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パニカル!  作者: タナカ
34/98

とある女生徒の野望



 ――― D組男子A(鈴木) SIDE ―――


「………?」


 俺は突如、強烈な悪寒を覚えた。


「どうした鈴木?」


 俺と同じくD組の三宅が心配そうに尋ねてきた。


「いや、なんか悪寒が………」


 俺は首をかしげたが、まぁ大したことではないだろうと気を持ち直した。

 今は体育館の中。 

 すでにバリケードは張り終えたが、このバリケードがなるべく長く持つように、意図的に作った隙間から外を警戒していた。

 外にはやはり今回の要注意人物、エル・フォルセティアと10数名の取り巻きがいた。


「調子はどう?」

「あ! 姫野さん!」


 そこには綺麗な赤みの強い茶髪をツインテールにした、勝気な瞳の女性がいた。

 姫野杏子ひめのあんずさん。

 明るくてかわいいD組の中心的人物であり、今回の立てこもり計画の発案者だった。

 ………実はひそかにあこがれてたりする。


「予想通りエル・フォルセティア他10名程度が体育館周辺に集まってます」

「……そう。それぐらいなら大丈夫そうね」


 姫野さんはにやりと笑うと、体育館の中心部分を見た。


「10分でいいから、何としてでもバリケードをもたせてね。それができなきゃ、負けるんだから」 

「わかりました!」


 よっしゃやるぞおおおお!


 俺は気合を入れなおすと、体育館付近で呪文を唱えているエルたちに向かって牽制用の呪文を唱えた。


「くくく………エールー」


 俺の後ろで、ぞくりとするような声が聞こえる。


「今度こそあんたに勝ってやる! そしてその鼻っ柱をへし折ってやるわ―――!」


 そしてはーっはっはっは! と姫野さんは高笑いするのだった。












「っ!」

「っと!」


 俺とエルに向かって、急に体育館から石礫いしつぶてが飛んできた。

 初級地術、『ノーム』だった。


「うおあ! 結界の中から石が飛んできたぁ!」


 宮西がびびり声をあげた。


「………まぁ多少の妨害は当然か」

「前衛がいりますわね」 


 エルはこの場にいる人間をぱぱっと見まわした。


「湊さん、藤井さん(D組女子)、宮西さん、八巻さん、今井さん、ヨルフェ、そして私は魔法の準備に取りかかりますから、他の方は前衛で妨害を食い止めてください」

「えー………」


 うわ、めんど。

 てか前衛=男子全員(俺、洋太、委員長、黒部、沢木)じゃねーか。

 ………ま、いいや。


「これだけの美人を背に命をはる男……………よっしゃやるぞおおおおお!」


 となぜか元気いっぱいの洋太や、


「頑張りましょう隊長!」


 それに追随する洋太のギャグ友、沢木。


「………ま、頑張ろうか」


 なんやかやで結構真面目な委員長と、戦闘要員は計3人もいるのだ。


「………やる気うせるな」

「だな」


 てな感じでやる気ない人員が1人2人増えても別にいいだろ。 


「あのー、あたし『フレア』しかできないんだけど………」

「私は『ウィンド』しか………」


 と、今井と八巻が自信なさげに声をあげたが。


「お2人とも、手をかざすだけで結構ですわ」

「「…?」」


 エルはにこりと笑ってそう言った。


「お2人ともとてもいい魔力を持ってらっしゃいますわ。ですから、私が呪文を唱えるのと同時に、お2人の魔力を吸い取らせて頂きますの」

「「…?」」


 やっぱりわけわからないといった2人。


「説明しよう!」


 どかんと、また出た。元気過ぎるエビ尻尾娘。


「魔法は共同で行うことができるのだ! 1人がだめでも2人なら! 2人がだめでも3人なら! みんなでやれば怖くない! 赤信号もへっちゃらぶっ!」

「はいはい」


 またしても八巻のハリセンで黙らされる宮西。


「んで、結局どういうこと?」


 同じポニーテールとしての同属嫌悪か。扱いがひどい……としくしく泣いている宮西を当然のように無視して、八巻は湊に聞いた。


「ようは他者の魔力を吸収できるってことやな。詳しい説明は難しいから飛ばすけど……魔力が魔法になる前の魔力光の段階なら、それができるってことや」


 そう言いながら、湊は指先に魔力を集中させ、魔力光を作り出した。

 ……といっても、本当に魔力が光っているわけではない。熱を感じるというか、そこに魔力の集中を感じるのだ。 

 その体外に出された剥き出しの魔力を、魔力光という。


「………ああ、なるほど」


 八巻も手のひらに魔力光を作りながら、納得の声をあげた。


「頼りにしてますわよ」


 そう言いながらエルは体育館を見据えた。

 ………言外に、俺ら男子には何も期待してないぞ、という意味が見て取れる気がする。

 そうしていると、再びつぶてが飛んでくる。

 エルはスキュアの杖を取り出す。


 パァン!


 野球のスイングみたいに杖で迎え撃ち、一振りでその礫を破壊した。


「みなさん、魔力を集中なさって」 


 エルが静かにそう号令すると、エルに向かって女連中が魔力を集め始める。

 その様子を感じ取ったのか、体育館から礫の他に、炎や風が襲いかかってくるが。


「おおっしゃあ!」


 元気バリバリの洋太を筆頭に、ルミナスの剣で次々と敵の攻撃を防御した。

 おお、よくやる。

 そしてエル自信も魔力を集中させ、カッと目を見開いた。


「ヴェナール、ウィンディ!」


 瞬間。

 極大のカマイタチが体育館に襲いかかった。 










姫野杏子。

ちょいキャラなのですが、実は結構気に入ってたりします。

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