第94話 魔物の巣⑥
「わあ~♪本当に浮いてるよ!」
ばーさんから貰った羽はエレンちゃんに使ってもらうことにした。
エレンちゃんは元から女神を超えているけれど、天使属性がプラスされて更に神性具合が増した。自分で何言ってるか分かんないわ…
要するに、エレンちゃんは最高よ!!
次の階層からは、キング系の魔物が跋扈していた。
「攻略難易度が跳ね上がってるわね」
トロールキングの攻撃を素手で受け止めながら呟く。
「生活魔法じゃ2回当てないと倒せないよ!」
エレンちゃんの方も生活魔法では苦しくなってきたみたいだ。
まあ、生活魔法だしね…
本来であればライターの火や扇風機の風程度の効果なので、2回で倒せるのが驚きである。
その後も、ゴブリンキングやオークキングなどを倒しながら先に進んだ。
10階層程進むと、再度豪華な扉がある部屋に着いた。
「はあ!はあ!此処でたぶん最後よ!あと少しで富と栄光が私達を待ってるわ!皆、頑張りましょう!!」
「…えっと、一つだけ願いが叶う宝玉があるらしいよ!ピエール君を生き返らせよう!!」
ごめん、エレンちゃん……もしそんなお宝があったら、たぶんピエール君はスルーよ。
扉を開けて部屋の中に入る。
部屋の真ん中の玉座に誰かが座っていた。
「フハハハ!我は魔王アバドン!よくぞ此処まで辿り着いた!!その強さに敬意を表し、丁重に葬ってやろう!!」
「…あんた、こんな所で何やってるの?」
「!!!…アーシャ!?それにエレンさんも!!」
「マオーさん?何でこんな所に?」
「……いや~、今はちょうど清掃の仕事が少ない時期なので、此処で魔王役のバイトをやっているんですよ!」
「へぇ~、そうだったんですね!」
エレンちゃん!ツッコミどころは満載よ。気付いて!!
魔王が素早い動きで私に近付いてきて耳元で囁く。
イケメンに耳元で囁かれたのに興奮したのは内緒よ!
「おい!何でこんな所に来たんだ!?」
「こっちのセリフよ!何で居るのよ!?」
「ここのダンジョンマスターは古くからの知人でな。たまにヘルプを頼まれるのだ!」
「私達はダンジョン攻略中なの。あなたがボスなら倒して先に進むわ!」
「エレンさんと戦える訳があるまい!しかも、羽が生えていて……まるで天使ではないか!!」
「??」
魔王がふとエレンちゃんを見ると、エレンちゃんは不思議がってコテンと首を傾げた。
「おい!エレンさんはなんであんなに可愛いんだ!!」
「知らないわよ!戦う気がないならここを通して頂戴!!」
「此処がこのダンジョンの最下層だ。踏破達成の財宝はやるから大人しく帰れ!」
「あれ?サイナス様とやらが居るんじゃないの?」
「サイナス?ああ、堕天使どもの首領か。大方、部下を色んなダンジョンに派遣しているのではないか?かく言う我も臨時だしな…」
ひそひそ話を終え、魔王がエレンちゃんに向き直る。
「まさかエレンさん達が来られるとは思いませんでしたぞ!此処まで来るのは大変だったでしょう!これは踏破達成報酬の『願いが叶う宝玉』です。是非、受け取って下さい!」
「えっ、本当ですか?」
エレンちゃんが想像した物が本当に出てきた!
「アーシャ、どうしよう?そうだ!ピエール君を生き返らせないと!!」
「エレンちゃん、ピエール君は死んでいないわ……」




