第102話 執せか④
「何?送れば良いの?嫌がってた割にはやる気満々じゃない!」
お嬢様に元の場所に送り返して貰った。
もう手を繋がなくても良いし、一緒に行かなくても良いみたいだ。
どういう原理なのだろうか?
先程からそれほど時間は経っていなかったので、フーレは木の下でキョロキョロしていた。
私を探してくれている様だ。
「フーレ、すまない。貴女を一人にしてしまった」
「フラウ様!その怪我は!?どうされたのですか!?」
私はフーレに事情を話す事にした。
「フラウ様はこの世界の住人では無いのですね…」
「だが、フーレが良ければ、私はずっとフーレと共に生きていきたい」
「フラウ様!それって…」
「ああ、フーレ好きだ!貴女を愛している!!」
「う、嬉しい♪あれ?何で涙が…」
「フーレ、こっちを向いて?」
「あっ…フラウ様……」
夜の帳が落ち始め、星達が輝きを増していく。
星達の祝福を受ける様に、私とフーレは口づけをした。
≪とあるお嬢様視点≫
「何?執事を辞めてあっちの世界で生きて行きたい?」
「はい!」
「グギャ!ギャギャギャグギャ!!(はい!私からもお願い申し上げます!!)」
フラウ君から喚び戻して欲しいとの念力が届いたので喚んでみると、フラウ君が知らないゴブリンと一緒に現れた。
しかも、仲良く手を恋人繋ぎにしている。
フラウ君は何処に向かっているのか…
「…まあ、良いわよ。その代わり、フラウの後継人を探して頂戴!流石に執事長がそのまま抜けるのは問題があるわ。ニルはまだ幼いしね」
「分かりました。フーレ、戻るのが遅れるけど大丈夫かな?」
「クギャ!クギャギャギャグギャ♪(はい!私の身は常にフラウ様と共に♪)」
「それじゃ、暫くはこっちの世界を案内するよ。では、お嬢様。ありがとうございました。失礼致します」
「グギャグギャギャ!(ありがとうございました!)」
「……………?」
何でフラウ君はゴブリンの言葉が分かるの?
はあ、本当に何で私の周りばかりカップルになっていくのかしら?
そうだわ!付き合ってから芽生える恋もあるって言うし。私から告白すれば断る男性なんて居ないわよね♪
そうと決まれば善は急げだわ!
魔王召喚!!
「…お前に召喚されるのは久しぶりだな」
「あのね、私の彼氏になってくれない?」
「!!!流石に召喚されてすぐに危機察知は発動しなかったか…」
魔王は1人でぶつぶつ呟いている。
「ねえ、良いでしょ?」
「いや、我には心に決めた女性が…」
「エレンちゃんでしょ。無理よ!貴方とエレンちゃんじゃ釣り合わないわ!」
「我は一応魔王なのだが…」
「それより、もっと近くにいる手頃な女で済ませときなさい!例えば私とか!!」
「お前は手頃では無いな…。我の手には余る!全力で断らせてもらおう!!」
「酷いわ!そこまで言わなくても良いじゃない…。ぐすっ…」
「泣き真似はやめろ…。お前はそんなにか弱い女では無かろう?」
カッチーン!
「何よ!人が下手に出てれば言いたい放題言ってくれちゃって!!まあ、既成事実さえあれば後は周りが勘違いしてくれるわよね♪」
「な、何を考えている…。ぐっ!身動きが取れん!!」
「それじゃあ、両手を合わせて、いただきま~す♪」
「う、うわあああああ!!!」
「魔王様!此方に!!」
シュン!
飛び掛かろうとした所で、魔王の部下が現れ転移していった。
ふふ♪魔王……私から逃げられると思わないでね♪




