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パニカル!  作者: タナカ
29/98

魔法の相性



「あ………」


 ぽん、と俺は手を叩いた。


「……何よ」

「相性の問題かもしれん」

「相性?」


 首を傾げる八巻。


「なぜかはわかってないがな。人間誰しも魔術の基礎である4大元素の内、なぜかそいつにとってすこぶる相性のいい元素と、悪い元素があるんだ」

「………もしかして」

「うむ」


 いやー、すっかり忘れてた。


「たぶん八巻は火と相性が悪いんだろ」

「それ早く言いなさいよ!」


 鬼の形相(周りが暗いし多分だが)の八巻が迫る。


「まーくんうっかり。てへり」

「ふざけるな!」


 おー、怖い怖い。大迫力だ。


「………ま、この状況でフレア以外の魔法が役に立つとは思えんが」


 土や水、風を発生させたところでここから脱出できるわけでもなし。


「う……」


 言葉を詰まらせる八巻。


「………ま、やるだけやってみるか」

 地、水、風の初級呪文を八巻に教えることになった。









 ―― CASE 1 初級地術『ノーム』 


「ノーム、クェイカリズン!」


 ご………


「おー、やったな。できたぞ」

「こんな震度1ぐらいの地震起こしたところで何になるっていうの!」


 うむ、ごもっとも。







 ―― CASE 2 初級水術『ウォーティ』


「コンヴァージュ、スーリィ!」


 ………ぴちょん。


「おー、また成功したぞ。すごいなお前」

「水滴1滴なんかどうするの! 汗かいてる方がまだいいわ!」   


 またしてもごもっとも。

 ………が。


「わからんぞ。これが実はものすごく役に立つかもしれん」

「………例えば?」

「目薬になるかも」

「いるかっ!」

 








 ―― CASE 3 初級火術『フレア』


「………は、わかりきってるから飛ばすとして」

「…………ウィガムディセルミア(ぼそり)」


 ………………………


「はい出なーい」

「うるさいっ!」

 






 ―― CASE 4 初級風術『ウィンド』


「………………」

「どうした? とっととやれよ」

「黙りなさい。精神統一してるのよ」

「焼け石に水だと思うが」


 八巻はその場に座り込んで、そのままじっとした。


 ………………


 5分ぐらい経過。


「………んで、いつまでやるつもりだ?」

「………いいでしょ」


 八巻は聞こえるか聞こえないかぐらいの声でぼそりと言った。


「これが失敗したら、私、ほとんど魔法が使えないってことになるのよ。ちょっとぐらいの緊張は当然じゃない」

「それ言ったら今のB組の生徒たちほとんどがそうじゃねーか」

「彼らはまだ魔法習ってないでしょ? 私はこうして習っても使えないのよ」


 ふー、と八巻が息を吐く音が聞こえた。


「このまま一生使えなくなったって、不思議じゃないの」

「考えすぎ」


 なんですか、この頭が固すぎる真面目くんは。


「魔ーが考えなさすぎなの………ひゃっ!」


 八巻がいきなり驚いた声をあげた。

 ……ま、俺がヤツの肩に手を置いたからなんだが。


「い、いきなり何するのよ!」

「お前は肩がこりすぎだ」


 もみもみ、と八巻の肩をもむ。


「やっ………う………」


 びく、と肩を振るわせる八巻。

 ……本当に肩こってるし。


「才能あるって言ったろ?」

「あ………」

「だから大丈夫だ」


 最後に、ぽん、と頭を叩いた。


「ほれ、頑張れ」

「あ………うん」


 八巻は素直に頷いた。 


「魔―って意外と………」

「なんだ?」

「い、いやいや。なんでもないわよ!」


 ぶんぶんと首を振る八巻。


「わかったわよ! やってやろうじゃん!」  


 八巻は勢い良く立ちあがった。


「ヴェナール、ウィンディ!」


 瞬間。

 この狭い空間の全てが崩壊した。









 ―― とある図書室の会話(午前11時の時点。記録者不明) ――



「「ぷはぁ〜………(お茶をすすった後の息)」」

「なー、委員長」

「なんですか、谷口さん」

「おらんなー、魔ー」

「いませんねー、八巻さん」

「「ずずず………(お茶をすする音)」」

「逢引かねー」

「逢引でしょうねー」

「この場におらんもんねー」

「しかも2時間近くもドロンしてますからねー」

「エッチやなー」

「不謹慎ですねー」

「「ずずず………(またしてもお茶をすする音)」」 

「……めっちゃ虚しいな」

「……虚しいですね」

「こんな時は、突然。世界を破壊したくならん?」

「なりますねー」


 ずごごごごご………


「「ん?」」


 ボカアアアアアン!!!


「「うぎゃああああ!」」

「「きゃあああああ!」」

 











世間ではバレンタイン一色に染まってますが………私にとって2月14日は………「『パニカル!』連載一ヶ月記念!」です! 頭の片隅にでも入れておいてくださればとても嬉しいです!

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