ソル鳥
瓦礫とかした体育館の中心部が光り輝いた。
「はーっはっはっは! ひっかかったわね!」
そこら辺りに飛んで行って今は瓦礫にうずもれてしまった杏子の高笑いが聞こえた。 そいして地面がゴゴゴと一瞬だけ揺れて……
鳥のような鳴き声が聞こえた。
「え……」
その場にいた全員が絶句する。
「グキェエエエエエエ!」
体育館だった建物は、巨大な鷲のような化け物に踏み潰されていた。
………何あのウ○トラマンの怪獣。
「これこそが私たちの切り札! ソル鳥よ!」
ソル鳥?
「別名『風ノ鳥』」
俺の内心の疑問に、手の中にいたワニぐるみverの桃ちゃんが答えてくれた。
「異世界ニ住ンデイル、文字通リ風ノ魔法ガ得意ナ怪鳥ワニ」
なるほど。そのソル鳥とやらをこっそり召還したってわけね。
……どうやったかは知らんが。
「へぇ………やるじゃありませんか、姫野さん」
エルが不敵な笑みをもらした。
「はーっはっはっは!」
姫野とやらが、ソル鳥の足元で大笑いしていた。
………が。
「きゃっ!」
ソル鳥は辺りの生徒など関係なく、羽をはばたかせ、風を発生させる。
「ちょ、ちょっと! おとなしくしなさい!」
あ、杏子つぶされそう。
「っと」
さすがにやばそうだったので、俺はダッシュで杏子を助けに行く。
「ちょ、ちょっと! 誰も助けてなんて言ってきゃっ!」
杏子をソル鳥の足元から引っ張り出す。
「状況をよく見てからそういうことは言え」
明らかにやばげだろ。あの足元にいるの。
「バカ言わないで! 私たちが召還したんだから私たちの言うことは聞くはず……!」
「聞いてるように見えるか?」
ギャアギャア騒いでるソル鳥を指差して言う。
「ええい! なんでよ!」
「魔力不足ワニ」
足元でわにわに言いながらチビ桃ちゃんが言った。
「召還スルダケデ手一杯デ、相手ノ意識コントロールマデデキテナイワニ、ザンネーン」
「………」
杏子、絶句。
まぁ、ドンマイ。
そしてそのソル鳥とやらはひとしきり騒ぎ周囲を破壊すると、こちらを見据えた。
そして巨大な羽を一振りして、突風を作り出す。
「クロワシリエ、モンティコル!」
やばいと瞬時に反応したメイドのヨルフェが、主人を守るべく簡易結界を作り出す。
自分と主人の分のみ。
残った俺たちは同時にその場を離脱した。
具体的に言えば、まだ壊れてない校舎に避難した。
ま、一時的な風除けにしかならないけどな。校舎ぎしぎしいってるし。
ビュオオオオと洒落にならない突風が渡り廊下を駆け抜ける。
「仕方ないですわね」
エルはそう言いながら懐から持っていたスキュアの杖ではない、背中に下げていた、豪華な装飾の別の刀を取り出した。
「ほっておくわけにもいけませんし……!」
語尾と同時に刀を一閃。突如発生した先ほど体育館を破壊したとき以上のカマイタチがソル鳥目掛けて走る。
「イギャアアアア!」
ズパァッ
それは寸分たがわずソル鳥に命中し、真っ二つにした。
かなりグロいので、描写は控える。
「おお!」
だがすげぇ。怪物なんか物ともしねえ。
強力なカマイタチをくらったソル鳥は、肉の塊となってにその場に崩れ落ちた。
ちょっと時間がなかったのでボリューム不足orz。すみません。