第86話 魔物の巣②
エレンちゃんの体が再度光に包まれてすぐに収まる。
だが、やはり外見には全く変化はない。
「エレンちゃん、どんな感じ?」
「凄い…!今なら何でも出来そう…」
物凄い効果があった様だ。
「それじゃあ、準備も出来たし出発しましょうか!」
「うん!頑張ろうね♪」
~こうして、少女の姿をした化物2人のダンジョン攻略が始まった~
「えっと~、一階層はスライムとゴブリンらしいわ」
「全然出て来ないね?」
私は魔物の巣初心者攻略ガイドを見ながら歩く。
すると急に体を襲う浮遊感…
私は落とし穴の罠に嵌まっていた。
「きゃあああああ!!!」
バキバキ!
ドスン!!
穴の底に落ちた様だ。
「あ、アーシャ~!大丈夫~!!」
上の方からエレンちゃんの声が聞こえる。
「大丈夫だよ~!!」
周りを見ると鋭い刃物状の物が並べられているが、私の周りだけは刃が折れたり、曲がったりしていた。
錆びて脆くなっていたのだろう。
金属は手入れをしないと劣化するのだ!
変な虫でも出てきたら嫌なので、召喚で急いで上に戻った。
「罠もあるなら気を付けて進まないとね!」
「探索系の魔法は覚えてないけど、大丈夫かな?」
「まあ、何とかなるんじゃない。」
「そうだね!アーシャが居れば何とかなりそう♪」
気を取り直して出発した直後、転移の罠を踏んだエレンちゃんが何処かに飛ばされてしまったが、召喚で喚び戻した。
「物凄く強そうな魔物が居たよ!何か「我の眠りを妨げるのは誰だ?我が名は…」って言ってた」
名乗る最中に相手が居なくなる程恥ずかしい事は無いわね…
何とかさんには同情するわ。会うことは無いでしょうけど。
更に気を取り直して先に進む。
少し開けた場所に出た。と思ったら通路が全部遮断された。
シャッターみたいに壁が降りて来たのだ!
すると広間のあちこちから魔物がポップしてきた。
モンスターハウスだ!!
閉じ込められた感じがするが、通路を塞いだ壁はそんなに厚くなかったから壊せそうだし、召喚で通路側に戻っても良かった。
だが、折角のモンスターハウスなので魔物と戦ってみよう!
「エレンちゃん!戦うわよ!!」
「うん!」
エレンちゃんが神剣を抜き放つ。
「じゃあ、まずは威力の弱い魔法で牽制しましょう!」
「分かった!『ウインド』!!」
ゴオオオオ!!!
物凄い竜巻が部屋全体を呑み込んだ。
竜巻が収まった後には私とエレンちゃんしか残っていなかった。
「あれ?間違えたかな?」
「もっと弱い生活魔法くらいで丁度良いかもね」
エレンちゃんの魔力がカンストしてるのを忘れていた。
絶対本気でやらないように言っておいた。
魔物は全滅させたが通路が解放されないので、頭にきて殴って壁を破壊した。
まだ一階層だしね。きっともっと下の階層にはえげつない魔物や罠があるに違いない。
また更に気を取り直して進んでいると、通路の壁にもたれ掛かっている冒険者を発見した。
近づいて良く見ると、横腹に穴が開いており血が大量に流れ出している。
「酷い…。誰がこんな事を……」
魔物しかいないと思うけど…
真顔で言っているエレンちゃんにほっこりしていると、その瀕死の冒険者が語り出した。
「じ、嬢ちゃん達。俺はもうダメだ…。このネックレスを、王都にいるターニャと言う…女性に渡してくれ…」
「諦めないで下さい!『ヒール』!!」
エレンちゃんが回復魔法を唱えると、あっと言う間に冒険者は完全回復した。
「あれ?俺はもう死ぬ寸前だった筈…」
「治って良かったです。ネックレスは自分で渡して下さいね♪」
「お、おう。改めて、俺はSランク冒険者パーティーの『うたた寝のグランデラ』でタンク役をやっていたヴァイスだ。仲間に裏切られて死にかけていた所だったんだ。あんた達には本当に感謝してもしきれない!」
……思ったより大事だった!!




