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第6話 「何でこんなことに…」

「何でこんなことに…」



学園に初登校した日の午後は、エリオ殿下とのお茶会だったんだけど、体調不良を理由にお断りしてしまった。

王族からのお誘いを断るなんて不敬に値するのだけれど、作り笑いも出来ないくらい落ち込んでいたので無理なものは無理だと開き直った。

謝罪の文をしたためて殿下宛に送ったのだが許して貰えず、直に謝罪するため登城することになったのだ。


一人では心細かったので親友のエレンちゃんを連れて…


「むりむりむりむり!!絶対に無理!!!」

最初は頑なに断っていたエレンちゃんだったが、私が最終兵器である『一生のお願い』を使ったら渋々承諾してくれた。

因みに最初の呟きはエレンちゃんのものだ。


エレンちゃんを豪華に着飾って、軽く謁見時のルールを覚えて貰った。勿論私も頑張って覚えたわよ。

緊張して私のドレスの裾を掴んで歩くエレンちゃんに興奮したのは内緒だ。


陛下と謁見する時に使う大広間とは別の広間に案内される。

私達は真ん中の椅子に座るエリオ殿下の前に行き頭を下げてひざまづいた。

流石王族、やはりイケメンだった。

燃えるような赤く長い髪をオールバックにした精悍な顔つきの細マッチョだ。

あの腕で抱き締められたい令嬢は数え切れない程いることだろう。


「アーシャ・クインハルトとその付き人エレン参上致しました」

「良い、顔を上げよ。!!!」

エリオ殿下が顔を上げた私達の方を見て固まっている。

どうしたのかしら?


「殿下?如何がなさいました?」

「い、いや。何でもない。それより其方の女神の如き美しいご令嬢は?」

「?この者は私の付き人のエレンと申します」

「エレン嬢か…、覚えておこう」

殿下は咳払いを一つした。


「アーシャお前を呼んだのは他でもない。私と其方の婚約を解消したいと思っておるのだ。この前の茶会もそれを伝えるのが目的だった。まあ、それは追って沙汰を下す」

「はあ…」

「聞けばお前は、私が懇意にしている同学年の友人エリミア嬢を執拗にいじめているらしいな」

「記憶にございません」

婚約もエリミア嬢も初耳なのでこれ以外に答えようがない。

えっ?それよりも私って悪役令嬢だったの!?

そのエリミア嬢とやらがヒロインな訳ね!


もしかして断罪とかされちゃうの?

『断罪されたので田舎でスローライフを送ることにした』とかやっちゃおうかしら。


「そうか、お前が知らないと言っているのならそうなのだろう。今後は疑われる様な行動は慎む事だ」

あれ?雲行きがおかしい…


「そんな事より、そちらのエレン嬢は慣れぬ登城でさぞ疲れたであろう。茶を用意させるゆえ、別室にて暫し休すむが良いぞ!」

こ、コイツ!元婚約者の前でヒロインであるエリミア嬢からエレンちゃんに鞍替えしやがった!!


「わ、わわわ私はべちゅに…」

「遠慮せずとも良い。我が王族は大らかな性格が売りなのだ。多少の無礼講は構わん、其方の話を聞かせてくれ」


さっきまで私を断罪しようとしていた奴が言っていい台詞ではない…









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