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第2話 …私は悪くないわよ!?

「フラウ!フラウは居ないの!?」

「な、何でしょうか!?お嬢様…」


ドアの隙間から此方を覗き込むフラウ君。

実質的な距離もそうだが、私と彼との間にはグランドキャニオンも真っ青な大きな溝が出来ていた。


「もう私は平気だから側に来て頂戴!」

「でも!もしかしたらまだ…」


先日の一件は、私に悪魔が取り憑いて起こしたと言うことで一応の解決を見た。

…誰が悪魔よ!!


態々、エクソシストのおじさんに来て貰ってお祓いまでしてもらった。

仮病の時にお医者さんに来て貰うくらい居心地が悪かった、と言えば私の気持ちは通じるだろうか…


「本当に平気よ!それより、今日の予定を教えて!」

実質的な距離があるので、声も自然と大きくなる。

教室の端と端くらいかな?


「今日は、午前中は学園で授業を受けて頂き!午後は王城にてエリオ殿下のお茶会に参加の予定です!」

フラウ君も負けずに大声で返してくる。

執事としては職務怠慢だとは思うが、彼にトラウマを与えてしまったのは自分なので、逸早く回復するのを願うばかりだ。


「分かったわ!着替えるから手伝いなさい!」

「………」

「…冗談よ!侍女を寄越して頂戴!」

フラウ君が怪しむ目を向けて来ていたので、慌てて言い直す。

何が正解か解らないので、私自身手探り状態なのだ。



侍女に着替えさせてもらいながら、鏡に映った自分を見る。

金髪碧眼で縦ドリルツイン、目つきは鋭いが顔のパーツが整っており『この人は美人ですか?』アンケートがあれば全員が美人と答えるだろう。

私自身もあの事件の後改めて確認した際、一時見惚れてしまったぐらいだ。

しかも、「オーホッホッホ!」と言う高笑いが似合いそうな典型的なお嬢様顔である。


因みにアーシャは公爵令嬢なので、貴族間の立ち位置も上で正に完璧超人なのだが、如何せん先日中身が一般庶民にすり変わってしまったため、今は欠陥凡人である。

お先真っ暗とはこの事か…



ふと、着替えさせてくれている侍女を見ると手が震えていた。


「あら?貴女、体調が悪いのかしら?」

「い、いえ。大丈夫です」

私が話掛けると更に震えが酷くなった。


「全然平気そうに見えないわ!一先ず其処のベッドに横になりなさい!」

「ほ、本当に…大丈夫…です、から」

侍女の顔は真っ青で本当に具合が悪そうだ。


「体調が悪い時は無理しない方が良いわ!ほら、早く!」

私が侍女の手をとってベッドに連れて行こうとすると、侍女が床に崩れ落ちた。


侍女は倒れて息苦しそうに呻いている。

これは危険な状態かも知れない。

こういう時は…どうしたら良いんだろう?

取り敢えず、息が楽に出来るように胸のボタンを外して…

そ、そうだわ!フラウ君に聞きましょう!

幸い自分の着替えは殆ど終わっていたので大声でフラウ君を呼ぶ。


「フラウ!!フラウはいる!?」

「お呼びでしょうか?お嬢さ…ま…」

部屋に入ってきたフラウ君は倒れている侍女と私を見て固まった。


「や、やっぱり祓えていなかったんだ!!」

フラウ君は叫びながらゆっくりと後ずさった。

ん?まさか出ていく気?


「待ちなさい!この子がどうなっても良いの!?」

「くっ…!キャサリン!お前の犠牲は無駄にしないからな!」

フラウ君はおぼつかない足取りで転びそうになりながら部屋から飛び出して行った。



その後、剣を片手に殺気を放って部屋にやってきた中年男性(おとうさま)を無力化し、侍女のキャサリンが事前に私の悪魔憑きの話を聞いていて、そのストレスから気絶してしまっただけだと判明したのはまた別のお話。




……私は悪くないわよ!?






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