ねっしー
――― 中居りりかSIDE ―――
「あーっはっはっは!!」
月明かりに照らされ、湖で私たちかしまし3人娘(裸)は大爆笑しながら遊んでいた。
いつも騒いでる私たちだけど、私たちの中ではちょっとした役回りのようなものが、何となくだけど、自然とできあがっている。
私は基本騒がし役、茶髪のポニーテールがかわいらしいめーちゃん(土田芽衣ちゃんね)はいじられ役、そして少し釣り目でショートカットの理緒はつっこみ兼ストッパー役、という感じだろうか。
てなわけで。
「あ、ちょ………はぅ……」
むにむに
私はめーちゃんの後ろに回り、これみよがしに胸を触っていじりたおしていた。
「む……少し成長の気配が見られるな!」
「おー、それはほんとかりりちゃん」
「ちょ、くすぐった………りりちゃ〜ん!」
「よいではなーか、よいではなーか」
いやーさすが私たちの中で1番胸大きいだけあるわー!
やーらかー!
「ははっ。けどそろそろ……」
苦笑しながら理緒が止めにくる……その時だった。
………ぴちゃ
「………ん?」
微かに、私たち意外が発した水音が聞こえた。
何か嫌な予感がして、私はめーちゃんをいじるのを一旦やめて、湖面をじっと見る。
「どったの?」
さっきの余韻で少し顔を赤くしながらも、めーちゃんが不思議そうに首を傾げる。
「……う〜ん、いやーなんていうか。特になんともないような、もしくは虫の知らせがちょろちょろ聞こえてくるというか……」
「何それ」
ぷっと、理緒が笑った。そして私たちは笑い合う。
「ははっ、そうだね」
……ま、たぶんなんでもないっしょ! 気のせい気のせい。
………ごぽん
「ん………?」
やっぱ、何か音がする。
「これはアレだな……」
「あれ?」
そう……年がら年中いつでもやってくる、私たちにとっては害虫以上に危険な存在。
「そこにいるな痴漢めええええ!!!」
ばしゃーん!!
私は適当にそこら辺りを蹴り上げた。
「きゃっ!」
めーちゃんが驚いて声をあげる。
すまんめーちゃん。これも痴漢退治のためなんだ!
***
「離せー! 俺は行くんだ―――!!」
「はいはい。落ち着けお前は」
森の中。
俺、洋太、龍二、沼田、八巻、今井、委員長の7人は、焚き火の周りで寝袋を出したり荷物を整理したりしていた。
……のだが。
「女子の入浴シーンを覗かないとは! お前らそれでも男か!!」
「…………覗いたら死って言われなかったっスか?」
龍二は、じたばたしながらわめいている洋太を取り押さえながら言った。
「そんなことは忘れた! てか忘れろ!」
開き直ってそうわめく洋太。
………ダメだな、ありゃ。
「………ん?」
瞬間、ぴくん、と第6感が反応した。
ざっと周囲を見渡すが、薄暗い上に木々が視界を遮っていて、よくわからない。
俺はそっと警戒心を強めた。
こういう第6感は、意外と馬鹿にできない。
火のないところに煙はたたない。物音や視界、そういった5感の情報以外の何か。
「………!」
バッ!!
俺は唐突に茂みの中に向かって走る。
ガサッ!!
俺が接近したことにより、よくわからない危険な何かの気配がすっと後方に下がる。
「どうしたの? 魔ー」
「……ちょっとな」
俺はそう生返事をしながら、内心驚いていた。
俺が距離をつめると同時に、対象はあまりにも早く気配を消し、この場から消えた。
あれは多分………モンスターじゃない。
生徒か………にしては相当に腕がたつように思えた。
「………………」
何にせよ、面倒なことになりそうだ。
***
――― 中居りりかSIDE ―――
唐突だけど、ネッシーってご存知?
あの存在するんだかしないんだかよくわからない、首が長くて湖に住んでるらしい恐竜ね。
「ピギャアアアアアア!!!」
「「「みぎゃああああああ!!!」」」
私たち3人は、突然現れたその怪物に、悲鳴をあげていた。
いいいいやだってまさかね!! まさかね!?
痴漢がいると思って湖蹴り上げたら、実はそれは恐竜でした?
笑えないいいいい!!!
「ななななーんでこんなとこにネッシーがああああ!!!」
「いーや! これはネッシーじゃなくてヒッシーだよめーちゃああああん!」
「ななななにヒッシーって!?」
「日本版伝説の古代魚!!」
「これ魚じゃないじゃあああん!!」
「うああああ私うっかりいいい―――!!」
「漫才してる場合かあああああ!!!」
かなり混乱する私たち。
だだだだってね!?
こんな私たちの5倍はありそうな恐竜相手にどうしろと!?
バシッ!!
「きゃっ!!」
「めーちゃん!?」
そうこうしている内に、ネッシーの尻尾がめーちゃんを襲った。
「くっ!!」
理緒は即座に着替えのある場所、宝剣が置いてあるところに戻り、武器を取る。
「はああああ!!!」
ネッシーに向かって剣をふりあげるが……
ガッ!!
「は………?」
私はめーちゃんを介抱しながら、絶句した。
だって剣を突き立てたのに。
あの恐竜は傷1つつかなかったのだ。
「ガアアアア!!」
「きゃっ!!」
バシッ! と、今度は理緒まで飛ばされる。
「な、何あれ?」
いくらなんでも強すぎじゃない?!
「ガア!!!」
大口を開けてすごい勢いでこちらに迫ってくる。
むむむむ無理だああああああ!!!
「………へぇ」
「え………?」
ぎゅっと眼をつむった時に。
少年のような、綺麗な声が聞こえた。
眼を開けると、私たちの真横に誰かが佇んでいた。
「湖の主、か。中々珍しい者を揺り起こしたものだね」
「………」
天空を舞うその声の主を見て、絶句した。
だって、信じられないほど綺麗だったから。
すっごい顔だちの整った、金髪の美少年。
「これは、手に入れなきゃね」
そうぽつりと呟くと、何も持たず拳だけで巨大な恐竜に襲いかかり………
「ピギャアアアア!!」
「「「………………」」」
私たちが口をパクパクさせている間に。
「………………」
全ては終わっていた。
ひっしー。
適当にネットで調べたら出てきた、日比谷公園に住んでいる(らしい)、大きな魚です。




