第59話 「絶対なる一撃…」
「次に魔王が現れたら、お前が倒してこい!」
殿下に感想を求めたらそんな事を言われた。
我が家に現在進行形で魔王が現れてるから返答に困るわね…
グリード様は途中で戦意喪失。
触る時の手に殺気を乗せてたから、おさわりには気付かれてはいない筈だけど。やっぱり彼の渾身の一撃を歯で受け止めたのが不味かったかしら?
だって、おさわりに夢中だったから両手が間に合わなかったんですもの!
淑女らしからぬ行動にドン引きした可能性はあるわね…
そして、私のおさわりスカウターによって彼の詳細が明らかになった。
肌年齢:25
肌のハリ・艶:59
肌の弾力:82
肌の透明感:64
総合肌レベル:58
因みにエレンちゃんは…
肌年齢:10
肌のハリ・艶:89
肌の弾力:97
肌の透明感:91
総合肌レベル:95
驚異的な数値である!
天下一肌闘会があれば、優勝候補筆頭だ!!
グリード様にエレンちゃんくらいの肌レベルがあれば、私は負けてしまうだろう。主に気持ち良さ的に…
肌レベルを上げて出直して来なさい!
「アーシャ、お疲れ様!凄かったね♪私、近接戦闘は得意じゃないから憧れるなあ」
「羨望は誰にだってあるわ。私だってエレンちゃんの回復魔法に憧れてるんだから♪」
「本当?あはは…なんか照れるね♪」
エレンちゃんが後衛職系で本当に助かった!
この美貌で近接系とか…飢えた狼男共が放っておく筈が無い!
稽古や手合わせと言う名のご褒美の申し込みが殺到するに違いないわ。
2人でお互いを褒め合っていると、グリード様が近寄って来た。
何!?さっきのおさわりだったら不可抗力よ!!
「アーシャ嬢、先程は手合せ頂き感謝します。その歳であの武力と胆力をお持ちとは感服しました。私もまだまだ未熟だと気付かされました」
「いえいえ、私も十分に楽しめましたし…。ただ一つ言わせて頂くと、戦いの場では基本一撃必殺が当たり前。手合せ中は手数を重視されていたように見受けられましたので、確実に相手を仕留められる一撃を身に付けておかれるのをお奨めしますわ」
「…貴女に歯で受け止められたのがそうなのだが」
「あら?そうなんですの。だとしたらその一撃を更に昇華させ、絶対なる一撃にするのです!私にもまだ極めねばならない技がありますので、助言しか出来ませんが…」
「絶対なる一撃…」
そう美男肉体接触術の完成にも後一歩何かが足りないのだ!
相手に抵抗する気すら起こさせない為には、殺気では限界がある。替わりの何かが必要なのだ…
替わり……
替えないといけない?
ピコン!
閃いたわ!!
そうよ!替えるんじゃなくて、混ぜるのよ!!
殺気と共に、自分には何も危害は加えられないと言う安心感を相手に叩き込む事によって、無理な抵抗力を無くし動けなくしてしまえるのでは?
自分で何言ってるか分からないけれど、とにかくやってみましょう!!
「グリード様、ちょっとじっとしておいて下さいね」
「?」
殺気と一緒に安心感!殺気と一緒に安心感!!
安心感と言えばエレンちゃん!
あの全てを包み込む慈愛の波動を一緒に!
混ざるのよ!混ぜるのよ!!
いつ混ぜるか?今でしょ!!!
「??………!!な、何だこれは!?」
「はあ!はあ!どうですか、グリード様?」
「これは…アーシャ嬢が!?」
「また一つ極めてしまった様ですわ♪」
「ぐっ!体が……」
「では、失礼して…エレンちゃん!グリード様は今身動きが取れないわ!擽りの刑よ!!」
「えっ?……わ、分かったよ!」
私がグリード様を擽っていると、エレンちゃんも乗ってきた!
「や、やめてくれ!擽られてもどうともない」
「では、これならどうかしら?」
私はドレスの裾から手袋の形をした魔道具を取り出した。
「これは、擽られ感が10倍になる『悶絶君スーパー』ですわ!はい、エレンちゃんの分。ではグリード様、耐えられるものなら耐えてみなさい!」
「や、やめ……」
フラウ君へのイタズラ用にクーンに作って貰ったオモチャが役に立つ時が来たようだ。
「ぎゃはははは!や、やめて!!うっほう!!」
この手袋の凄い所は、鎧や服からの上でも効果があるのよ!
……今、イヤらしい事を考えた変態紳士と淑女の皆様。残念ながら擽り以外では効果を発揮しませんの…。ごめんなさいですわ。
「お前らは何をやっているんだ……」
一部始終を見ていた殿下が溜め息混じりにそう言った。




