レジ係と老人
―とあるドラッグストアにて―
レジ係:
「いらっしゃいませー」
老人:
「ちょっとよろしいかな?」
レジ係:
「はい、何でしょうか?」
老人:
「ちょっと聞きにくいことなんじゃが……」
レジ係:
「いえいえ、どうぞお気になさらず仰ってください」
老人:
「ゴムはどこにあるのかのぅ」
レジ係:
「ゴム……ですか?(まさか……いやいや、そんなわけないか)」
老人:
「コンドームのことじゃ」
レジ係:
「ふぇっ!?あ、はい。それでしたらあちらです(えー、凄い元気なお爺ちゃんだな)」
老人:
「おー、これじゃこれじゃ。ありがとな、お嬢ちゃん」
レジ係:
「はい、それでは1380円になりますね」
老人:
「うむ、じゃあこれで頼むぞい」
レジ係:
「はい、1万円からですね。では、お先に8000円と……残り680円のお返しです」
老人:
「はいはい、ありがとな……それにしても嬢ちゃんは別嬪さんじゃのぅ」
レジ係:
「え、そうですか?ありがとうございます」
老人:
「いやぁ。儂がもう少し若かったらのぅ……」
レジ係:
「あら、お上手ですね」
老人:
「ほっほっ、事実を述べただけじゃよ。じゃあ、儂の孫なんかどうじゃろう?儂に似てカッコいいぞ」
レジ係:
「んーそうですね。実際にお会いしてみないことには……」
老人:
「そうか、それじゃあまた連れてくるとするかな。それじゃあの」スタッ……スタッ……
レジ係:
「ありがとうございましたー」
―次の日―
レジ係:
「いらっしゃいませー」
若者:
「いやー、昨日買ったゴム。あれ凄かったよ、店員さん」
レジ係:
「え、どういうことですか?(誰だろう、この人)」
若者:
「私ですよ、私。昨日コンドームを買った爺さんですよ」
レジ係:
「え、いや、そんなわけ……」
若者:
「はっは、驚かれるのも無理はありませんね。でも、昨日貴女から買ったコンドームを装着したところみるみると若返ってしまいました」
レジ係:
「は、はぁ……(いや、冗談でしょ。流石に)」
若者:
「今もしかして、”冗談でしょ”って思いませんでしたか?」
レジ係:
「え!?いや、まあちょっと思ってしまったかも……」
若者:
「まあ、そうですよね。流石に信じろと言う方が無理がありますよね……」
レジ係:
「うーん、そうですねぇ。ちょっと無理があるかなぁというところでして……あのコンドームは市販のやつですから、そんな効能があったら日本中が大騒ぎです」
若者:
「うーん、どうやったら信じて貰えるんだろうな……そうだ!そしたら一旦僕の家に来てもらって、そのコンドームを装着するところを見てもらえませんか?」
レジ係:
「え、全然意味が分からないんですけど」
若者:
「いや、店員さん僕が実際にコンドームを付けて若返るところを見ればわかってくれると思うんです。もしかしたら、次装着したら僕は子供になってしまうかもしれませんが……でも、店員さんに分かっていただけるなら、それでも構いません!」
レジ係:
「いや、色々とオカシイと思うんですけど……それなら、もうここでつけてくださいよ」
若者:
「いや、ここで付けたら変態じゃないですか。何ですか?そういうプレイが好きなんですか?」
レジ係:
「私的には、既にもうお客様は変態だと思っているんですが……」
若者:
「な、なんだと!と、とりあえずお前は俺ん家に来ればいいんだよ!さあ来い!」
レジ係:
「(ブチッ)ワカリマシタ、オキャクサマ。それでは口を開けていただいてもよろしいですか?」
若者:
「おう、いいぞ!」口をカパァ
レジ係:
「……」シュッ←何かを投げる音
若者:
「ぐおっ……何かが口の中に……ぼりぼり、何だこれは!?」
レジ係:
「ドリエルです」
若者:
「ドリエル!?」
【ドリエル】
・「良い目覚めは。良い眠りから」睡眠薬ではなく、睡眠改善薬。不眠の症状に良く効きます。
レジ係:
「貴方は恐らく寝不足でしょう。目のクマが凄いですから……ちゃんと眠れば、きっと落ち着きますよ」
若者:
「ん、確かに最近は性欲が強すぎて眠れない日が続いて……zzz……zzz……」
レジ係:
「おやすみなさい。でもレジ前で寝られては困りますね……」
老人:
「ほっほっ、孫を倒すとは中々やるのぅ」
レジ係:
「あ、昨日のお爺さん!やっぱり貴方と彼は別人でしたか!」
老人:
「そんなの当たり前じゃろうて……昨日言った通り孫を紹介しようと思ってな」
レジ係:
「くっ、なんて迷惑なことを……」
老人:
「でも、あのコンドームはちゃんと儂と婆さんで使う奴じゃから」
レジ係:
「は、はぁ(そんなの聞いてないんだけど)」
老人:
「ほれ、孫よ。作戦は失敗じゃ。今日のところは帰るぞ」
若者:
「むにゃむにゃ、そんなに舐められちゃ困っちゃうよ・……」
老人:
「何を馬鹿な事を言っとるんじゃ。よっこいせっと」若者を担ぎ上げる
レジ係:
「(お爺ちゃん凄いな)あの、最後に一つ聞いてもいいですか?」
老人:
「ん、何じゃ?儂に惚れたか?」
レジ係:
「いえ、全く……いや、どうしてこんなやり方をするんですか?もっと普通に連れてきてくださったらいいのに」
老人:
「それはのぅ……」
レジ係:
「はい」
老人:
「孫が30にもなって、ニートだからじゃ!」
レジ係:
「いや、ニートでも別に構いませんよ。ちゃんと紹介してくださった方が、私としてもまだチャンスがあったと思うんですが。お孫さん結構イケメンでしたし」
老人:
「と、いうことは!孫にもまだチャンスが……!?」
レジ係:
「いえ、もう完全にアウトです、ありがとうございました」
こうして、老人と孫は帰っていった。
レジ係と老人 -終-




