第85話 魔物の巣①
巷では今日から大型連休に入る。
陛下のご先祖様が発足した王家の誕生を祝う誕生祭だ。
前後3日間が祝日になるため約一週間休みになる。
ゴールデンウィークみたいなものね。
「今日から何をしようかしら?」
朝食後、居間で休んでいるとお父様の読んだ後の新聞が目に入る。
そこには大きな字で「Sランク冒険者パーティー『毒舌のオルカーン』『義王の遺跡』完全踏破!!」と仰々しく書いてあった。
これだわ!!
別にダンジョン攻略は冒険者の専売特許と言う訳ではない。
私は諸事情により冒険者になることは不可能だが、やはり剣と魔法の世界に来たのならダンジョンには行かねばなるまい!
と言う事で早速エレンちゃんを誘ってみる。
「私も行ってみたいけど、バイト2日入ってるんだ…」
「う~ん、それなら兄ちゃんにやらせましょうか!」
兄ちゃんは仕事を探しているが、日本現代社会の代表の如くヒョロヒョロな体型なのでまだ就職先は見つかっていない。
やっぱり此方の世界って体が資本な所があるからね。
善は急げと言うことで、エレンちゃんのバイト先の店長に兄ちゃんを面接してもらい、半ば強制的に働かせる事に成功した。
因みにエレンちゃんのバイトはパン屋さんの接客とレジだ。
「いつまでもクーンの世話になってたら、兄ちゃん嫌われるよ!」
その一言で渋る兄ちゃんはやる気全開になった。
前の仕事が営業なのですぐに順応出来た様だ。
ただ1つ懸念があるとすれば、エレンちゃん目的のお客さんが絶望する事くらいだろうか…
「それではご主人様、お気を付けて!」
ダンジョンまでニルに送って貰った。
通常は馬車で1週間かかる道程だが、1時間で着いた。
洞窟型ダンジョン『魔物の巣』、名前の通りとにかく魔物が多くて、しかも階層を下るごとに魔物の強さが上がっていくダンジョンだ。今までにSランクのパーティーも数多く挑戦したが、踏破記録の無い最難関ダンジョンとして有名である。と旅行パンフレットには書いてあった。
だってそんな情報知らないし!
「そう言えばエレンちゃん、前に食べた種のメッセージはまだ残ってる?」
「うん、下の方で小さくなってるよ」
「安全のために今の内に使っておきましょうか?」
「分かった!何騎士が良いかな?」
「そうね、エレンちゃんは魔法使うから魔法騎士が良さそうだわ」
「じゃあ、②番だね。…押したよ!」
するとエレンちゃんの体が光に包まれたが、光が収まった後も外見には全く変化はなかった。
因みにエレンちゃんは、いつも通りの青のドレス姿だ。全くダンジョンに挑む格好では無いのだが、防御力高いし汚れないので一択だった。
「何か変わった実感はある?」
「う~ん。何かね、無性に剣を持ちたい気分かな」
…手元に剣が現れるくらいのサービスは無いのかしら。
「じゃあ、私が召喚するわ」
どんな剣が良いかしら?
知識的には色々あるから迷うわね。
でもドレスに長剣は合わないから50cm位の長さで…
やっぱり魔法を剣に纏わせたりもするだろうから、魔法伝達率は最高で…
あっ、耐久性も大事よね!絶対壊れないっと…
イメージ…、イメージ…、イメージ!!
召喚!!
自分の手に現れた剣をエレンちゃんに渡す。
「神剣グラディウスだって!ありがとう、アーシャ♪」
剣の名前が分かるのは不思議だが、騎士のスキルか何かだろうか?
まあイメージ通りなら、きっと役に立つ筈だ。
「もう1つの方も使っちゃいましょうか?」
「カンスト何とか?」
「そう、それね」
「分かった!…ポチッとな!!」
エレンちゃん、それ何処で覚えたの!?




