第99話 とある執事の異世界英雄譚~世界を超えた使用人~ ①
「ここは何処だ?」
目覚めると真っ白い空間に立っていた…
確か私は自身が仕えるお嬢様と戦っていた筈だ。
そう、互いに譲れないものがあったのだ!
最後は力と力のぶつかり合いの末、私は瀕死の重症を負った筈…
決して一方的なタコ殴りにあった訳では無い事を明言しておこう。
「貴方は死にかけていたので私が救ってあげたんですよ~♪」
「うわっ!」
急に背後から何者かに話し掛けられて驚く。
お嬢様にそんな事をしたら、骨の2、3本は覚悟しないといけないぞ。
「私を救った?」
「あら?とってもイケメンさんだわ~♪そうなの。あのままだと貴方は死んでいました。なので私は貴方の命の恩人と言うわけです!」
この人は勝手に何を言っているのだろうか?お嬢様はああ見えて手加減が得意だ。たぶん瀕死の直前で止めていてくれたに違いない。だぶん………
「恩人にはちゃんと恩を返さないとダメですよ~♪なので貴方には今から私の管理する世界に行ってもらって、邪神の使徒を倒して貰います!」
本当に勝手だな!?
ある意味お嬢様より自分勝手だ。
「嫌だと言ったら?」
「貴方に拒否権はありませんよ~♪チートな武器もサービスしますから、頑張って下さいね~♪それじゃあ、今から送りま…」
目の前の怪しい人物が言い終わる前に、私の体は浮遊感と共に消え去っていた。
「フラウ!お気に入りの石鹸の在庫は何処にあるの?探したけれど見つからないのよ!」
「……あの石鹸なら、此方です。申し訳ありません。誰か侍女に伝えておけば良かったですね」
「でも、やっぱり私はフラウが居ないとダメみたい。さっきはごめんね。痛くなかった?」
「大丈夫ですよ。超覚醒でもう治っています」
こんな言葉でも嬉しく感じてしまうのは……はっ!まさか、調教!?
取り敢えず、お嬢様に今さっき自身に起きた事を話す。
「何?私のフラウを拉致って強制労働させようとしてたってわけ!?許せないわね!!ちょっと文句言いに行きましょうか」
「えっ?」
「フラウはどんな所だったかイメージして頂戴!私が魔力で読み取って召喚するから」
「わ、分かりました…」
お嬢様と手を繋ぎ、先程の真っ白な空間を思い出す。
「えっと、これね!じゃあ、行くわよ!!」
気が付くとまた先程の場所に立っていた。
だが今回はお嬢様も一緒だ。心強さが半端ない!
「あら~?戻って来たのね。私が転移させる前に勝手に居なくなるなんて悪い子ですね!お仕置きです!!」
「ちょっとあんた!人の使用人を拉致っておいて何勝手な事をほざいてんのよ!!」
「貴女は喚んでいませんが?」
「あんたに文句が言いたかったから一緒に来たのよ!」
「因みにそれは私が女神だと知っての狼藉ですか?」
「女神!?あんたが?プークスクス♪笑わせないでよ。あんたとエレンちゃんを比べたら本当に月とすっぽんじゃない♪」
「あらあらあらあら!……ふざけた事をぬかすと殺しちゃいますよ♪」
「あらあら星人だったのね!道理で宇宙人っぽい顔してると思った!!あれ言ってみてよ!「ワレワレハウチュウジンダ!」ってやつ!!」
「……殺す!!」
流石はお嬢様だ!
人の怒りを買う事に関して右に出る者は居ない…
こうしてお嬢様と女神のタイマンが始まった!!




