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パニカル!  作者: タナカ
95/98

逃亡中




 ――― 西村桃子 SIDE ―――


「………まずいですねぇ」


 私は玉座に座り水晶で戦局を見ながら、嫌な予感を止められずにいた。


「さすがに半分以上の組に手を組まれると………勝ち目は薄いですねぇ」


 唯一勝機を見出せるとすれば、早めにC組と同盟を組んでこちらの防備を固めることだけど………


「C組領地があの様子では、無理でしょうね」


 C組が割り当てられた領地は、外れのウチの1つだ。自軍領地がモンスターだらけで、どこかに攻め込もうにも攻め込めない。

 それに………


「C組以外がみ〜んな同盟組んだって!」「何それせこ!!」「てかありだったのか同盟!!」「…………(*A*)/オーワタオワタ、ケラケラケラ」「そこ!! 隅っこに座って変な歌を歌わない!!」


 大広間から生徒たちの声が漏れ聞こえる。

 5つあるクラスの内、3つが同盟を組んだ。 この事実に、城内の生徒たちはパニックになっていた。

 すぐにでも大広間に行って生徒たちに何か言いたいけど、生徒へのアドバイスは、この戦いでは原則禁止されている。


「………生徒たちに干渉できないのですから、しょうがないですねぇ」


 唯一できる干渉が、この水晶。これを使い、生徒たちがもし『命の危険にさらされていた

ら』、城に強制的に戻すことができる、というだけの能力だけだった。 

 黒部くんたちに使ったのがこれだが、今唯一城外に出ている魔―くんたちを呼び戻すには、凶悪なモンスターに襲われているというわけでもないので、使えなかった。


「………………詰み、かもしれませんね」


 苦虫を噛み潰していることしか、私にはできなかった。







***







「マズイね………」

「すっごくマズイね………」

「どーしようもなくマズイね」

「そこの文芸部3人娘、マズイマズイ言う前に何か対策考えろ」


 俺たちは森からA組陣地の荒野に入る直前の場所で、茂みに身を隠してそんなことを言い合っていた。 


「「「逃げればいいと思いまーす!!」」」 

「……いや、それはちょっと逃げ腰すぎるような」


 かしましガールズどもの意見に、委員長がため息をついた。


「……けど、正直それしかなくない?」


 今井が前方を見ながら冷や汗を流した。

 その見据える先には、今はまだ豆粒のようになっていて見えにくいが。

 生徒たちの黒い影が、相当数見えていた。


「いくらなんでも戦力に差がありすぎでしょ?」

「いや、実力差を知力で埋めてこそ高校生だろ!!」

「………隊長、意味不明っスよその言葉」


 洋太や龍二がわいわい意見を出すも、まとまらない。


「……………どうする?」


 顎に手を当てて、八巻が俺に聞いてきた。


「どーもこーもねーだろ」


 俺は遠くに見える生徒たちの影を見据え、その後くるっと後ろを向いた。


「逃げるべし」

「………やっぱそれしかないのね」


 八巻は哀愁漂う声を出した。







***







 ――― とあるD組生徒たちの会話(記録者、D組書記の生徒) ―――


【男子生徒A】「フォルセティア様! 前方2km先に敵軍と見られる生徒およそ10名を発見いたしました!」

【エル】「………城に逃げ込まれたら面倒です! 追撃班! あらゆる手を使って足止めをなさい! 城に逃げ込まれなければ、生死など問いませんわ!」

【男子生徒A】「御意!」


 ザッ!!(忍者っぽく数名の生徒たちが消える音)


【女子生徒A】「………………生死を問わないって、いいのかなー?」

【女子生徒B】「いいんじゃない? 相手はあのB組だし」

【女子生徒A】「………ま、そっか」

【エル】「そこ! 無駄口たたかない! きびきび走りますわよ!」

【女子生徒A&B】「「は〜い」」







***







 森の中を走る10名の団体と、それを追う5名程度の影。


「委員長! 敵との距離は?」

「およそ500! どんどん詰められてる!」

「………ねぇマッキー。私たち無事に城に戻れるかしら?」

「………無理じゃない?」

「ええい! きりきり走れお前ら!!」

「「「無理〜!!!」」」


 主にかしまし娘たちの鈍足に足を引っ張られながら、俺たちはひたすら森を逆走していた。


「ちっ、しょうがない。かしまし娘は置いて行こう!」

「「「ええ―――!! 鬼―――!!」」」

「だったらきびきび走れ!!」


 時折はっぱをかけながらも、昨日の倍以上のスピードで疾走する。

 ………が。

 いかんせん、なぜか追っ手のスピードが速すぎる。

 これでは逃げ切れない。


(………こりゃもうダメか?)


 てなわけで半分以上、あきらめモードになってきてる俺だった。



……更新遅れてすみません。

今、ちょうど『霊の心』の最終話を書いてるのですが、それがまぁいろいろ長くなってしまい、大変でして。

パニカルはもう少し続きますよー!

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