第27話 「君は何者なの?」
「あら、キャサリン。諸事情で一回戻ってきたわ。すぐにまた出発するけれど」
「お戻りになられたなら声を掛けて頂ければ宜しかったのに…」
本当に声を掛けて良かった?
私だったら立ち直れないわよ…
今度はちゃんと準備させた荷袋を持って出発する。
丁度、廊下でとぼとぼと歩くフラウ君と遭遇する。
食事かトイレにでも出てきたのかしら。
「あ、あく…お嬢様…」
「フラウ…、やっぱり私の執事は貴方しか考えられないわ。早く戻ってきて頂戴」
「お、お嬢様…」
フラウ君が瞳をうるうるさせて感動している。
「私が帰ってきた時には、いつも通りにしてくれると嬉しいわ!それじゃあ、行ってくるにゃん!」
「お嬢様!?」
ごめんなさいね。しんみりした空気は好きじゃないのよ!
門前まで馬車で移動する。
馬車を降りるとカミュ君が大口を開けて驚いていた!
まあ馬車は豪華だし、普通の生徒だと思っていたのなら驚いても無理はない。
「き、君は何者なの?」
「あら?名乗っていませんでしたか?クインハルト公爵の娘アーシャと申しますわ」
「公爵!?何で公爵家の令嬢がゴブリンと肉弾戦を!?」
「万人に等しく接するべし!と言うのが我が家の家訓なのです!因みにゴブリンは話せば分かってくれましたわ!」
「それで押し通すんだね…。まあ、いいや。でも、今更敬語で話すのは違和感あるんだけど?」
「敬語でなくても宜しいですわ。私も砕けた話し方に変えるわ」
「ありがとう!Aランクパーティーでもそんなに貴族の方と接する訳ではないからね」
「それでは行きましょうか?日が暮れる前には追い付きたいわ!」
「そうだね。この馬車で行くの?」
「そうよ!この走騎竜ニブルヘイズにかかれば、隣の国でも今日中に着けるわ!」
「見た瞬間分かったけど、ニブルヘイズは走行用じゃないよ…。と言うか好戦的で人に懐かない筈なんだけど!」
「話し合ったら懐いてくれたわ!それに速ければ何でも良いのよ!」
「あ~うん。もう何でも良いや…」
2人で馬車に乗り込む。
「カミュ君、ベルトしておいてね」
「?」
「それじゃあ、ニブルヘイズ!全速力でお願い!!」
「クオ~ン!!」
ドン!!!
初速が時速200kmを超えた!!
…結局、5分くらいで追い付いた。
「ガクガクブルブル!」
「カミュ君、どうしたの?」
「ど、どうしたの?じゃないよ!速すぎだよ!!」
「もう!Aランク冒険者なのに情けないわよ!」
「Aランクは関係ない!!殆ど車輪が地面に着いて無かったんだよ!?」
もう!カミュ君って我が儘ね!
「先生!ただいま戻りましたわ!」
馬車の扉を勢い良く開け放ち外に出ると、ルイ先生が杖を片手に臨戦態勢に入っていた!
「アーシャ、お前もう参加しなくて良いぞ…」
先生はニブルヘイズを撫でる私を見て、ため息混じりにそう言った…




