第71話 「帰って来れたんだ…」
出来てしまった……
そりゃあ、元は自分の生活していた部屋なんだからイメージはしやすかったし、魔力的なぽかぽかもごっそり減った感覚があったから成功したのだろう。
「私の部屋だ…」
夜だったので電気をつけて懐かしい自分の部屋を見渡す。
「帰って来れたんだ…」
お父さん達はリビングに居るだろうか?
はやる気持ちを抑えきれずに部屋を飛び出して一階に降りる。
「ただいま!お父さん、お母さん!!」
リビングのドアを開けて元気良く叫んだ。
「えっ?………どちら様?」
懐かしいお母さんの声がリビングに響き渡った。
「それじゃあ、貴女は私達の娘の綾だと仰るんですか?」
「うん、そう。私って飲み会の日から行方不明にならなかった?」
「た、確かに綾は3ヶ月前から行方不明です!でも、綾は貴女の様な金髪でも無いし、青い目もしていないわ!」
「自分達をおちょくるのが目的なら、流石に警察を呼ぶぞ!」
お母さんが悲痛に訴え、お父さんも口調は静かだが明確に怒っていた。
そう言えば自分の姿はアーシャのままだった事に気付いた。
「これが異世界転生した時の姿だったの!中身は私だから!!何なら私しか知らない様なこの家族の秘密だって言えるわ!!」
私も全力で訴える。どうにかして信じて貰うしか無い。
「今の時代、情報なんてすぐにでも手に入る」
「じゃあ、これはどう?私が15歳の時、お父さんはゴルフに行くって言って出掛けたのに、街で偶然会って、女の人と一緒だったから「ゴルフじゃないの?」って聞いたら、「今日は中止になったんだ!……お母さんにはくれぐれも内緒な!!」って言ってスッと私に一万円を握らせたよね!?」
「ちょっ!おま!!あれはお前も口止め料って事で納得したじゃないか!!」
「あ・な・た?」
「ひい!!!」
「お母さんも、私が17歳の時に「お料理教室の先生に食事に誘われちゃった♪」って言って勝負下着を一緒に買いに行った後に「お父さんには同窓会に行くって事で話しを合わせて頂戴ね!」って言って、私が欲しかった服を買ってくれたじゃない!?」
「た、確かに変な時期に同窓会だと思った…、そのまま友達の家に泊まるとも…」
「な、何を言ってるのこの子は!」
「しかも私が「高いけど良いの?」って聞いたら「家事にもお給料が発生してるのよ♪あの人は知らないだろうけど♪」って言ってたじゃない!!」
「………」
「………」
「貴女、本当に綾なの?」
「とても信じられんが…」
「そうだよ!私しか知らない事、まだいっぱいあるから話そうか?」
「いや!もう良いから!」
「そ、そうね!」
「改めて、ただいま!お父さん、お母さん!!」
「ああ、おかえり…」
「無事で良かったわ…」
あれ?ここで親子感動の再会で3人で抱き合う感じじゃないの?
2人とも無言で下を向いている。
「何騒いでんだよ!夜中だぞ!」
「そうだよ!って……この人誰?」
両親との感動の再会?を果たした後に、兄ちゃんと妹がリビングに現れた。




