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第7話 「何でこんなことに…」②

「何でこんなことに…」

エレンちゃんの本日二度目の呟きが漏れる。



私達は応接室の様な別室にて、殿下が来るのを待っていた。

安心して!エレンちゃんは私が守るわ!


「エレン嬢、お待たせしてしまい申し訳ない。さあ、茶の準備を頼む!」

はいはい、早速私は居ない体で話を進める気ね。

それより、平民に謝る王族の図が出来上がったんだけど大丈夫かしら?



「そうなんです。エレンは私の数少ない『親友』で、今回も無理に私に付いてきて貰ったのですわ」

「そうか、エレン嬢は平民なのか。だが農民として我が国に多大な貢献しているのも事実。国とは民あってのもの、新しい制度を作ってでもそれに報いねばなるまい」

私の声は聴こえないってか!?

しかもお前、相手がエレンちゃんじゃなかったらそんな事考えもしないだろうが!!


「先ずはエレン嬢のご家族の国への貢献に敬意を表し、爵位を授けよう。前例は無いが、私から陛下にしっかりと進言するゆえ、安心して良いぞ!」

何処に安心できる要素があるのだろうか?


「えっ?えっ?」

エレンちゃんは怒濤の勢いの殿下に、訳も分からず茫然としていた。


「爵位を授けた暁にはエレン嬢の家族もこの王都に住むのが良いだろう。やはり家族は一緒に居るべきだからな!」

エレンちゃんの承諾も得ずに勝手に話を進める殿下に腹が立ってきたので一言物申す事にした。


「失礼ですが殿下。農民に爵位を与えるのは色々と問題があるかと…」

「なんだ?アーシャまだ居たのか。急な婚約破棄で申し訳なく思うが、貴女にもきっと良き出会いがあるだろう。それに今話しているのは高度な政治的な内容だ。貴女が口を出す事では無いぞ!」

カッチーン!!

何が高度な政治的な内容よ!あんたがエレンちゃんを娶りたいから外堀を埋めていってるだけじゃない!


もう不敬とか気にしていられない!私は何があっても親友を守るわ!!最悪の場合は、お父様に頼んで王家と全面戦争するしか無いわね!クーデターよ!!



「殿下、エレンが全く話に付いてきていませんわ。それに、相手の話も聴かずに自分の主張を押し通すなんて上に立つ者としての器が知れますわ。本当に手に入れたいものがあるのなら権力や立場を利用してではなく、真剣な気持ちで深く考慮し、双方が納得出来る最善案を導き出しなさい。貴方がやっていることは盗賊が力で金品、婦女子を強奪するのと何ら変わりません!」

「なっ、なな…なんだと!」

「先ずはエレンちゃんの話を聞きなさい!相手の事を知りもしないで勝てる勝負があると思いますか!?そして、お互いが相手を思いやり、相手の意見を尊重する。その上で双方が納得したならば私は何も申しません!」

「アーシャ様…」

「う、うむ。確かにそうだな。すまなかった、エレン嬢。貴女が余りにも美しく、私の好みのど真ん中だったので、我を忘れ気が急いてしまったようだ」

「えっ!?わ、私が…殿下の…」

「あ、ああ。貴女を見るたびに胸が物凄い勢いで高鳴るのだ。こんな気持ちは初めてで、どうして良いのか分からない…」

「それではエレンちゃんの笑顔なんて見たら卒倒してしまいますわね」

「も、もう、何言ってるんですか!アーシャ様」

緊張はだいぶほぐれてきたかな?


「私がこの前笑顔で挨拶して教室に入ったら、全員固まったじゃない?あれは酷いわ!」

「ふふっ♪あれはアーシャ様が悪いですよ。前日まではずっと無言で入ってきてそのまま一日中無言だったんですから」

おっ、エレンちゃんの微笑みをゲットだぜ!


それにしても前の私はそんなに酷かったのか…。

今の私はそれこそ何かに取り憑かれた様に見えるだろう。

…誰が悪魔よ!!



殿下が無言だったので見てみると、立ったまま気絶していた!





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