第30話 「いったい、何が…?」
「うっ!?私は…」
気が付くと、体が物凄い倦怠感に襲われていた。
「いったい、何が…?」
上半身を起こして周りを見渡すと、部屋が真っ赤に染まっていた!!
まるで殺人現場…。いや、殺人現場なんて見たこと無いんだけど…
「何なの、これ!?」
部屋の真ん中には、全身赤色のフラウ君がミロのヴィーナスの様に前を隠したま、立ったまま気絶していた!
最早、芸術を通り越して狂気である。
先ずはこの血?を何とかしないと…
タオルとバケツ?…日が暮れるわ!血は水だと取れにくいって言うし…
大量の水で薄める?…部屋が水浸しになるわ!2度手間よ!
う~ん、う~ん!
ピコン!
閃いたわ!!
驚異の吸引力!ダイ◯ンよ!!
わざと溢したコーヒーなんかも吸い込んでいたわ!
流石に掃除機は召喚出来ないでしょうから、似たようなモンスターを呼んでお願いしましょう!
イメージ、イメージ…
ブラックホールの如く、何でも吸い込む大きな口。
その体躯はまるで異次元への門を彷彿とさせる。
…でも実は人型になることも出来て、何故かイケメン!
驚異の吸引力で繰り出されるキスは、淑女の恋心を軒並み吸い込むわ!
あっ、最後の方に私の願望が入ってしまったわ!
まあいいわ、行くわよ!!
召喚!!
すると其処には、イケメンが!!
「やったわ!成功よ!!」
「我を喚んだのはお前か?」
「ええ、そうよ。ちょっとお願いがあるんだけど、この部屋の血みたいなのを吸い取って欲しいの!」
「何だと?我を喚び出しておいて、願いがそれだけだと!?」
「じゃあ、ついでに部屋のホコリとか汚れもお願いしようかしら?」
「違う!!今まで我を喚び出した人間どもは世界征服や宗教統一などの願いを言っておったぞ!」
「世界征服なんて、そんな面倒な事したくないわよ。それより、早く!皆にバレないように!!」
イケメンが手に持った杖を翳すと、血みたいなのがどんどん吸い込まれていく!
そして、元よりも綺麗になった部屋と真っ裸のフラウ君が残された…
「凄いわ!流石、ダイ◯ンね!」
「ダイ◯ンとは誰だ?我の名は魔王アバドンであるぞ!」
「……えっ?」
えっ!魔王って言ったら、人類の宿敵の魔物の王で、勇者様が命を賭して戦うラスボスじゃないの?
「えっと、その魔王様は何で此処に?」
「お前が喚んだのであろうが!!」
そう言えばそうだったわ…
「通常は何百人もの魔法使いの魔力を贄として顕現するのだが…、個人で喚び出されたのは初めてだぞ!」
「それは宜しゅうございました!ではまた!」
「お前はなかなかに面白い!魔界に居ても娯楽がなくつまらんからな。そうだ!今後は定期的に我を喚び出せ。十の日ごとで構わん!」
「私も存外に忙しく…」
「まあ、喚び出されなくても、此処の位置は把握したから転移で来れるがな!」
逃げ道が無い!?
「まあ、お前が不在でも部屋で寛がせて貰う故、気にせずとも良いぞ!」
魔王はハッハッハ♪と機嫌良く笑いながら帰って行った…
どうしよう!?
『私の部屋が魔王の休憩室になった件』が始まってしまうわ!!




