第50話 「ダメったら、ダメなの!!」
「クーン!クーンは居る!?」
「お嬢様、お呼びですかにゃん?」
「ええ、ちょっとお願いがあってね…」
結論から言うと、ドッキリは成功した…
人の幸福と絶望に形があるとしたら、それは先程のフラウ君の事だろう。
そして案の定、彼は自室に引き込もってしまった!
「お嬢様、どうしますかにゃん?」
「私が何を言っても多分無理ね…。そうだわ!クーンの言葉なら耳を貸すかもしれないわ!」
「ええ~、面倒臭いにゃ~」
まあ、確かに面倒だ。
どうしましょうか?……そうだわ!
「そう言えばこの前、猫好きの貴族から『猫仙人監修!金瑠璃マタタビの甘露煮』を貰ったのだけど、要る?」
「にゃっ!?……それは本当ですかにゃん?」
「ええ、猫人族の王族でさえも滅多に入手出来ない金瑠璃マタタビを、猫人族随一のグルメ評論家の猫仙人監修の下、高級砂糖を使って煮込んだ珠玉の逸品らしいわ」
「ゴクリにゃ…」
「フラウを部屋から出してくれたら、貰った分全部あげるわよ!」
「フラウ様、ちょっと良いですかにゃん?」
「………」
「実は、さっきのはお嬢様に無理矢理付き合わされたにゃん。初めてフラウ様にお逢いした時から、私のご主人様はフラウ様しかいないと思っていたのにゃん!勿論恋人でも良いにゃん!そしたら、私のこの耳と尻尾はフラウ様に捧げるにゃん!!!……お願いにゃ!出てきて返事を聞かせて欲しいにゃん!!」
迫真の演技だわ!最後の方は涙まで流していた!
「そ、そう言って、またお嬢様が札を持って待ち構えているんだろう!?絶対に騙されないぞ!!」
「ぐすっ……嘘じゃないにゃん…。信じて欲しいにゃん…」
ポロポロ涙を溢しながら、祈る様に言葉を絞り出すクーン。
何なのこの子!?
これは騙されても仕方がないわ…
「えっ?まさか本当に!?ごめん!今開けるから!」
フラウ君が慌てて部屋から出てくる。
クーンは出てきたフラウ君に抱き付いた!
「やったにゃ~!!金瑠璃マタタビの甘露煮ゲットだにゃー!!!」
「!?…ま、まさか!」
「大丈夫にゃん!フラウ様のおかげだから、ちゃんと恋人になるにゃん♪一緒にマタタビ食べようにゃん♪」
えっ?演技じゃなかったの?
「だ、ダメよ!フラウは渡さないわ!」
「お嬢様とフラウ様は主人と使用人の関係にゃん。恋愛まで口出ししたらダメにゃん」
「ダメったら、ダメなの!!」
「お嬢様……」
感情が制御出来ない。
いつもはもっと冷静で居られるのに、フラウ君が取られるかと思うと胸が張り裂けそうなの!
だって、フラウ君は…、フラウ君は……
私の逆ハーレムの一員なのよ!!!




