第80話 「ほ、本物!?」
美来を連れて中庭に移動する。
私とニルは対面して立っており、美来は見学だ。
「では、行きます!」
「何時でも良いわよ」
ドン!
接近してくるニルのスピードが上がっている!
踏み出した箇所は、見事に地面を抉っていた。
私が居ない時も鍛練をしていたのだろう。
鋭い正拳突きを半身でかわし、逆に私から更に接近する。
殆ど体と体が触れ合っている状態だ。
「くっ!」
「零距離での攻撃方法も考えておかないとダメよ!」
ニルが接近を嫌がり離れようとするが、私はそれを許さない。
そしてニルのお腹に掌を添える。
「し、しまっ…!!」
「ちょっと痛いけど我慢しなさい」
ズドン!!
零距離無手粉砕術の威力を抑えて叩き込んだ。
ニルが吹き飛んで、何回か転がった後に動かなくなった。
「……お姉ちゃん、酷いよ!」
美来がそう叫んで倒れているニルを介抱しに向かった。
「ご主人様!今のは何ですか!?凄かったです!!」
「えっ!」
平然と元気良く起き上がったニルを見て美来が驚いている。
そう言えば、ニルがニブルヘイズなのを言うのを忘れていた。
「えっと、ごめんね美来。ニルは今は人の姿をしてるけど、実はドラゴンなの」
「ど、ドラゴン!?」
「ニル、元に戻って貰っても良いかしら」
「はい!」
ニルの体が光の玉に包まれ、割れて出てきたのは全長5mはある巨体だった。
因みに、お義母様は全長10mを超えるので元に戻る時は細心の注意が必要だ。
「やっぱりフォルムが洗練されてて、カッコいいわね!」
「クオーン♪」
私がニルの体表を撫でながらそう言うと、ニルは嬉しそうに咆哮を上げた。
「ほ、本物!?」
「そうよ、何なら背中に乗せて貰う?」
「良いの!!」
「ニル、別に良いわよね?」
「クオ~ン♪」
言葉は分からないが、首を縦に振っているので大丈夫と言う事だろう。
ニルの背中に乗った美来はキャッキャッとはしゃいでいる。
そう言えばニルが、馬車の時は固定魔法を使って外れない様にしてるって言ってたっけ。
「ニル、美来が万が一振り落とされたら危ないから、固定してあげて」
「クオクオーン!」
「あっ!何か凄く安定した!!」
「少しくらいなら走っても大丈夫だと思うわ」
「良いの?じゃあ、ニル君!全速力よ!!」
「あっ、ちょっと待っ……」
「クオ~~~ン!!!」
ドン!!!
初速が推定時速300kmを超えていた…
「きゃああああああーーーーー!!!!!」
美来は風になった!!




