第91話 魔物の巣 帰宅①
実家に戻った。
「ただいま~!」
「…お邪魔します」
「わあ~!何ここ~?」
「あっ!エレンちゃんだ!!あと、何か袋が喋ってる!?」
「美来、聞いて驚きなさい!何と、リアルおどる宝石よ!!しかも私のペットになったわ!」
「ティファって言います♪」
「いいなぁ~!でも、私にはイケメンが…。お姉ちゃん、イケメン忘れないでね!!」
「わかってるわよ」
くれぐれもイケメンをペットにはしないでね。
事案が発生してしまうわ!
「あら、エレンちゃんいらっしゃい!」
「お母さん、エレンちゃんも晩ご飯一緒に良いかな?」
「大丈夫よ。ところでそっちの袋は何?しかも周りに色々浮いてるけど…」
「私のペットのティファよ。暴れたりしないから安心して。因みに餌は宝石よ!」
「贅沢なペットね…」
お母さんの目は宝石や装飾品に釘付けだった。獲物を狙う目をしているわ!盗らないように言っておこう…
「このはんばーぐ物凄く美味しいです!」
「あら、嬉しいわ♪」
「油断は禁物よ、エレンちゃん。明日も明後日もハンバーグの可能性があるわ。お母さんは、肉が傷んでいても「熟成したのよ」で済ませる図太い神経の持ち主なの」
「あっ!手が滑ってレモンの汁が!!」
「もうその手は…」
「ああ!タバスコが!!」
「ぎゃあああああああ!!!」
「良い子は真似しちゃダメよ♪」
「アーシャ!?あわわ…『ヒール』!」
「はあ!はあ!!エレンちゃん、ありがと…」
自分の娘の目にタバスコを浴びせる母親が何処にいるのよ!?
「綾、口は災いの元だから気を付けなさい」
「じゃあ、お母さんが災いね!」
「そう言えばこの前、ネットでくさやの凝縮エキスが売っていたわ♪」
「ごめんなさい!もう余計な事は言いません!!」
「あはは♪おもしろ~い♪」
「あっ!ティファにもご飯をあげないと。ごめんねティファ」
私はポーチからアメジストみたいな石を出して袋に入れる。
「美味しいです♪アーシャ様、ありがとうございます♪」
「…今のは宝石?」
お母さんの目が鋭くなった。
「あ~、久しぶりに帰ってきた娘から何かおみやげはないのかしら~?」
物凄くあからさまだわ…
何かあったかしら?そう言えば、収穫祭の時の重量輪投げの的屋を探し出して5等の景品だった種や実を買い取ったんだった!
「じゃあ、日頃の感謝を込めて。ありがとうお母さん!」
「何これ?」
「種」
「くさや……」
「この種は特殊な力が貰えたり、呪われたりする不思議な種なの!エレンちゃんは大当たりだったから、きっとお母さんも大当たりを引く筈よ!!」
「…因みにどんな効果があったの?」
「騎士になれたり、ステータスがカンストしたり、後は…不老の呪いだったかな」
「不老!!!そ、それは老けないと言うことかしら?」
「そうよ。この前来たクーンが不老の呪いにかかっているわ」
「いつまでも若々しい嫁!?無理よ!私には堪えられない!!」
◆◇◆◇◆◇◆
「お義母様どうかされましたかにゃん?」
「ええ、ちょっと顔のシミがね…」
「ごめんなさいにゃん…。私はシミもそばかすも出来た事がなくて、肌もいつもスベスベで潤ってるにゃん。化粧品?お金の無駄にゃん。お義母様は大変そうにゃん。同情するにゃん…」
「………………」
そして私は、息子の嫁の背後からくさや凝縮エキスを……
◆◇◆◇◆◇◆
「いやああああ!!」
「ど、どうしたの、お母さん!?」
「そんなつもりじゃなかった!体が勝手に動いちゃったのよ!!」
何を想像したのだろうか?まるでサスペンスドラマの犯人の様な台詞だ。
「何も起こらない事もあるから完全に運次第だけど、お母さんならきっと大丈夫よ!」
「そうかしら?」
「そうです!いざという時は私が解呪します!!」
「まあ、お母さんなら呪いなんか効かないんじゃない」
「わくわく♪ドキドキ♪」
「……分かったわ!今までパッとしない人生だったけど、きっとここが私の人生のターニングポイントよ!!」
そして、勢い良く種を飲み込んだ!




