スーパー委員長!
「「「「………………あ」」」」
樹海のような森の中で。
俺たちは上から降ってきたのが何か、いや誰かを知り、絶句していた。
落ちてきたのは、茶髪に近いロングの髪の女生徒。
それも俺の記憶が確かなら、たしか2−Bの……
「中居さん!」
坊主委員長が真っ先に叫び声をあげた。
……ああ、中居っていうのか、こいつ。
俺はぼけっとそんなことを考えていると、「う…ううん……」と少しうめき声をあげて、中居が目を覚ました。
「あ、あれ……? ここは……」
「………俺の上」
洋太が中居の下敷きになりながら、うめき声をあげた。
「え……きゃっ!」
洋太の頭上に尻を乗っけていることに驚いたのか、中居はらしくない悲鳴をあげて洋太から離れた。
「どどど、どうして? ていうかここどこ!? なんであんたら『余り者ブラザーズ』がここにぃっ!?」
「……とりあえず、落ち着け」
それになんだ余り者ブラザーズって。かっこ悪い。
どうどうと俺は中居の肩に手をあてて宥めながら、どうにかこうにか今まで中居の身にあったこと(普通に森の中を歩いてたらいきなりトラップ地獄とか熊とかが〜!!)を聞き出した。
「………なるほど」
俺はあごに手をあてながら、光でよく見えないが上の天井の方を見上げた。
「なら今ごろ、八巻がピンチだな」
「あっ、そうだよ! どどどどうしよう!!」
マッキー今ごろ1人で熊の相手してるよう!! と叫びながらおろおろする中居。
………1人でもうるさいな、コイツは。
「ふむ………」
俺はぱぱっと周囲にいる人員を見渡す。
光りの中に中居を中心にして円を組むように、俺、洋太、沼田、委員長、龍二がいる。
この場で1番使えそうなのは………
「……委員長か」
「なにが?」
突然呼ばれて委員長は首を傾げていたが、俺はそれに構わず次の言葉を述べた。
「さて、委員長、八巻救出作戦、いってみよー」
「はい?」
俺は軽い口調で、そんなことを言った。
***
「委員長」
俺は一転、重々しい調子で委員長の肩をガシッと掴むと、真剣な口調で語り掛けた。
「汝に秘術を授けよう」
「秘術!?」
その言葉の魔力に驚き半分期待半分の委員長。
………そう、太古より昔に封じられた禁断の術。
「人、それをムキムキマッチョマンの術と呼ぶ」
「嫌だよそんな術!!」
……うむ。だろうな。
「………まぁそれは冗談として」
「冗談だったの!?」
当たり前だろ。そんな術が存在してたまるか。
「委員長は八巻と同じぐらい素質がある。魔法のセンスとか言うのは微妙みたいだが、総量だけで言えば恐らくクラス一、ニを争うほどだ」
「へっ!?」
俺が素直に誉めると、委員長は口を半開きにさせた。
「おー、魔ーが珍しく他人を誉めてる」
「ほんと、珍しいっスね。いつもは人をけなしてばっかなのに……」
「うるさいぞ外野」
俺は洋太と龍ニを黙らせると、再び委員長に視線を向ける。
「その大量の魔力を眠らせておくのは、あまりにも惜しいだろう?」
「けど……どうやって?」
「どうも何も、お前次第だ……と言いたいのだが。まぁ単純な方法を1つ教えてやる」
俺は背中からルミナスの剣を引き抜くと、ぽいっと委員長に放った。
「へ……?」
「二刀流」
こともなげに俺は告げた。
「宝剣は、特にそのルミナスの剣は単純に使用者の力を増加させる。だったら、1つより2つ持ってた方が、引き出される力も強くなるのは当然だろ?」
「い、いやけど……」
そんな単純な…………
そう言いたげな委員長だったが。
「ま、普通のヤツらならすぐに魔力をスッカラカンにさせるか、使いきれずに『うごあああ!』って叫ぶかどっちかになるだろうな。
だがまぁ、委員長なら大丈夫だろ」
「………根拠は?」
「カン」
「「「信憑性ねー(っス)」」」
だからうるさいぞ外野。
今度は中居まで叫びやがって。
「ん………」
だが委員長はしばらくこちらを見た後、1つ頷いた。
「……わかった、やってみるよ」
「「「自殺行為!?」」」
だからうるさいぞ、外野。
そうこうしている内に、委員長は左手にもう1つ、自分のルミナスの剣を取り出した。
瞬間。
「ぐ………」
カアアアアアア!!!
急に委員長の身体が光り出した。
「委員長豆電球!?」
変な例えを使うな洋太。
「ちょ、なにこれ……」
「戸惑うな委員長」
急激な魔力の消費で一時的に発光してるだけだ。………たぶん。
「その状態はたぶん一時的だ。早くしないと魔力が空になるぞ?」
二刀流は魔力の消費が極端に激しい。
だから早くしないと、いくら委員長でも魔力切れ起こしてあっという間にばたんきゅーだ。
「わ、わかった!」
そういうと委員長は頭上をキッ、と見上げて……
「はっ!」
ドンッ!!
一足飛びで、数十メートルはありそうな天井まで、飛び立った。
「おー………」
瞬時に委員長は星になった。
「「「「「……………」」」」」
残された俺たちは、しばし呆然と天井を見上げたが……
委員長が落ちてくる気配はなかった。
……どうやら無事、地上にたどり着けたらしい。
「さて」
俺はそう言うと全員に向き直った。
「探索の続き、行くか」
「あ、はいっス」
龍二が俺の後に続く。
「あの〜……私も、だよねぇ?」
中居が苦笑しながら尋ねてきた。
「しょうがないだろ?」
お前じゃ委員長みたいに、さすがにあそこまでジャンプできるわけがないし。
さすがにここに1人でほっとくわけにもいかないしな。
「………りょーかい」
……てなわけで、俺たちの班は委員長が抜け、荒田に中居りりかが入ることになった。
「うおっしゃ――――!! 待望の女子班員げっとおおおおお!!!」
洋太が狂喜乱舞しているが………
「ちょっとでも触ったら、コロスよ?」
中居はちらりと八重歯を見せ笑いながら親指を立てると、洋太にむかってクッと喉を掻っ切る様を見せた。
………ちなみに、目は笑っていなかった。
「ぐほぁ!!」
何かツボにはまったのか、洋太は何もされていないくせに血反吐を吐いて倒れそうになっていたが………
なぜかとても満足そうだった。
洋太、大はしゃぎ(笑)




