受付に行き、冒険者登録をするだけだ。それだけのことなのになぜここまで時間がかかったのか。俺は不思議でならない。中は俺が思ったより静かだった。よく見るラノベだったら結構ガヤガヤしているのだが……俺の思い違いか?
「こんにちは! ようこそ冒険者ギルドへ! 依頼ですか?クエストの受領ですか?新規登録ですか?」
「新規登録でお願いします」
「了解です! ではまずお二人の情報をこちらにお書きください!」
そう言われて二人分の履歴書的なやつを渡され、情報を書くことになったのだが、俺はあることを非常に悩ましく思っていた。そう、偽名である。
(せっかくだからかっこいい感じがいいよな?)
そんなことを思い浮かべ、俺はあるアイデアを思いついた。そしてマリンも偽名を決めたようで、俺たちは各々神を受付嬢に渡した。
「はい! ご協力ありがとうございました! これからよろしくお願いしますゲニウス様、ウィチェリー様!」
ということで、俺たちのの偽名は俺がゲニウス、マリンがウィチェリーとなった。
「早速ですが、冒険者ギルドを利用するにあたっての説明を行いたいと思います。守らないと罰則が加えられることもあるので、心して聞いてくださいね!」
そこで聞いた説明というのは大体こういうモノだった。
・依頼の受領は受付の隣にあるカウンターで
・依頼人のもとで直接働くような依頼では依頼人からの達成報告書をもらう必要がある
・依頼人が現場に直接いない場合は討伐系であれば倒したモンスターの討伐部位と周辺状況の詳細報告が必要
・依頼を受領せずにモンスターを討伐したり採取したりした場合もギルドで買い取りはしてもらえるが、オークションに出す場合は直接出品するしかない
・ギルド内にある借用品店で借りたものは、一週間銀貨1枚で借りれるが、もし壊したりしたら銀貨5枚を払わなければいけない。
・依頼を期間内に達成できなかったりした場合は迷惑料としてギルドと依頼者が話し合った額を払う
・依頼の達成を偽ったりしたら罰金が金貨5枚
・冒険者ランクがある
・冒険者ランクは下からE D C B A S とある
ちなみに一般的な冒険者では、EランクからDランクまでは半年、DランクからCランクまでは3年、CランクからBランクまでは5年、BランクからAランクまでは12年、AランクからSランクまでは余程の実力がなければほぼ上がらないとのことだ。ちなみにうちの親父はAランクらしい。Aランクは騎士で言う千人隊隊長ほどの力らしい。
「異常で説明を終わります!質問などあったらまた来てくださいねー! ありがとうございました!」
「ん……フェ、ゲニウスならすぐにSランクになれる。強いもん」
「お前も十分規格外だろう……じゃあ早速近くにあるダンジョンにでも行こうか」
「……私は魔法ができるだけ。フェ、ゲニウスは近距離も遠距離もできる。……近距離で攻撃されたらすぐ負ける。……あ、ゲニウスに手篭めにされてベッドの上で遊ばれる。……ゲニウスのスケベ」
「だからそういうことは言わんでいい! 今日はもう時間も遅いし宿でも探しに行くぞ!」
「……………………もう、フェノメの鈍感」
「ん? なんか言ったか?」
「もういいのっ!」
「?」
……とりあえず宿を探すことになったのだが、時すでに遅しということか、どこの宿も空いていない。
「むう……どうして空いてないの」
「時間が時間だからな。……しかしあと一件しか宿はない。どうにかして止めてもらわないとな」
「ふかふかのベッドで寝たい……」
マリンも俺も昨日までは貴族用のベッドで寝ていたからな。いくら野宿でも別に危険があったりするわけでもないが、こいつは安い宿のベッドでいいからベッドに寝かせてやりたい。とうとう最後の一件についたわけだが、果たして空いているだろうか……
「いらっしゃいませー。やすらぎの森亭へようこそ。」
「すみません。部屋は空いていますかね? 二つ借りたいんですが」
「あー。申し訳ないですが空いているのは小部屋が一つだけで……でも意外と広いので大丈夫だと思いますよ?」
「一部屋ですか……ウィチェリー、どうする?」
「ん……大丈夫……もし襲ってきても優しく包み込んであげる(ぼそ)」
「……? まあいいか。では一部屋よろしくお願いします」
「ご利用ありがとうございます。料金は銀貨3枚になります」
「(げっ……金貨しかない。騒がれたりしたら面倒だが大丈夫か?)すみません、細かいものがなくて……」
「(どっかのボンボンか?)大丈夫ですよ。ではお釣りの銀貨7枚です」
「はい、ありがとうございます」
「こちらが鍵になります。カウンターの脇に階段がありますので、あとは鍵に書かれている番号と照らし合わせて部屋にお入りください。ごゆっくりどうぞ」
ふう……なんとか面倒ごとには巻き込まれなくてよかった。それにしてもあの受付の人何者だ?とてつも無く冷静だった。
「むう……早く部屋に行こう?」
「あ、ああわかった。今日はなんとかなってよかったな」
「うん……部屋あれじゃない?」
「ほんとだ。入るか」
ガチャッ ドアを開け部屋の中を見てみると……ベッドが小さい!
「おい……マリンはベッドで寝ろ。俺は床で寝る」
「私は勝手についてきた身。……フェノメがベッドで寝ればいい」
「それを言ったら俺も追放された身だ。俺は男だし、いいよ」
「むう……じゃあ一緒に寝る」
「ッッ⁉︎ どうしてそうなる。あのなあ、俺はちゃんと男だ! 性欲だってあるんだから危ないだろ!」
「むふぅ……襲われるんだったらそれも本望。……それに私にわざわざ警告するぐらいなんだから大丈夫でしょ」
「……わかった。そこまでいうなら一緒に寝る。ただし! 寝るときは反対側を見て寝ること! これ以上やられたら俺の理性が保たない! お前は可愛いんだから理解しろ! わかったな!」
「カワイイ……カワイイ……………………むふぅ」
……?大丈夫か?まあどうにか理解してもらえたようだ。さて、明日まで俺の理性が持つかね?
こうして一人で始まった冒険は二人での冒険になり、なんとか一日目を終えることができたのであった。
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