第56話 牢には誰も来なくなった…
守衛さんが震えていたので、何か暖を取る物を探すが牢屋なので何もある筈が無かった…
これは人肌で温めざるを得ないわね♪
扉から出たら明らかに脱獄だから、この鉄格子の隙間から抜けれないかしら?
あれ?お腹がつっかえて…
いやいやいや!私そんなに太ってないわよ!?
ちょっと広げれば通れるから!!
ふん!
ほら、これなら通れるわ♪
ほんのちょっと広げただけよ!本当よ!!
「ぎゃあああ!!助けてくれーー!!!」
守衛さんが足を縺れさせながら出口へ走る。
具合が悪いのにそんなに無理をしたらいけないわ!
きっと高熱も出ているのね。混乱して必死に助けを求めている!
「お待ちになって!私がしっかりと温めますから!!」
「く、来るなあああ!だ、誰かあああ!!」
転んだ守衛さんに追い付く。
「守衛さん、今はゆっくりとお休みください♪起きたら楽になっていますから…」
守衛さんは私の言葉を聞いて、安心して泡を吹いて眠りについた。
かなり錯乱していた…。きっと体が冷えきって幻覚が見えていたのだろう。
早く体を温めないと!そう、これは治療なの!やましい気持ちなんて全然無いのよ!!
私は彼を牢のベッドに寝かせて、鎧と服を脱がし始める。
ああ♪何て引き締まった筋肉!
いけない!!
これは治療よ!治療よ……治療………
私が無心になっていると、入口に人影が!?
「騒がしいけど、どうかした…の……か?」
別の守衛さんと目が合った。
「へリック!どうしたんだ!?おい!返事をしろ!!くそっ!へリックが懸念してたのが的中しやがった!!」
別の守衛さんが、牢の外から大声で呼び掛ける。
勿論、へリック君は反応しない。
「貴様!へリックをどうする気だ!!」
「体調が悪いんです!早くどうにかしないと…」
「隊長が悪いだと!逆恨みも良いところだ!!すぐにへリックを解放しろ!!!」
「言われなくても、今から彼を介抱する所ですわ!急がないと…彼がどうなっても良いんですの!?」
「ぐっ!やはり隊長に来て貰うしか…。へリック、待ってろよ!すぐに戻るからな!!」
別の守衛さんは慌てて戻って行った。
暫くして、守衛隊の隊長らしき人ががやってきた。
「私が守衛長のロイスだ。貴女を拘束し続けている事に関しては大変申し訳なく思っている!だが、どうか我が部下を解放して頂きたい!」
改めてお願いされてしまった!
張り切って介抱させて頂きましょう!!
「では、彼を介抱しますので、2人きりにさせて貰えますか?」
「分かった…それで貴女が納得するのなら致し方あるまい。だが、へリックには手を出さないと約束してくれ!」
「勿論ですわ!」
手は出さないけど、体が密着するのは不可抗力よね♪
イケメン:不可抗力
これこそが黄金比よ!!
◆◇◆◇◆◇◆
「アーシャ、おはよう♪」
「へリック!治ったのね!」
「ああ、君のおかげだ。君との出会いがもっと早ければ良かったのに…」
「えっ!それって…」
「いや、仮に早くても君は公爵令嬢…。僕の片思いで終わりそうだ」
「もう!そんなにうるさい口には蓋をしてあげますわ!」
チュッ♪
「あっ!アーシャ!?」
「ふふ♪静かになりましたね」
「今度は僕の心臓がうるさくなったよ?」
「私なんて、ずっとうるさいままですわ♪」
「やっぱり口で塞ぐしかないね」
「ええ、塞いで下さいまし♪」
「アーシャ…」
「へリック…」
◆◇◆◇◆◇◆
「ぎゃあああああ!!!」
「くそ!化物め!!や、やめろ!ぐあああああ!!!」
「隊長!へリックは救出しましたが、魔女の呪いの口づけにより新たに2人が犠牲に…」
「くそっ!やむを得ん!!犠牲者を回収し、此処は閉鎖する!奴が外に出た場合は、騎士団に討伐要請だ!!」
その日から、牢には誰も来なくなった…




