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プロローグ

今回は前々から書きたいなと思っていた悪役令嬢モノです。

不定期になりますが気力が続く限り投稿していきたいと思います。

 ある夜、ルシャボテ公爵家に1人の子供が生まれた。

 シャルロットと名付けられた女の子は両親の愛情を受けながらすくすくと成長し、淑やかな少女へと成長した。

 腰まで伸びたブロンドの髪に少し大人びた切れ長の目。雪のように白い肌。もし社交界に出れば多くの貴族達の目を引くだろう。

 そんな彼女には少し人と違う所があった。

 彼女は前世の記憶を持って生まれた。困ったことに彼女の前世は普通の男。普通の家庭に生まれ、突出した能力も開花せず普通に成長し、いざ大学入学という時に事故に遭って気が付いたら妹がプレイした中世風の世界を舞台にした乙女ゲームの悪役令嬢に転生していた。

 しかし、それは今の彼女にとって思わぬ問題をもたらした。

 前世の記憶からシナリオ通りに進めばシャルロットにはヒロインを虐め抜いた末にヒロインと恋に落ちた攻略対象に国外追放されるという悪役令嬢らしい未来が待っていることをなんとなく知ったが、それよりも大きな問題があった。

 それは自分の性別に対する違和感だった。

 前世の記憶のせいで男性に媚びるような自分の言動には悪寒が走るのに男らしく振舞うと何かが違うような気がした。可憐な女性にときめく自分も居れば、見目麗しい男性に胸を高鳴らせる自分も居た。

 とうとう彼女は自分のことが分からなくなり、次第に恐怖を覚えるようになった。

 とは言え、幸か不幸か彼女は頭が良い方ではなかった。そのため問題の処理が追いつかず、十数年も悩んでいると脳が容量オーバーで機能停止した。

 要は考えることをやめたのだ。



 その結果、シャルロットは思いがけない行動に出た。

 ゲームの舞台であるメルヒエン学園入学当日。腰まで伸びていたブロンドの髪を肩口でバッサリと切り、前世と同じく黒色に染めた。中世に髪の染料があることに疑問を感じるが、そこはゲームの世界。あるからあるのだ。

 それからメイクはせずにシャツに袖を通すと、女性用のスカートではなく男性用のズボンを履き、ネクタイを締めた。最後に男女共通のブレザーを着て鏡の前で全身を確認する。

 鏡に映る自分の姿は男性そのもの。元々中性的な顔立ちだったこともあり、白いブレザーと黒いスラックスが似合っている。

 何故こんな格好をしたのかと言うと、シャルロットはある結論を出したから。

 前世とか今とか、シナリオとか国外追放とか、バカな自分にはよく分からない。だがら、難しい事は考えず、とりあえず好き勝手に生きていこう。それが彼女の出した結論だった。

 その決意の証として男装……というより着たいと思った服を着て、髪も落ち着く色に染めた。ただ、使用人達に目撃されたことによって少し騒ぎになった。

 そんなことを他所に馬車で学園に向かうと、婚約者から使用人と同じ反応をされた。


「ごきげんよう、シャルロット。……うわっ!?」

「ちょ、『うわっ!?』って何だよ。婚約者に向かって」


 婚約者は銀色の目を丸くし驚愕の声を漏らした。

 彼はシャルロットの婚約者であるアラン・ワンダラント。この国では家名を知らない貴族は居ないくらい有名な公爵家の子息であり、眉目秀麗・文武両道・完璧超人という言葉が似合う銀髪の青年。確かゲームでは攻略対象だったはずだ。

 普段はクールで表情が変わることは滅多にないのだが、シャルロットの男装姿は衝撃的過ぎたのだろう。現実を直視できないといった様子で頭を抱えている。

 そんなアランにシャルロットはハハハと無邪気に笑って見せた。


「どうだ似合うか? 普段とのギャップがカッコイイだろ?」

「いや、待ってくれ。君は本当にシャルロットなのか!?」


 信じられないと言ったようにアランはシャルロットに尋ねてくる。


「その髪は、どうしたんだ?」

「鬱陶しいから切った。色は金髪ってなんか落ち着かないから黒くした」

「その制服は?」

「今日の気分。まあ、気が向いたらスカートで来る」

「その男みたいな振る舞いは?」

「ちょっと自由に生きてみることにしましたぁ!」


 そう言ってシャルロットは堂々と胸を張り、混乱しているアランをさらに混乱に陥れる。淑やかだった婚約者が突如として男装で男のような振る舞いをして目の前に現れたら混乱するなという方が無理な話だろう。

 しかし、事情を説明すると彼も分かってくれた、というより諦めたようで、ふぅと溜息をついた。


「まあ、幼い頃から君の行動には驚かされていたしな。今更どうこう言うことは無いだろう」

「マジで!? やったぁ! やっぱりアランなら分かってくれると思ってたんだよ。愛してるぜアラン!」


 嬉しさのあまりシャルロットがアランに抱き付けば、「振る舞いだけは上品なままにしてくれるか」と宥められるが、そんなことシャルロットには聞こえていない。それどころかアランの手を引いて学園へと駆けだし始めた。


「行こうぜアラン。入学式が始まるぞー!」

「お、おい、あまり目立つようなことは……って、聞いてないな」


 こうしてシャルロットの新しい生活が始まった。


「よーし、これから好き勝手に生きてやるぞぉ!」


 ちなみに、この時シナリオが既に始まりかけていることを彼女はまだ知らない。

お疲れ様でした。読んでいただきありがとうございます。

今回は「男の人が悪役令嬢に転生したら、某歌劇団の男役みたいになるのでは……?」という思い付きの元、ノリと勢いで設定を書きなぐりました。なので話もノリと勢いで進みます。

次回は少し先になると思いますが何卒よろしくお願いします。


余談ですがTwitterはじめました。→https://twitter.com/hon_no_usagi

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