第93話 魔物の巣⑤
実家に一泊して再度ダンジョンに向かう。
昨夜はぷよぷよの4人対戦で盛り上がってしまった。
ついでにお母さんも参加させて、無断外出をさせないようにした…
今日は、念のためティファを監視役として残してきている。
私達がボス部屋に戻ると、ボスは寝ていた。
「…ああ。サイナス様、こんな所で一体何を…」
寝言が聞こえてくる。
面白そうだったので、家から持ってきたスマホで録画してみた。
「だ、ダメですわ!サイナス様には愛する奥方様がいらっしゃるではないですか!…えっ、私を一番愛している。…わ、私もサイナス様をお慕いしております。えっ?近々別れるつもり…。正式に妻として迎い入れたい?…じゃあ!!」
「…………」
「…何か、危険な香りがするね」
夢を見るのは自由だが、内容が際どいわ!
「サイナス様!もう、我慢出来ません!!」
近くでスマホを向けていると、ボスはいきなり私に飛び付いてちゅーをしてきた。そして目を覚ました…
「サイナス様の唇は柔らかいですね♪……って、あれ?」
「…見事な寝相だったわね」
「おはようございます!」
エレンちゃん、律儀に挨拶しなくて良いわよ…
「貴女達は昨日の!いつの間に!?」
「サイナス様とのお楽しみ中申し訳ないんだけど、昨日の続きをしに来たわ!」
「何故サイナス様の名を!?くっ!油断ならない相手の様ね、此処で息の根を止めてあげるわ!!」
ボスは距離を取って戦闘態勢に入った。
私はそっとスマホの再生ボタンを押した。
『だ、ダメですわ!サイナス様には愛する奥方様がいらっしゃるではないですか!…えっ、私を一番愛している。…わ、私もサイナス様をお慕いしております。えっ?近々別れるつもり…。正式に妻として迎い入れたい?…じゃあ!!』
「えっ、今のは私の声?」
「貴女の寝言よ。サイナス様が聞いたらさぞお喜びになられるでしょうね♪」
「嘘よ!そんなの作り物だわ!!」
「それはサイナス様の奥方様が判断なさるわ」
「だ、ダメよ!レインスルート様に今のを聞かれたら、私は塵も残さず消されてしまうわ!!」
「まあ、貴女の態度次第では何事も無かった事に出来るわよ。え~っと、エレンちゃん、この人の名前なんだったかしら?」
「えっとね、確かパールヴァーさんだったと思う」
「さあ、パールばーさん!貴女の態度次第よ」
「パールばーさん!?私はパールヴァーティーよ!!」
「そんなに変わらないじゃない…」
「……生意気な人間ね!殺してあげるわ!!」
「そう、それが貴女の態度なのね。じゃあ、エレンちゃん。サイナス様に会いに行きましょうか?」
「あっいや、嘘ですよ!…いやだなぁもぉ~♪こんな部屋なんてスルーして頂いて結構ですので!!ささっ、此方ですわ」
ばーさんが部屋の奥の扉まで案内してくれた。
「へへっ旦那。くれぐれも内緒にしておくんなせぇ!これは私からのささやかな気持ちの品でごんす…」
動揺からキャラが崩壊してるわ!
因みに、受け取ったのは着脱式の羽だった。
こうして私達は、半ば追い出される感じでボス部屋を後にした。




