はかなく遠く
「俺たち…近すぎたのかなぁ?」
悠は、小さく呟いた……。
俺こと火野悠と水地唯は幼なじみだ。学校ではいつも同じクラスで席もとなりだ。 唯は毎朝、俺を起こしにくる。俺が低血圧なことなどお構い無しだ……マジでやめて欲しい。
そんな俺達を学校のみんなは冷やかす。唯は迷惑じゃないのか?
空が茜色に染まったある日。俺と唯は一緒に帰った。
「あ〜。マジでなんなんだろうな〜あいつら。」
「そんなこと言わないの!きっと羨ましいんだよみんなは。」
「そうかなぁ?俺にはただの迷惑にしか聞こえないんだけど…」
「もっと大人になりなよ悠!それもみんなの愛情なんだよ」
「そうか……」
「あんた嬉しくないの?」
「なにがだ?」
「もういいよ!!」
唯は走って行ってしまった。
「なんなんだよ!まったく」
いつのまにか茜空は色を失い始めていた…。 「悠って好きな子いるの?」
突然、唯からメールがきた。正直、驚いた。唯は、家が近いからメールなんていらないね。と言っていた。驚きながらも返信した。
「いねえよ!んなやつ」
「そうなんだ。私にはいるよ好きな人。」
「へぇ〜。意外だな。お前にそんなこと無縁だとおもってたよ。」
「ひどいよ〜。私だって恋の一つや二つしたいわよ!」
「で、誰なんだ?その好きなやつって」
「秘密だよ」
「なんだよ〜教えてくれたっていいじゃねえかよ」
「ダメ」
「ちぇっ」
「そんなことより、悠に相談にのってほしいの」
「どんなこと?」
「恋ってどうしたら成功するとおもう?」
「そんなこと知るか」
「お願い!!」
「相手との距離がちょうどよかったらいいと思うよ」
「どういうこと?」
「相手との距離が近すぎると相手からの恋愛感情がとおくなり、遠いとそのおもいが伝わらないっていうこと」
「わかったよ。ありがとう」
俺にはどうして唯がこんなことをきいたかまだ理解してなかった。
翌朝、唯が俺を起こしにきてくれなかった。遠くから救急車の音がきこえる。
「悠!悠!!」
お袋があわてて俺の部屋にはいってきた。
「なんだよ?あさからあわてて」
お袋は泣いていた。
「唯ちゃんが、唯ちゃんが」
「唯がどうしたんだ?」
「交通事故でいま病院に」
「………本当に?」
俺は言葉を失った。
「とにかく病院に」
お袋と一緒に病院に向かった。
病院では唯の父と母がいた。
「悠君、唯はもう死んでしまったんだ」
「………え?」
「医者の先生に言われたんだ。打ち所がわるくて脊椎がやられてしまったんだ」俺は目の前が真っ暗になった。
「唯が、君に会いたいそうだ。いってきてくれ」
唯の母は、ついに泣き崩れてしまった。
唯は、ベッドで眠るようにいた。別に血はでていなかった。ただ眠っていたようだった。俺はなにも声をかけられなかった。
唯が死んで俺は、初めて自分の本心に気づいた。俺は唯が好きだったんだ。
俺は馬鹿だ!大馬鹿野郎だ!!唯が近いから逆に気づくことができなかった。
「俺達…近すぎたのかなぁ?」
俺は小さく呟いた…。
私が初めて書いた短編小説です。私は小説を読むことが好きです。今回小説を書いてみて、小説の難しさがよくわかりました。これからも頑張りたいのでよろしくお願いします。