第82話 クーンの受難
≪クーン視点≫
「ふぁ~。クーンさん、おはようございます♪」
「ご主人様、おはようございますにゃん。でも、まだ全然早いから時間まで眠っていても大丈夫ですにゃん」
「いえ、いつも大体この時間に起きるんです。授業の予習をして、魔力を高める為に瞑想してから朝食の準備を始めるので、結構ギリギリなんですよ♪」
「……アーシャ様に見習わせてあげたいにゃん!この前なんか「召喚があるから、制服のまま寝れば起きた瞬間に教室に行けるわね!」と宣ったにゃん!…今思えば「おはよう、クーン。行ってきます!」と言われて起きた瞬間に消えた時に、この人の侍女は無理だと感じたにゃん!」
「あはは…。アーシャらしいですね♪…っとそれじゃあ、私は授業の予習をしますね。クーンさんも朝食までは自由にして良いですよ?」
「そうですかにゃん?じゃあ、朝食の準備は私がするので、それまで外で鍛練してきますにゃん」
「朝食の準備も一緒にやりましょう♪その方が早いですし。でもやっぱりクーンさんはお強いんですか?」
「色々覚えたから器用貧乏なだけですにゃん。でもアーシャ様に会ってから、その少ない自信も失ってしまったにゃん…」
「でも、アーシャみたいな破天荒な生き方は憧れます。私なんて凡人も良い所ですから」
「……………」
「クーンさん、どうかしましたか?」
「い、いえ。何でもありませんにゃん!(何で自覚が無いにゃん!?傾国の美女とはご主人様の事にゃん!)」
改めてアーシャから依頼された護衛の意味を理解するクーンであった。
「そう言えば、この前、アーシャが前に居た世界に連れて行って貰ったんですよ♪」
「…前に居た世界にゃん?意味が分からないですにゃん…」
「ああ、ごめんなさい。実はアーシャは本当のアーシャじゃなくて、今自分達が居る世界とは別の世界から来た時に、元のアーシャの人格と入れ替わってしまったらしいです。でもアーシャの召喚魔法でその別の世界に戻れたみたいで、この前マオーさんと一緒に連れて行ってもらいました!」
「ご主人様…、きっと日頃の疲れが溜まっているにゃん。今日は学園休むにゃん?」
「!?私の頭は正常です!本当なんですよ!!」
「人格を奪うなんて、まるで悪魔にゃん!ご主人様はその悪魔に騙されているにゃん!!」
「……分かりました。クーンさんも連れて行って貰えば
納得すると思います!」
アーシャ様がまたおかしな事を始めたんだなあと思っていた時期が私にもありましたにゃん…
「ここは何処ですかにゃん!?」
「ここは秋葉原よ!ここならクーンが居ても違和感無いから気が楽だわ。私のもコスプレだと思われるだろうし…」
周りは見たことも無い風景でお城より高い建物がひしめき合っていた。
通りには鉄の様な箱が物凄いスピードで動いている。
本当に違う世界に来たみたいだにゃん!
「流石にここにエレンちゃんを連れてきたら大騒ぎになるからなあ~」
「あの~、写メ良いですか?」
「!?」
「あら、早速ね!この娘と一緒で良いかしら?」
「はい。それにしてもクオリティー高いですね!耳と尻尾なんて本物っぽいです!!」
「本物だからね~♪」
「はは♪それじゃあ、撮りますね」
「クーン、あの人に向けて笑ってあげて」
「??…はいですにゃん」
私が微笑むとその男性は一瞬固まった。
「……こんな可愛いレイヤー居たっけ?」
「今日が初めてですから!」
「本当に!?それは嬉しいですね♪」
その男の人は手に持った小型の道具を私達に向けて何かした後、お辞儀して去っていった。
「今のは何だったんですかにゃん?」
「クーンが可愛いから、風景を保存出来る道具を使って私達を絵みたいにあの道具の中に写したのよ」
「はあ…」
いまいち意味が分からなかったが、アーシャ様も普通にしていたので特に動揺したりはしなかった。
「これは…金儲けの匂いがするわね」
アーシャ様が不穏な事を口にしていた…




