第45話 「……その様だな」
微睡みの中で目が覚めた。
「お嬢様、おはようございます。体が冷えますのでこちらを」
「ん。ありがと、フラウ」
フラウ君が私に膝掛けをかけてくれる。
椅子に座ったまま、眠ってしまったみたいね。
疲れが出てるのかしら…
「最近のお嬢様は、頑張り過ぎかとお見受けします。疲れが取れるお薬がありますが、如何でしょうか?」
「お薬?」
「はい!取って置きのやつです♪」
そう言ってフラウ君は自分の唇に指を当てる。
はぁ~、また夢オチなの?
思いっきり自分の頬をつねる。
痛い!物凄く痛いわ!!
えっ?嘘……現実?
もしかして、フラウ君が私に心を開いてくれた?
やっぱり、身近にいる私に徐々に惹かれていたの?
「フラウ、ダメよ!私達は主人と使用人の関係なのよ」
「お嬢様の瞳はそう思ってはいない様ですが…」
「…フラウのいじわる。全部は言わせないで頂戴」
「お嬢様……」
「フラウ……」
私の顎を持ち上げ、瞳を合わせるフラウ君。
そして、唇に感じる柔らかい感触…
◆◇◆◇◆◇◆
「ぐおおおお!!魔王である我が人間に力負けするだと!?」
「フラウ…。女は一回だけじゃ満足出来ないのよ♪」
「くっ!あの執事と勘違いしておるのか!?こうなったら!」
ドゴン!!!
魔王、渾身の頭突き。
「ふふっ♪夢じゃないのは分かっているから、耐えられるわ♪」
「そんな馬鹿な!?この女、化物か!!」
「急に恥ずかしくなっちゃったの?ほら、私に身を委ねて…」
「ぐっ!このままでは…。仕方がない!我が身諸共だ!!『メテオ』!!!」
ゴゴゴ…!
ゴゴゴゴゴゴ…!!
チュドーーーーーン!!!
~その日、貴族街の一画に隕石が落ちた。
だが、魔王の自身最大の結界魔法により、被害はある屋敷の一部屋だけで済んだ~
「ケホッ、ケホッ!一体何なの!フラウ君は!?」
「……何故お前は無傷なのだ?…が、ガハッ!」
「魔王!どうしたの?誰にやられたの!?」
「…お、お前だ」
「何?私の後ろ?誰も居ないわよ。もう逃げたのかしら?」
「……その様だな」
魔王は心底諦めた顔でそう言った…
…あれ?私の部屋が跡形も無いわ!!




