第14話 「知らない人についていったり、物を貰ったりしてはダメよ!」
「う~、緊張してきたよ~」
「貴族的なやりとりは私が全部引き受けるから、エレンちゃんは思う存分楽しめば良いわ」
「アーシャに悪いよ…」
「無理に誘ったのは私だし、私は慣れてるから平気よ。それより、もしかしたら今後も参加しないといけなくなるから、予行練習くらいの気持ちで行きましょう♪」
「…うん、ありがとう!アーシャ♪」
眩い笑顔に意識を持って行かれそうになる。
このまま2人でボイコットすれば良いと、悪魔に誘惑されている様だ。
「それじゃあ、馬車から降りる前に再度確認よ。知らない人についていったり、物を貰ったりしてはダメよ!」
「うん!」
「もし、私とはぐれたら殿下の側に行きなさい。殿下が守ってくれるわ」
「うん!」
「最悪の場合は、私を信じて待っていて頂戴ね♪」
「うん、わかった!」
「それじゃあ、楽しんでいきましょう!」
「おー!!」
会場に入ると、先ずは煌びやかな衣装を着た男女が目に入る。
広間の真ん中はダンス用に仕切りで区切られており、その周りに立食式の色とりどりの食べ物が並べられていた。
ステージの様な一段高くなった場所も用意されていて、殿下などのお偉いさん達が彼処で挨拶をするのだろう。その脇には楽器を持っている集団がいて既に演奏を始めていた。
「ほわ~!」
「エレン、口を閉じて!微笑みよ、微笑み!」
「わわ、ごめん!ニコッ」
エレンちゃん、口で言ってもダメよ…
案の定、エレンちゃんの姿に皆が見惚れている。
今の内に場所を確保よ!
エレンちゃんの手を引いて、人ゴミを掻き分けて進む。
私達はステージがすぐ横に見える位置に辿り着いた。
≪ミッション1≫クリアね!
「エレン!今の内にめぼしい料理をチェックよ!」
「分かりましたわ!」
幸い料理は均等に並べられているみたいで、遠くまで行く必要は無いみたいだ。
エレンちゃんは料理を楽しみにしてたから、人が集まる前に食事を終わらせる!
私は近くにいる宮廷侍女に声を掛けた。
「そこのあなた、料理を取ってくださ…る?」
呼んでも返事が無いので侍女を覗き込むと、エレンちゃんに見惚れていた…
くっ!作戦変更よ。
私は、皿を片手に料理を取りまくった!
「はぁ、はぁ!はいどうぞ、エレン」
「あ、ありがとう。アーシャ様」
エレンちゃんは私が料理を取ってきた事に驚いていたが、すぐに料理が乗った皿に釘付けになる。
「美味しそう……で、ですわ!」
そう言って何かのお肉を煮込んだ料理を一口食べる。
「ふふっ♪本当に美味しいものを食べると笑いが溢れるのですね♪」
エレンちゃんの笑みを見た周囲の人間が、全員意識を飛ばしたので、ゆっくり食事が出来た…
≪ミッション2≫クリア……
丁度その時、ステージに執事服を着た男性が現れる。
「只今より、エリオ殿下がご入場されます!ご静粛にお願い致します!」
…勿体ぶらないで早く来なさいよ!!




