大竜巻
ビュオオオオオ!
八巻の『ウィンド』によって、廊下の幅一杯に屋上まで続く竜巻ができあがった。
それによって八巻(ついでに委員長)とエルたちの間に巨大な風の壁ができあがった。
「おー、いい練りだ」
俺は校舎の外からそれを見て嘆息した。
「ふ………」
エルは目を細めてぞっとするような笑みを浮かべると。
「ヴェナール、ウィンディ!」
その竜巻に向かってスキュアの杖をかかげ、ウィンドを詠唱した。
瞬間。
ゴオオオオオオオオ!
ざっと八巻が作り出した竜巻の3倍にもなる、校舎を覆い尽くすような巨大竜巻ができあがった。
それは八巻が作っていた竜巻を呑み込み、
「え………きゃあああああ!」
「うわあああああ!」
べきょべきょべきぃ! と校舎を壊しながら八巻と委員長を巻き込んだ。
「あー……」
いい奴らだった。
「なむあみだぶつ」
ちーん。
「って念仏唱えとる場合かいな!」
「あ、バカ」
俺の制止も聞かないで、湊が2人を助けようと飛び出した。
「ヴェナール、ウィンディ!」
自分の背後に向かってウィンドを唱え、その反動で加速しながら巨大竜巻に向かって飛んでいった。
「今助けに行くでー!」
「………」
そして、当然のごとく竜巻に呑まれるのだった。
「うきゃああああ!」
あーあ。
「さて………残るはあなただけですわね」
腕を組み、笑ってるのに何か怖い顔でこちらを見た。
「……………ワニ」
「………おう」
足下にいたミニ、ワニ桃ちゃんと視線を合わせると、俺はうなずいた。
「ギブアップ」
「ワニー」
あっさり白旗をあげた。
「あら、潔いですわね」
「どうも………ってうお!」
エルがいきなり襲いかかってきたのいで、俺はとっさにミニ桃ちゃんを放り投げて後に飛んだ。
「……降参してるのになぜ襲いかかってくる」
「他人の言葉ほど信じられないものはありませんから」
にっこりと綺麗な笑顔でそう言った。
……うわー歪んでる。
ビュワッ
エルは杖を鈍器のようにしてぶつけてくる。
俺はそれを上体をそらしてかわした。
そしてのど元に向かって突き、腹に向かって殴打してくるのを次々とかわす。
……危ないことこの上ない。
「ヴェナール、ウィンディ!」
エルの呪文詠唱と共に、ヒュンヒュン! と風の刃が襲いかかってくる。
「うおっ!」
俺はその数発を剣ではじき、残りはひたすら身体をくねらせて避けた。
「そこそこやりますわね」
「逃げ足が速いのが自慢なんだ」
金髪をかきあげながら余裕の表情をしているエルに、俺もなるたけ余裕っぽく答えた。
……無論、余裕などほとんどないが。
「ヨルフェ!」
「御意」
エルの呼びかけでエルの傍にいたメイドが襲いかかってきた。
持っている宝剣は妙に曲がった見知らぬ宝剣だった。宝玉が黄金に光っている。
能力がまるでわからないから不気味だ。
チュイン! キン! ズガ!
機械のように一定で正確な攻撃がくる。
俺は防戦一方だがどうにか応戦していた。
「今まで完全にスルーしてたが、なぜメイドのお前が参加してるんだ?」
「私もこの学園の生徒ですから」
「………制服は?」
「メイドですから」
「……あそ」
ちなみに、この会話の間に剣ではじいたりはじかれたりな戦闘が行われていた。
そうしていると、急にメイドが攻撃を止めて下がった。
なんだと思ってエルの方を見てぎょっとした。
「フロイズトルネスト!」
げっ、中級魔法!?
水と風の混成魔法である。
凶悪な氷の刃がカマイタチと共に襲いかかってきた。
PC壊れた。orz




